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2019年7月

2019.07.31

8月4日(日) オープンキャンパスを実施します(江頭教授)

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 東京工科大学の授業は先週の金曜日(7月26日)で終了しました。これから1週間の試験期間をへて前期終了は8月5日となります。これで大学生はやっと夏休みに入るのですが、高校生の皆さんはすでに夏休みに入っているかと思います。

 夏休みにはいろいろ楽しい予定もあるかと思いますが、大学のオープンキャンパスを見学するのにも良いシーズンかと思います。と、言うわけで今回は本学の夏休みのオープンキャンパスについて紹介しましょう。

 八王子キャンパスでの夏休み最初のオープンキャンパスは8月4日に予定されています。予約は不要ですが、こちらから事前受付を行っていただくと当日の受付がスムーズにできるそうです。スタートは10:00(9:30受付開始)で 16:00(15:00受付終了)となりますが、入退場は自由です。

 さて、オープンキャンパスに行ったことのない人は「何をやっているのかな?」と思われるかも知れません。キャンパスがオープンになって中には入れるとして、それから?

 実態はちょっと高校の学園祭に似た雰囲気になっています。学園祭は、常設のクラスや部活の出し物と講堂でのスケジュールを組んだ発表会とで構成されていますが、大学のオープンキャンパスでもそれぞれの学部の説明会や入試説明会、大手予備校講師による一般入試対策講座などがスケジュールに入っています。学園祭の常設の出し物に近いのは各学部による展示や研究紹介のコーナーでしょう。我々応用化学科も片柳研究棟の7階の学生実験室を中心に学科説明・体験コーナーを準備しています。

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2019.07.30

サイエンスイングリッシュキャンプ in 東京工科大学(江頭教授)

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 「サイエンスイングリッシュキャンプ in 東京工科大学」は化学の実験を、最先端の設備を持つ東京工科大学の応用化学科の学生実験室で体験する、高校生向けのプログラムです。タイトルに「イングリッシュ」とあるのは実験中は英語でコミュニケーションをとることになっているからです。

 高校生が大学など専門的な研究機関に来て実験などを体験する、という試みとしてのサイエンスキャンプは一般的に行われている試みだと思います。ただ、そこに英語でのコミュニケーションという要素を加えたものは珍しいのではないでしょうか。「ものづくりと産業のグローバル化が進み、エンジニアにも国際的なセンスや語学力が求められる現代。」に対応したプログラム、ということですね。

 まず実験テキストは英語で。実験を実施するときはグループを作って行いますので、そのグループ内でのやり取りも英語です。もっとも、全てのコミュニケーションが英語、と言うわけではありません。実験に際しての安全に関する注意など、一部には日本語での講義もあります。

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 なんと、昨年につづき今年も台風の到来と重なってしまいました。

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2019.07.29

前期の授業は終了、今日から期末試験です(江頭教授)

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 高校や小中学校ではすでに夏休みに入っている学校も多いかと思いますが、本学では先週末まで授業がありました。先週の金曜日、7月26日で前期の授業が終了、そして今日(7/29)から期末試験が始まります。

 試験は一週間。ちょうど授業をやっている時間が試験の時間になるようにスケジュールが組まれています。(一部は例外的に来週の月曜日、8月5日に実施されます。) たまたま私の担当する授業がちょうど月曜日の1限だったので、今回の試験ではいの一番で試験監督を務めることとなりました。

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2019.07.26

あるべき聖火のかたちを考えてみた(江頭教授)

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 「オリンピックの聖火を水素燃料で」とは言いますが、少なくとも2019年現在、ほとんどの水素は石油から作られています。水素燃料は「燃焼時にCO2を排出しない」だけで、ライフサイクル全体ではそれなりのCO2を排出している。そう考えると「聖火」の燃料としては相応しくないのではないでしょうか。

 ということで今回は新しい時代に相応しい聖火のかたちについて考えてみました。

 聖火とは何か。オリンピック発祥の地、アテネの太陽から採火された炎がオリンピック開催地まで運ばれて聖火台に灯され、オリンピックの会場を照らす。これが聖火の意義でしょう。昔は太陽光線を集めてたいまつに火をつけるしかなかったかも知れませんが、今やアテネの太陽からエネルギーを得るのに最適のシステムが実用化されています(下図)。

