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卒業記念パーティでの閉会の辞(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

(本記事は3月22日に掲載が予定されていたものです。)

2019年3月20日の工学部卒業記念パーティの閉会の辞を頼まれました。
 本来は15:30頃に閉会の予定でしたが、15:00には食べ物もなくなり、もう締めましょう。閉会の辞は簡単に短くと言われてしまい、せっかく準備した原稿を半分も読めませんでした。残念なので、このブログで準備した原稿を公開します。

190320
卒業記念パーティでの閉会の辞

 みなさん本日はご卒業おめでとうございます。

 ギリギリだった人も、余裕で単位をそろえた人も、皆さんは「学士」の学位を手に入れました。
 学位は日本の法律、学校教育基本法で定められています。学士の学位が学位になったのは1991年で、それ以前の学士は学位ではありませんでした。そのため、私の大学の卒業証書は「学士試験合格証書」であり、「学位記」ではありません。皆さんの学士は学位です。よかったですね。

 学位は学術称号のひとつで一種の栄誉称号ですが、それ自身に価値はありません。その学位により保証される、皆さんの能力や実力に価値があることを忘れないでください。本当に価値があるものは、この東京工科大学工学部であなたが時間と労力をかけて獲得したものです。
 学位は皆さんの矜持です。プライドです。この矜持を保ち、学士の学位に恥じない人生をお送りください。

 人生はハイリスク・ハイリターンです。社会に出る人も、大学院でさらに自らに能力をつけようとする人も、人生の中でこれから何回も人生の転機を迎えるでしょう。その転機がチャンスかピンチかは飛び込んでみなければわかりません。

 

 

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 もちろん、無難に現状維持を心がけ、何もなさずにチャンスもピンチも回避して生きて行く道もあります。しかし、この急速に進歩している現在において、それは緩慢な滅びの道です。茹でカエルですね。

 私は34歳の時に前の大学のボス教授に誘われて会社員から大学教員に転職しました。結婚して4年、長男が生まれた直後でした。順風満帆の会社員の生活も研究者としてフラスコを振れるのはあと3年。このお誘いはチャンスかピンチか、会社員の生活を捨てる決断はなかなかできませんでした。
 そのとき、私の決断を支えたひとつの太い綱、今風にいえばセーフティネット、それが「学位」というプライドでした。もしも、この転職が失敗しても女房子供を路頭に迷わせることはない、という自分の能力に対する自信でした。

 皆さんも、学位というプライドをもって、必要な時に自信を持って決断できる人になっていただきたいと思います。

もし、学士よりも上の修士や博士という学位が欲しくなったら、また大学へ戻ってらっしゃい、お待ちしています。

本日はおめでとうございました。

それでは一本締めで締めましょう。
「いよ〜っ。パン」
(これは一丁締めが正しい、とM先生にダメだしされました)

 

片桐 利真

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