今日から令和。日本の課題とは。(江頭教授)
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平成が終わり今日から令和となりました。だからといって何が変わるわけでもないのですが時代の一区切り、新しい時代の始まりということで今回は日本の課題について考えてみたいと思います。
「日本の課題」といった漠然としたお題ですから、論じる人によっていろいろな意見があると思います。私の立場はあくまでも工学の研究者でありその視点からのものですが、私にとっての日本の課題はズバリ
資源(特にエネルギー資源)が自給できないこと
に尽きます。
工学研究者というよりは私自身の志向、というか嗜好、という側面もあるのですが社会が抱えている問題は基本的には社会制度によって解決可能であるのに対し、自然と人間との間に存在する問題、つまり自然による人間活動に対する制限に対しては工学的アプローチが必要だと感じるのです。たとえば格差の問題は富の分配の問題であり、基本的には人間の間で解決できる話です。一方、絶対的な富の不足、人が生きていくために必要な物材が不足している、という問題は人間が自然に有効に働きかけることによってのみ解決できると思うのです。別の言い方をすれば工学は絶対的貧困をなくすために必要なもの。相対的貧困、つまり格差の問題は絶対的貧困を解決したあとの話ですよね、ということです。
日本の現状はそういう意味ではまだ物材の不足が解決されていない状態であり、その不足を貿易によって補っているという状態だと考えています。
エネルギー資源の国際的な不足が起これば日本が甚大な影響を受ける、ということは昭和後期の石油危機の経験で強く印象づけられてています。その後、エネルギー危機を起こさないために日本のみならず世界中が努力を続けている訳ですが、中東問題を筆頭にその努力がいろいろな紛争やトラブルの原因が、少なくとも背景となっています。このことは当たり前となっていて普段は意識にのぼらないのですが、実は深刻な問題なのではないでしょうか。
平成の30年間の間に石油など輸入に頼るしかない化石燃料を代替できる再生可能エネルギーの利用技術が現実的なものとなりました。令和の時代にはその技術を広く普及させることで化石燃料に頼らずにエネルギー自給率100%が達成されることを期待しています。
とはいえ「エネルギー自給率100%が達成」されたら課題がなくなる、という訳でもありません。今度は他の資源の不足が問題になるのでしょう。国に限らず「課題」というものはそういう性質のものなのだと思います。
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