タブレットと地図アプリ ーGPSは圏外でも使えますー(江頭教授)
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前回の記事でタブレットをフィールドワークで利用することを紹介しました。フィールドワークの現場では圏外でネットがつながらないこともある、というかつながらないことの方が多いのですが、それでもGPSは使えるというのが今回のお題です。
GPSとインターネットは共に軍事利用を目的として開発された技術で1990年代の後半に一般的に利用されるようになりました。インターネットは移動体通信の技術と組み合わされることでスマートフォンやタブレットなど、持ち運びのできる端末が利用されるようになりました。インターネットで地図情報を受信し、それにGPSを利用した位置情報を組み合わせたものが現在広く利用されている地図アプリだ、ということができると思います。フィールドワークには地図アプリはとても便利なのですが、圏外になると位置情報はあっても地図情報が入手できない、ということでgoogle mapやiPhone標準の地図アプリはフィールドでは使えない、ということになります。
GPSの情報は人工衛星からとどくものですから地球上どこでも空が見晴らせる場所なら届きます。インターネットは情報伝達の形式が決まっている訳ではありませんが、移動体通信で利用するなら携帯電話のネットワークを利用することになります。人のまばらな西オーストラリアの農業地帯の街と街の間のキャノーラ畑や林の中出ではGPSは使えてもインターネットには接続できません。(農場主の母屋には固定回線が来ていますが、家と家の感覚が数kmが普通、という環境ではネットにつなぐためには近隣の Town Center まで移動する必要があります。)
ただ、地図情報を予めダウンロードしておけば圏外でも地図アプリを使うことができるはずです。
MAPS.MEのスナップショット。ピンが打ってある場所はフィルードに設置したサイトや道しるべです。
ということで私達のグループではフィールドワークの際にダウンロード型の地図アプリとして知られる"MAPS.ME"を利用しています。この地図アプリ、以前は "MapsWithMe"という名称で知られたオープンソースの地図アプリで予め調査予定地の地図をダウンロードしておけば圏外でも問題無く利用できる上にナビゲーション機能も実用的なレベルで実装されている便利なソフトです。
前回の出張の際に気がついたのですが、最近(なのかどうかよく分からないですが)google map でも地図情報がダウンロードできるようになっているのですね。グローバルに見ればネットの利用できない場所で地図が必要、という状況はまだまだある、という事なのでしょうか。
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