「先生は何にも分かってくれない!」「はい、その通り。」(江頭教授)
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大学生も4年ともなると自分の研究、卒業論文研究(卒研)を始めます。そのとき学生さんは「先生は何にも分かってくれない!」と感じているのではないかなあ、というのが今回のお話です。
小学校から大学の卒研が始まるまで、先生と学生とのコミュニケーションは圧倒的に先生から学生へという方向に偏っています。たまに学生から先生に話をする場合も多くの情報は共有されているのが普通。要するに学生と先生とのコミュニケーションは必要とされる労力が極端に少ないのです。(精神的に話しにくい、というのはあるかも知れませんが、それとは別の話です。)
講義や学生実験のなかで先生が学生さんに質問をする場合などはその典型例でしょう。先生の求める答えは実際には最初から決まっていて、学生さんはその答えを言い当てるだけで良い。極端に言えば自分はその答えが分かっているというサインをだせばOKだったりします。
でも、これは卒研がはじまる前の話です。研究となれば主体は学生さん本人に。とくに学生さん本人が実施した実験の結果の内容を報告する段になると先生よりも学生さんの方が多くの情報を持っている状態になります。学生さんが先生に教えなくてはならない状況になるわけですね。
まず実験の目的やそれに至った背景を含めていろいろ詳しく説明しなければならない。
あんまり細々したことを説明するのは馬鹿にしているようで失礼じゃないかな?
という気持ちも分からないではありませんが、往々にして学生さんは説明不足です。そして結果の説明。
失敗しました。
とか
まあ、成功だと思います。
先生側は全く何が起こったか分からないと言います。学生実験のときはもっと話が通じたのに...。で、
「先生は何にも分かってくれない!」
これに対する我々教員の答えは
「はい、その通り。」
「説明してくれないと分からないよ。」
です。
これまで年長者が自分に教えてくれる、あるいは自分が後輩など目下の人に教える、というパターンがほとんどだった学生さんにとって、年長者、目上の人にものを教える、というのは珍しい経験なのではないでしょうか。でも、これ以降、そんな場面はどんどん増えてゆきます。教えてもらうだけの学生から教え合う独立した社会人への第一歩、少しオーバーですがそれが卒業研究に位置づけなのです。
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