「反応芸人」とは言わないよなあ(江頭教授)
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「フレッシャーズゼミ」は本学の一年生向けの授業です。「ゼミ」と名前にある様に研究室に10名程度の一年生が所属します。授業の受け方からは始まって図書館の利用方法などの手ほどきを受けるのですが、それは1年前期の始まりの頃のお話。後半は研究室単位で4~5名程度のグループをつくって自由にテーマを選んで実験を行い、その成果を最後にポスター発表することになっています。
さて、先日そのポスターの原稿が私のところに届いたのですが、文章に何か違和感が。炭酸飲料の異物を入れたとき発泡が起こる現象が「反応」と表現されていたのです。
いや、反応が起こってるなんて簡単に結論できないでしょう。単にきっかけができて過飽和の炭酸ガスが抜ける速度が速くなっただけでは。
これが私の意見なのですが、どうも伝わっていない。
そこでハタと気が付いたのですが、これは私の思い込みが原因のようです。私が「反応」と言われるとすぐに「化学反応」のことだと決めつけてしまうので、化学反応が起こっている証拠云々という話をしてしまった。でも、一年生の諸君にとって「反応」という言葉はもっと一般的な言葉なのですね。
英語で表現するとわかりやすいのですが、反応は reaction のこと。 action に対して re-action なのですから、炭酸飲料に異物を入れるのが action で、それに対する re-action である発泡が「反応」だ、というのは至極理にかなっているのです。
なるほどこれは私がわるかった。とは言え、やっぱりポスター原稿の「反応」は使わないことにしてもらいました。だって、同じような勘違いをする人は化学系にはたくさんいそうですからね。
さて英語では action に対して re-action だ、と書きましたが日本語で「反応」に対応する言葉は何でしょうか?「反」にも「応」にも action に相当する意味はなさそうなのですが…。そう考えると英語の reaction と日本語の「反応」はやはり違います。だって、「リアクション芸人」とは言うけど「反応芸人」とは言わないでしょう。
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