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レジ袋有料化は法律で義務化するべきなのか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 2019年6月4日の朝刊をみると、「レジ袋有料化」の見出しが。ネットで検索してみても同様の記事がごっそり。「えっ、八王子みなみ野の三和では既に有料ですが。」いえいえ、有料化というより、無料配布禁止の方が正確です。レジ袋が有料の店がある、という状態からレジ袋が無料の店がない、という状態にしたいわけです。「そうか、八王子みなみ野のアクロスモールのR-genkiでも有料化されるのか。」まあ、固有名詞はともかく、そういう方針だということですね。

 「有料か無料か、そんなことは各お店が独自に決めれば良いのでは。確かに節約重視の消費者は無料の店に行くだろうけど、有料化した店には意識の高い消費者が集まるだろう。どの程度のレジ袋が配られるか、それは消費者の行動の結果として決まるべきものなのでは。」というリベラルな考え方が自由主義経済の下では正解だと思います。その一方で、便利だけれど有害なもの、もっと正確に言うと、使う人にとっては便利だけれど社会全体から見れば有害なもの、の使用の可否を消費者個人、つまり利便性だけを享受する人、の判断に任せるのは間違っているという考え方もあるでしょう。利便性を独占する消費者の行動を社会的な利害を代表する法律で規制することを正当化する理屈です。

 

 

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 実は私、この「レジ袋無料配布禁止」という状況を経験したことがあるのです。西オーストラリアに海外出張したときの経験をこのブログでもときどき紹介するのですが(サマータイムの導入など)、この「レジ袋無料配布禁止」もその一つ。昨年からでしょうか。西オーストラリアの店舗では「レジ袋無料配布禁止」となっていたのです。

 出発前に情報は得ていたのですが、これは不便極まりない。いつもの調子で買い物をして会計する段になってレジ袋がもらえないことに気づく、という目に何度も合いました。スーパーだけで無く、他の一般小売店も同様、というのも厄介。いままで使っていたレジ袋のありがたさが心にしみて、日本が恋しくなりました。

 と言うわけで私の結論。レジ袋を廃止したいならやっぱり無料配布の禁止は必要だな、と。レジ袋の利便性はじつは結構大きいのではないでしょうか。多少意識が高くてもレジ袋断ちはハードルが高い。自然の成り行きに任せていてはおそらく無くならないぐらいには便利なものだと思います。

 その一方で、レジ袋の廃止は本当に必要なのか、生分解性プラスチックの利用など他の選択肢がないのか、という点についてはもっと議論が必要だとも思います。プラスチックの何が問題なのか。プラスチックの便利さはそのままで問題点を解決した新しいプラスチック(のようなもの?)を開発されればそれが一番良いはずです。そんな新しいプラスチックが開発できる余地を残すためにも、禁止するべきプラスチックはどのようなものなのか、をきちんと議論して定義しておくべきだと思います。

 

江頭 靖幸

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