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SDGsに人口問題が無いのはなぜか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 SDGsは「持続可能な開発目標」つまり「Sustainable Development Goals」 のことで、国連が定めたサステイナブル開発のゴールです。(本ブログではこちらの記事で解説しています。)つまり、世界が直面している課題の一覧表というわけで17の分野で169のターゲットが設定されています。

 さて、先日ある会議でこのSDGsが話題になったのですが、その際一緒に人口問題の話が出たのです。そこでハタと気がつきました。「そう言えばSDGsには人口問題が含まれてない!」

 
 はて、人口問題は日本では深刻な問題として受け止められていますが、世界では問題になっていないのでしょうか。いや、日本だって世界の一部ですから17個も目標があるなら少しくらい触れてもらっても良いのでは…。

 

 もちろん、これには事情があります。日本で人口問題と言えば「少子化」のこと。つまり「人口が減る問題」なのです。少子化問題を抱えた国は日本以外にもたくさんありますが、そのほとんどは先進国です。一方で発展途上国(あるいは低所得国)では人口増加が起こっていますが、これは「人口が減る問題」が無いというよりは「人口が増える問題」がある、と言う状況です。つまり、おなじ人口問題でも国によってまったく逆にとらえられている、という事なのです。

 

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 とはいえ、世界全体として考えれば人口は増加傾向にあり、2050年には90億を超えると考えられています。地球に対してこれだけの人口は過大なのではないか、そういう意味での人口問題は資源や食料の枯渇の問題として昔から意識されてきました。それが国連の目標から外れている、というのは一体どうしてなのでしょうか。

 人口問題は世界が協調して取り組む課題としてふさわしくない。これは、先進国と低所得国では問題の現れ方が全く逆になってしまったこと、さらに言えば世界の人口の大部分を占める中所得国では人口が大して問題となっていないことから仕方のないことなのかもしれません。さらに、一つの国の人口がどの程度なら適切なのか、という問題に他国が干渉することが正しいのかというより根本的な問題もあるでしょう。しかし、あるべき世界の姿を考える場合、世界の適正人口はどのくらいか、という問題には必ずぶつかるのだと思いますが、いかがでしょうか。

江頭 靖幸

 

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