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 アテネに設置した太陽電池でエネルギーを得たとして、どうやって開催地まで運びましょうか。日本までの超伝導ケーブルの送電線を、というのはちょっと難しそうですが、そこは心配ご無用。エネルギーを運ぶための手段もすでに開発されています(下図)。

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  次は聖火ランナーが持つトーチの最新版のイメージ図をご覧ください。

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2019.07.25

聖火と炎色反応(江頭教授)

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 7月24日の朝、新聞の一面にオリンピックについてのニュースが。そうか、オリンピックまであと一年か。で、今回の聖火は水素燃料で灯すのだとか。

 水素じゃ炎が見えないじゃん。

まあ、化学の先生ならだれもが突っ込むところです。

 水素が燃える際の炎は薄い青色で、いわゆる聖火のようなオレンジや黄色の炎にはなりません。あのオレンジ色は実は炎の中の炭素の粒が発光しています。なんで炭素の粒が?それは燃えるガスに炭素原子を含む分子が含まれていて燃焼に際して炭素が粒子として析出するのです。

 高校生の皆さんの中にも都市ガスを利用したブンゼンバーナーを扱ったことがある人がいるかもしれません。空気不足の状態ではオレンジ色の炎がでます。炎の内部は酸素不足の部分があって、そこで炭素が析出。その粒子が光るわけです。空気の供給を増やすにつれてオレンジ色は消え、青白い炎になりますが、これは炎の中の酸素不足の部分がなくなったことを反映しているわけです。

 水素が燃料の場合、もともと炭素が含まれていない以上、炭素の析出もなく、炎に色がつかない。結局青白い炎で聖火と言うより昼行燈になるのでは…。

 記事の続きには「添加剤を使うことで、赤や紫、緑など様々な色の炎を作り出せる」と書いてありました。

 

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おっと、件の新聞記事はネット非公開になっていました。

 

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2019.07.24

少し真面目に食料安全保障を考えてみる(江頭教授)

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 日本は食料を自給できていない国で海外から食料を輸入しています。「それではダメだ。食料の自給率を上げるべきだ。」という話もあるのですが、それは非常時に合わせて日常を制限することになって本末転倒ではないか。まるで「電車が止まったら困るから歩いて行けるところに就職しよう」という様な話だと思います。とはいえ、何かの理由で海外から食料が輸入できなくなったらどうするのか。これが今回のお題、「食料安全保障」の意味です。

 農林水産省のホームページには「食料安全保障について」というページがあり、その中で「不測時の対応」として「緊急事態食料安全保障指針」という資料が公開されています。

 なるほど、農水省も自給率アップを呼びかけるだけではなくて本当に危機的な状況になったときのことを考えているのか、というのが最初の印象です。食料の輸入が難しくなる状況に対応して、レベル0、レベル1、レベル2の三段階の対応を想定しているとのこと。レベル0は食料輸入に問題が生じる可能性が予見された場合。つまり、問題がありそうだから情報を集めようか、という段階です。レベル1は本当の危機が起こった場合。そして食糧不足で飢餓がおこる危険性がある場合がレベル2だ、といったところでしょうか。ちなみにレベル1までの「不測の事態」は過去に実例がある(米の凶作と米国による大豆の輸出制限)とのことですが、レベル2はさすがに「前代未聞」のようです。

 レベル0はともかく、食料が輸入できない、という事態をレベル1とレベル2に区分して考えるのは非常に良いことだと思います。

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2019.07.23

地域連携課題(江頭教授)

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 昨日(7月22日)の月曜日、2019年度、第2期の「地域連携課題」の学科内発表会が行われました。

 「地域連携課題」という授業名を聞いて、なるほど、と思った人はそうはいないと思います。この授業、本学科の3年生前期の授業、つまりクォーター制(前期を1期、2期の2つに分ける制度)で実施されるコーオプ実習の際、大学に残っている学生に向けて行われている授業です。今回の発表会はこちらで紹介した第1期の発表会に続き、本年度2回目の発表会となります。

 さて「地域連携課題」のシラバスをみると授業の内容は、「学生が地域の関係者と連携しながら地域・社会的な課題等に取り組む」ものです。本学部は八王子キャンパスにありますから、この場合の「地域」は具体的には八王子市のことです。八王子市の「担当者等を講師に招いて地域が抱える各種の課題を学んだ後」に、「学生が自ら主体的に地域から課題を選定」し、その解決方法を提案する、それが地域連携課題の授業内容です。この授業はグループワークを基本とし、いろいろな施設や企業を訪れて課題の解決方法を調査・分析、結果を比較検討することで効果的で具体的な提案を目指します。

