完全循環「型」ペットボトルって何だろう?(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
6月5日のプレスリリースだそうですが、
“世界初”、店頭で回収したペットボトル100%使用 完全循環型ペットボトルリサイクルを実現
というニュースを見つけました。日本コカ・コーラ株式会社と株式会社セブン&アイ・ホールディングスが協力して店頭で回収したペットボトルをリサイクルする、という内容です。
これはこれで良いのですが、気になる表現もあります。「完全循環型ペットボトルリサイクル」という言葉。「循環」と「リサイクル」は重複してないか?というツッコミはさておき、ペットボトルのリサイクルが完全だというのはどういうことなのでしょうか。プレスリリースではこの「完全循環型ペットボトル」という言葉に注釈がついていました。タイトルの「完全循環型ペットボトルリサイクル 」の「リサイクル」の部分があっさり削られています。
※1 本製品のペットボトルの原材料として、セブン&アイグループの店頭で回収された使用済みペットボトルをリサイクルしたPET樹脂のみを、100%使用していることを表します。
とあります。多分「100%リサイクル素材で作られたペットボトル」を「完全にリサイクル素材で作られたペットボトル」と言い換えて、「リサイクル素材で作られた」を「循環型」と命名したのでしょう。ですから「完全循環型ペットボトル」は「完全な循環型ペットボトル 」であって、「完全にリサイクル(循環 )するタイプ(型)のペットボトル」ではないのです。
例えば、
100本のペットボトル飲料が販売されて、その100本の空のボトルが回収され、それを原料に新たなペットボトルが100本作られて再び100本のペットボトルが販売される
これが「完全にリサイクルするタイプのペットボトル 」からイメージされるリサイクルの姿ですが、そうであるならば
※1 本製品のペットボトルの原材料として、セブン&アイグループの店頭で回収された本製品の 使用済みペットボトルをリサイクルしたPET樹脂のみを、100%使用していることを表します。
と書かれているはずです。強調した二個目の「本製品の」が抜けている今回の定義では
100本のペットボトル飲料が販売されて、そのうち50本の空のボトルが回収され、それに他のペットボトル飲料の空ボトルを加えて、それを原料に新たなペットボトルが100本作られて再び100本のペットボトルが販売される
でもOKという表現になっています。
何を細かいことを。良いことなのだからどんどん進めれば良いだろう。それはそうかもしれません。しかし、回収した資源ゴミをリサイクルで新たな製品に作り直してリサイクルする場合、かならず或る程度のロスが生じます。そのロスが大きければリサイクルする意義は薄れますがその一方でロスを小さくするするには多くの労力やエネルギーを使うことになり、再びリサイクルの意義がなくなってしまいます。ロスの割合、あるいはリサイクルの割合がどの程度になるか、はリサイクルの意義のあるなしを決める重要な指標で社会的・技術的な要素が関わり合ってきまるものであり、安易にロス0%リサイクル100%が良い、というものではありません。
今回のプレスリリースの書きぶりは、注意して読み解けば上記のような意味でのリサイクル100%を主張していないのですが、一読して受ける印象(そしてプレスリリースから書かれる多くの記事に触れる人々が受けるであろう印象)は安易なリサイクル100%礼賛に頼っている様にみえるのです。(少なくとも私にはそう思えます。)
そもそも、私はリサイクルや循環が「完全」だ、という言葉にはどうしても違和感を感じてしまいます。「リサイクル」だけなら「健康で長生き」くらいの語感なのですが、「完全リサイクル」と言われると「不老不死」みたいに聞こえるのです。そういう意味で今回の「完全循環型」は「命ある限り絶対に死なない」くらいのニュアンスでしょうか。
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