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大学院博士後期課程のすすめ-2 企業における博士の価値(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff


 4月3日の大学院新入生ガイダンスで、博士前期課程(修士課程)進学の学生さんに、博士後期課程(博士課程)進学をおすすめしました。修士課程だけでも2年間余分に大学に行くのに、さらに3年間も行く事をなぜすすめるの?。といわれる方も多いでしょうが、それでも、私は「有能な方」には博士後期課程への進学をすすめます。


 文科省の資料(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf)では、博士後期課程へ行かれる方のうち、前期課程からすすまれるのは6割、残りの4割は社会人入学者だそうです。また、リクナビ(https://job.rikunabi.com/2020/s/_______29__/)で検索すると、会社から大学院への派遣制度を有する会社は450社くらいあります。多くの会社は一部上場企業で技術を大事にする会社です。

 会社から大学へ派遣される場合、2年間一生懸命大学で研究し、その後会社にもどり、1年間かけて論文を作成するパターンが多いと思います。3年間の課程のうちそれでも2年間は会社の仕事を休むわけですから、そのコストは数千万単位です。会社は福利厚生だけで大学院進学を応援してくれる訳ではありません。また、会社から派遣してもらうと、その会社をやめにくくなる制度があります。従業員に博士号をとらせる事には会社にも数千万以上のメリットがあるという事です。つまり、会社は「博士号」をもつ従業員をもつ事にそれだけの価値を見いだしているという事です。

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 文科省の別の資料(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/068/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/06/10/1358620_4.pdf)には、アメリカ上場企業の部長の博士率が記載されていました。経理部長は0.0%ですが、営業部長は5.4%、人事部長は14.1%だそうです。経理関係の最高学位はMBAですから専門職修士で十分なのでしょう。しかし、営業や人事の部長職で同世代の博士率2%をはるかに越える博士率は、博士取得者の「戦略立案能力」つまり経営者としての能力に期待しているということなのでしょう。

 日本の企業では高卒と大卒・大学院卒という風に学歴による職制区分があります。大卒の管理職になる確率は高くても、高卒ではまれです。しかし、最近は、大卒と大学院卒の間にも職制を分離する傾向が出てきています。その実例として、2012年から国家公務員総合職採用試験が「院率者試験」と「大卒程度試験」に分けられました(http://www.jinji-shiken.go.jp/pdf/shiken11-13.pdf)。

 これから70歳定年、75歳定年時代になります。学生さんたちは就職してから50年くらい、つまり半世紀の就労期間をもちます。その50年間の間に職制制度は大きく変化していく事でしょう。今後、修士と博士の学位による職制分化の可能性を否めません。

 

 

片桐 利真

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