 さて、私はこの「地域連携課題」の担当ではないのですが、オーディエンスとしてこの成果発表会に参加してきました。

 

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2019.07.22

電車が運休、さてどうしよう?(江頭教授)

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 先週の金曜日(7月19日です)、私は実家に戻っていたのですが朝起きると「京王線が止まっている」というニュースが。うーん、困った。実家から大学に行くのに京王線を使っているのです。京王本線が動かない場合には多少歩けば京王相模原線と小田急多摩線(この二つの路線は一部並走しています)にも行けるんだが、と思ったのですが京王は全線運休、小田急線も多摩線は運休だとか。ニュースによれば京王多摩線の永山駅付近の変電所の火災が原因だとか。しかも朝7時の時点では「運転再開にはかなりの時間がかかる模様」という状態。これは参った。

 どうしよう、と思ってGoogleの経路検索をしてみると、なんとその時点の交通情報を反映したのでしょう、京王線や小田急多摩線を利用しない経路としてバスと多摩モノレールを使って立川に出るルートが提案されました。なるほど、これなら行けそうだ。

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2019.07.19

スクールバス勢揃い? (片桐教授)

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 2019年7月18日の朝6時ごろ、本部棟前にスクールバスが多数止まっていた。全部で16台であった。

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 以前、江頭先生が個のブログ「スクールバス勢揃い?」で10台以上と報告していたが、今回はそれよりも6台多い。
 「そうか16台か」と思ったが、これだけだろうか、と疑問に思った。そこで、大学のホームページを探してみた。

 

 

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2019.07.18

フレッシャーズゼミ・ポスター発表会(江頭教授)

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 「フレッシャーズゼミ」は本学全体で行われている一年生向けの授業です。本学固有の授業なのでしょうか、「フレッシャーズゼミ」で検索すると本学のサイトの以下の説明が表示されました。

1年次演習科目「フレッシャーズゼミ」では、全教員が15名程度の新入生を受け持ち、読み・書き・プレゼンテーションするスキルを演習スタイルで教育し、学生の日本語能力を強化する。

 大学に入ると「クラス」というものが無くなってしまい、学生諸君は時間ごとに授業の行われる教室を転々とすることになります。大学で自分の居場所ができるのは研究室に配属された後となります。これが通常の大学のスタイルなのですが、入学から数年の間、居場所の無い期間は大学生にとっていろいろな意味でリスクの多い期間でもあります。

 そこで、本学ではアドバイザー制度を設けて新入生の時点からいわゆる「担任の先生」のような教員を一人一人の生徒に割り当てています。

 フレッシャーゼミはいわばその「担任の先生」が受け持つホームルームの様な授業だ、と思ってください。1年生向けのその授業時間の中で、学生諸君はグループワークを行ってポスターを作成し発表会を行った、それが今回の発表会です。

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2019.07.17

省エネを実現する仕組み「トップランナー制度」ーその2ー (江頭教授)

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 一般の人が省エネルギーや地球温暖化対策に貢献したいとき、どうすれば良いか。一つは「我慢すること」ですが、それには限界がある。可能な範囲で我慢したとして、さらにエネルギー消費を減らすには省エネ機器を導入するのが有効だろう。

 ここまでは誰もが納得できる考えではないでしょうか。でも省エネ機器を入手するためには、まず省エネ機器が売っていることが必要です。そのため政府は省エネ機器の開発を促す政策をとっていて、それが「トップランナー制度」です。

 トップランナー制度ではいろいろな機器の供給者に対し、製品ごとの省エネルギーの目標値を示し、その目標値を達成するように促しています。前回はその目標値の設定の仕方について、省エネルギーの目標値が製品のそれ以外の価値に対する評価に歪みを与えないように定められている事を説明しました。同じ機能の製品には同じ目標値を設定する。逆に言えば機能が違えば目標値も変わる、ということです。例えばTVについて、全てのテレビに同じエネルギー使用量を目標値として設定してしまうと小さいテレビの方が有利になってしまう。だから目標値はサイズ毎にエネルギー利用効率で決める、といったことです。

 さて、ここまでの話は相対的な目標値の設定に関するお話です。では目標値そのもの、絶対的な値をどのように決めるかというのが今回のお題です。

 まず、前提として目標値達成するとはどういうことか。目標値を「合格の基準」のようなものだと考えてみましょう。たとえば「テストで60点以上は合格、60点未満は不合格」という決め方。この場合、目標値は60点で、最低の基準を定めています。全ての学生がこの成績を満たす必要があり、少しでも基準を下回ればその科目は不合格になります。

 「トップランナー制度」も当然そうなっている、と思われる方も多いかと思いますが、実は「そのメーカーの製品が平均で目標値をクリアすればOK」という制度になっているのです。

 学校で言えば「クラスの平均点が60点以上なら全員合格」とか「期末試験の平均点が60点以上の人はその学期全部合格」とかでしょうか。なんとも変な制度の様にもみえます。でも「トップランナー制度」の目的は目標に到達しない製品を市場から追い出すことではありません。あくまでのメーカーによる省エネ機器の開発を促すことなのです。平均が目標を達成することができたなら、そのメーカーには目標レベルの製品を作る能力がある、ということになりますよね。

 

 

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(図は「省エネ性能カタログ」(資源エネルギー庁)より)

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2019.07.16

省エネを実現する仕組み「トップランナー制度」ーその1ー (江頭教授)

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 サステイナブルな世界を作るため、いま一番大きな問題は化石燃料由来の二酸化炭素の放出による気候変動への対応である。これには多くの人が同意してくれるのではないでしょうか。では、私達が個人として実践できることは何か。すぐ思いつくのは省エネ機器の導入なのですが、これを政策的に進めるにはどうするのか、というか今現在どのように省エネ機器の導入が進められているのか、というのが今回のお題です。

 たとえば「新しいテレビを買う」場合、省エネのためにどうすれば良いのでしょうか。今と同じサイズのテレビを買うより、より小さいテレビを買う方が省エネですよね。大型テレビを買おうなんてもってのほかです。でもちょっと待ってください。そもそもテレビってそんなに必要なのでしょうか。これを機にテレビをなくしてしまった方が省エネですよね。

 政府としては省エネルギーなテレビの開発を促すべきですが、それ以上にテレビの廃止をすすめるべきではないでしょうか。電波利用を規制してテレビ放送ができないようにすれば簡単に目的が達成できます。

 これは凄いアイデアです。なんでテレビに限る必要があるのでしょうか。エネルギーが消費されるのはそもそも人間がいるからです。一番良いのは人間そのものを減らすことです。「全宇宙の半分の生命を消し去る」のはちょっと大変そうなので、さしあたり人口を半分にしてはどうでしょうか。それを達成したらもう半分。さらに半分にして...。

 まあ、冗談はさておき、このように考えると「地球に優しくする」ことが目的であっても政府にはできないこと、やってはいけないことがあることが分かると思います。

 「省エネ機器を普及させる」という政策目標が議会の承認を得たとして、その目標を実現する際に、人々の他の面での選択(テレビを見るかどうかから、どんなサイズのテレビを所有するかまで)に影響を及ぼしてはならない。少なくとも影響を最小限に抑える努力をしなければならないのです。

 

 さて、テレビの省エネ化を進めるために、実際はどのような政策がとられているのでしょうか。資源エネルギー庁が公開している「トップランナー制度」という資料に基づいて紹介しましょう。 

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2019.07.15

オープンキャンパスを実施しました(江頭教授)

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 以前このブログ記事でも紹介した通り、7月14日の日曜日、本学八王子キャンパスのオープンキャンパスが開催されました。われわれ応用化学科も片柳研究棟7階の学生実験室を中心に、教員、アルバイトの学生諸君が協力して訪問してくれた高校生諸君、ご父兄の皆さんをお迎えしました。

 今回のオープンキャンパスは今年度2回目のオープンキャンパスです。

 今年のオープンキャンパス、応用化学科では、学科紹介、就職体験談と研究紹介、体験実験や各研究室によるデモ実験を含めた研究紹介が内容でした。これは前回通りなのですが、今回の研究紹介では研究室については私が担当、ほかに修士の学生諸君によるポスター発表についてのショートプレゼンテーションを行いました。ポスター発表+ショートプレゼンテーションは学会でもよく行われる発表のスタイルですから、いわば「模擬学会」ですね。

 また、今回もツアー形式(数名~十数名の訪問者の方をガイド訳の本学学生が案内する形式)の見学も多く、本学科の展示会場にも多数のツアーでの見学者が来場されました。

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2019.07.12

7月なのに寒い日がつづきます(江頭教授)

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 そろそろ7月も初旬から中旬へ、という時期なのですが東京では寒い日が続いています。我々応用化学科がある東京工科大学八王子キャンパスでもここ数日は涼しいを通り越して寒い日が続き、体調を崩してお休みする学生さんもちらほら。なんとも奇妙なお天気です。

 天気について、私達の感覚は直近の状況に大きく影響されます。冬は「寒いのだけは勘弁して欲しい」と言いながら夏には「暑さより寒さの方がなんぼかましだ」などと言ってはばかりません。と言うわけで、この天候本当に異常なのか、例によってアメダスでチェックしてみましょう。こちらのアメダスの過去の気象データ検索サイトで八王子でのデータをしらべてみました。

 まず、この7月の気温のデータを以下のグラフに。

 今年の7月の最低気温の最低値、つまり一番低かった温度は17.5℃。平均温度が最小値となった日、いわば一番寒かった日は7月9日で、その平均温度は18.9℃でした。この7月9日は最高気温も他のひより低い最低値で20.3℃となっています。

 これを昨年度と比較するとそれぞれ18.4℃、21.3℃、25.8℃となり、現時点で昨年度の7月よりも寒い日があった、というのは当たっているようです。

 

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2019.07.11

「反応芸人」とは言わないよなあ(江頭教授)

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 「フレッシャーズゼミ」は本学の一年生向けの授業です。「ゼミ」と名前にある様に研究室に10名程度の一年生が所属します。授業の受け方からは始まって図書館の利用方法などの手ほどきを受けるのですが、それは1年前期の始まりの頃のお話。後半は研究室単位で4~5名程度のグループをつくって自由にテーマを選んで実験を行い、その成果を最後にポスター発表することになっています。

 さて、先日そのポスターの原稿が私のところに届いたのですが、文章に何か違和感が。炭酸飲料の異物を入れたとき発泡が起こる現象が「反応」と表現されていたのです。

 いや、反応が起こってるなんて簡単に結論できないでしょう。単にきっかけができて過飽和の炭酸ガスが抜ける速度が速くなっただけでは。

これが私の意見なのですが、どうも伝わっていない。

 そこでハタと気が付いたのですが、これは私の思い込みが原因のようです。私が「反応」と言われるとすぐに「化学反応」のことだと決めつけてしまうので、化学反応が起こっている証拠云々という話をしてしまった。でも、一年生の諸君にとって「反応」という言葉はもっと一般的な言葉なのですね。

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2019.07.10

世界のエネルギー起源のCO2排出量の動向 ―2016年アップデート版―(江頭教授)

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(以下の記事は2018年7月3日の記事「減少する世界のエネルギー起源のCO2排出量」のアップデート版です。)

 地球温暖化の作用をもつガスはいろいろありますが、人間の活動によってもっとも大量に排出されていて、地球環境にも大きな影響を与えているガスはCO2であるということは良く知られています。なぜCO2ガスが排出されるのか、それは現在の社会では十分なエネルギー供給のためには化石燃料の利用が不可欠だから、ということも知られていると思います。

 では、その化石燃料から発生するCO2ガスの量はどのぐらいなのでしょうか。エネルギーに関する国際機関のIEA ( International Energy Agency ) から正にその点についてまとめた資料が出ています。

”CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION”

この資料はIEAのWEBサイトのこのページに記載があります。正規の報告書はダウンロード販売されていますが、概要(OVERVIEW)は無料でダウンロードできます。(IEAへの登録が必要。)

 2018年版の資料では2016年までのデータが整理されています。世界の総排出量は 32.31 GtCO2 、つまり 323億1千万トンとなります。日本の温室効果ガス排出量の約30倍で、やはり非常に大きな値というべきでしょう。

 排出量の2015年の値は32.28Gtで2016年の値はごくわずかに増加していますが、ほぼ変化無しと言って良いでしょう。昨年度報告された2015年の排出量はと比較すると 0.1% の減少だったのですが、その傾向は続かなかったということのようです。

 同資料の概要から以下の図を見てみましょう。

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2019.07.09

7月14日(日) オープンキャンパスを実施します(江頭教授)

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 大学とはどんなところなのか?大学にいる人間にはその風景が当たり前すぎて誰もが良く理解してくれている様に思い込んでいるふしもあるのですが、外部の人、特にまだ大学というものに行ったことがない高校生諸君にとって、大学はやっぱりよく分からないところでしょう。そう考えると大学が一般の人に開放される機会は、大学を知る、という意味で貴重なチャンスです。(もっとも大学は普通の日でも別に閉鎖されているわけではないのですが...。)私が高校生の頃にも学園祭などで大学を訪れる機会があり、それなりに「大学とはこんなところか」と思ったものでした。

 さて、最近では多くの大学で高校生向けの見学会「オープンキャンパス」が開催されているので、実際に大学を見る、というチャンスは確実に増えています。本学でも例年、この季節から夏休みに渡って数回の「オープンキャンパス」を実施しています。

 本学の八王子キャンパスでの直近のオープンキャンパスは7月14日、つまり次の日曜日に実施します。これは今年2回目のオープンキャンパス。前回6月16日のオープンキャンパスは昨年度以上の来場者があったとのことですが、さて、今回はどうなるでしょうか。

 八王子キャンパスのオープンキャンパス、予約不要で入退場自由ではありますが、工学部を見学するなら10:10からの学部説明会に参加してもらうのが標準のコースでしょう。 工学部の学部説明会では従来からの学部長の説明に加えて、学生による「コーオプ実習」の体験報告を行っています。「コーオプ実習」は企業での8週間にわたる有給の就業体験。本学工学部の特徴的な教育システムですが、ここでは入学希望の高校生諸君の少し先輩の学生さんから自身の経験に基づいた話をしてもらおう、という企画です。昨年度から開始した企画ですが非常に好評だとのこと、是非ご参加ください。

 また、共通イベントとなる「先端研究+入試説明会」(11:25~、12:20~)、「城南予備校によるAO入試対策講座 」(13:10~)も注目です。

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2019.07.08

今年もやります 危険物取扱者特定試験@東京工科大学(片桐教授)

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 今年も9月18日に危険物取扱者の特定試験をここ東京工科大学で行います。

(本学科の学生諸君は学生ポータルに掲載した告知を確認してください。受験希望者は片桐 (katagiritsms@stf.teu.ac.jp) まで「学部・氏名・学籍番号・受験種別・メールアドレス」を記載した件名に「危険物取扱者学内試験 受験希望」としたメールを送ってください。折り返し受験の準備についてお知らせします。受験申込〆切は8月7日正午を予定しています。また、〆切前日には願書準備の最終説明会も行ないます。

 危険物取扱者の試験概要などはこちらのブログをご覧下さい。

 今年、リニューアルされた消防試験研究センターのパンフの4ページ目に、本学の特定試験が紹介されました。本学の特定試験は大学で行なわれる特定試験第1号です。

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2019.07.05

応用化学科懇親会@うかい鳥山(江頭教授)

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 応用化学科の懇親会を行いました、という記事をこのブログに載せたのは今年の2月のことでした。場所は「ひな鳥山」といういろり焼きのお店で、その記事のなかで

帰り際、タクシーの運転手さんから聞いたところでは「ひな鳥山」の他にも「鎌田鳥山」「うかい鳥山」といった「○○鳥山」というお店があるとか。

と書きました。今回、また応用化学科の懇親会を行ったのですが、今度の会場は「うかい鳥山」 となりました。

 べつに応用化学科で「鳥山巡り」を企画しているわけではないのです。今回の応用化学科懇親会は東京工科大学の母体である片柳学園の職員懇親会に便乗するかたちで行いました。「うかい鳥山」は片柳学園職員懇親会のセレクション。応用化学科の懇親会 が「鳥山巡り」となったのは実は偶然だったのです。

 

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2019.07.04

エーテルってなに?(江頭教授)

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 今回の記事は昨日のコナン・ドイル著「毒ガス帯」に対する書評に対する追加説明です。「毒ガス帯」は人類滅亡をテーマとして1913年に書かれた小説です。ではなぜ人類が滅亡するのか、小説のなかでの設定について先の記事で私は「地球全体が今までと違う状態にある宇宙の領域に入り込もうとしている」と紹介しました。でも実は本書の内容紹介での説明は

ある日地球の軌道上に突如としてエーテルの毒ガス帯が発生し...

となっているのです。この説明はあまり適切ではない。そう思って書き換えたのですが、その理由を説明したいと思います。

 まず、エーテルとは何でしょうか?いまこの質問をすれば十中八九、「含酸素有機化合物で...」という回答がくるのではないでしょうか。でも本書が1913年に書かれたことに注意してください。ここで「エーテル」と呼ばれているものは光の媒体となる存在として仮定されたものであって、有機化合物のエーテルの事ではないのです。当時、光が波動である、ということは確認されていたのですが波動がある以上はその媒体があるはずだ、と考えられていました。その媒体をエーテルと名付けたわけで普通の物質とは相当性質の異なるものであることは明かでした。

 この意味でのエーテルは目にも見えませんし匂いもしない。凝縮させて液体にすることもできません。物質との相互作用を突き詰めてゆくと次第に物質的な特性が曖昧になり、やがてエーテルという実態を考えるより空間そのものの性質と考える方が適切だと理解され、この意味でのエーテルという概念は放棄されるに至ったのでした。

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2019.07.03

書評「毒ガス帯」(江頭教授)

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 「コナン」というと昔は筋肉ムキムキの蛮族か異様に身体能力の高い少年のことだったのですが、最近は「見た目は子供、頭脳は大人」な探偵と言うことになっているのでしょうか。今回はその名前の元になったという作家、コナン・ドイルの小説「毒ガス帯」について紹介したいと思います。

 この作品のテーマはズバリ「人類滅亡」です。

 ある日天文観測データの異常から地球全体が今までと違う状態にある宇宙の領域に入り込もうとしていることに気がついた科学者。その状態変化は人間、いや全ての動物に対して致命的な影響を与えることが予想された。科学者はかつての冒険旅行の仲間達を呼び集め、変化の影響を緩和する酸素ガスによって十数時間の間、延命を計る。彼らの元に人類の最後の情報が次々ととどけられ、やがてその情報も途絶えた後、最後の酸素ガスボンベがそこをつくのだが...。

 というストーリー。この「冒険旅行」というのは同じくコナン・ドイルによる「失われた世界(ロストワールド)」で描かれた恐竜の生き残った秘境への冒険譚のこと。つまり、この「毒ガス帯」は「失われた世界」の続編なのです。

 なぜわざわざこの小説を紹介しようかと思ったのかですが、これは以前の記事(「2050年人類滅亡!?」釣りタイトルもほどほどに、という話)でも紹介したように「人類滅亡」という事象について少し真面目に考えて見たいと思ったからです。

 

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2019.07.02

ヨーロッパの熱波(江頭教授)

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 以前このブログでオーストラリアに出張して40℃越えの環境で野外作業することになった、という経験を紹介しました。要は暑さ自慢だったのですが、そもそもオーストラリアの内陸部は乾燥地、いわゆる砂漠で夏には40℃を越えることも珍しくありません。今年の夏は後半に結構暑い日が続き、私がたまたまそのタイミングで出張した、というのが実情。現地の人々は、大変だよ、とこぼしてはいましたがそれほど深刻な事態、という様子ではありませんでした。

 ところが最近のニュースによれば、今年のヨーロッパの熱波は少し様子が違うようです。フランスでは40℃どころか45℃を越える気温。これは観測史上最高気温だ、というほどに暑いのだそうです。

 聞けばヨーロッパは2003年にも熱波を経験していて、その際には農作物の不作などの経済的な影響に留まらず熱中症による死者も少なからずあったと言います。その時点で1540年以の熱波と言われていたのですが、たった16年後の2019年にその記録が塗り替えられるかも知れない、という事態になっているのです。

 さて、このような熱波にはどのような対応を取るべきなのでしょうか。

 

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2019.07.01

「受信相談」という番組がありまして(江頭教授)

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 工学部の会議が終わった時の話です。工学部全体の会議の後に各学科の会議を行う予定になっていたのですが、学科ごとに違う会議室を使うので少し時間を空けます。そこで一言。

応用化学科の会議は4時5分から開始します。

あれ、この「4時5分」ってなんか聞き覚えがあるような。そういえば音楽がついていたような。

 4時5分、4時5分、…ふんふん…テレビを見るために…

思い出した!これ「受信相談」の音楽だ。

 私が子供のころ、NHKで放送していたミニ番組です。本当に「4時5分」に放送していたかどうかはわからないですが、平日の昼に放送していたように思います。つまり、当時の私は平日の4時5分に家にいるくらいの年齢だった、ということですね。

 さて「受信相談」がどんな番組なのか。今の人にはわからないと思います。

 

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