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M1就職ガイダンスでの「お話し」(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 2019年9月20日にM1就職ガイダンスが行なわれました。大学院生の就職活動のガイダンスです。
 研究科長としてあいさつをいたしました。私の前に梶原先生が格調の高いお話をされたので、同じように重ねても学生さんには面白くないだろうと思い、用意した原稿の内容をぶっちゃけた形であいさつに代えました。
以下に当初準備したあいさつの原稿を掲載します。実際はもっとラフなあいさつになってしまいました。

190920 片桐
就職ガイダンスのあいさつ(5分)

 就職活動に臨まれる皆様へ、30年前に就職した片桐からのアドバイスです。

 これからまっとうな就職活動のお話を聞くことになるのですが、大学院の就職は、大学の主食とは異なる別ルートもあります。
 具体的には教員へ個人的に学生の斡旋をお願いされるケース、俗に一本釣りと言われます。もうひとつは学会などで目を付けられ、引っ張られるケースです。

 私は一本釣りで最初の就職をしました。博士課程修了時にいろいろあって、ポスドクになり、その後29歳のときに会社員になりました。29歳の新入社員です。新入社員の中には高卒の人もいたので、干支が一回り違う人と一緒に入社式に臨みました。
 私のころ、博士出の学生の就職は「教授の言いなり」でした。就職先の決定権は教授にありました。私の師匠の丸山教授はそのような旧世代教授のボス教授でした。
 ある日、教授に「片桐君、夕飯を食べにいこう」と誘われました。もちろん拒否権はありません。「お伴します」、で大学の建物を出ると、ハイヤーが待っていました。
 つれられていったのは、京都祇園石部小路の料亭です。そこで、就職先の会社の研究担当重役と研究所長と副所長との夕食を取りました。後で聞いたら、一見さんお断りの店で、京セラの稲盛会長がよく食べにくるような店でした。
 その次の日の朝、また教授室に呼びつけられ、「昨日はおいしかったねえ。片桐君、明日、東京の本社に行って面接を受けたまえ。」で就職が決まりました。私は自分が会社員になる様を想像できなくて不安でしたが、教授は一言「片桐君なら会社員を勤められる」といわれ「はあ、そうですか」で決まってしまいました。
 だから、学生さんは教員の先生と密にコミュニケーションをとり、仲良くなっておかなくちゃ、損です。


 私が大学教員になってから、所属していた研究室の学生さんの場合では、アメリカで行なわれた国際学会において一生懸命に英語で自分の仕事を説明していたら、某社の研究担当重役の目に留り、まず、その場にいた私に彼の人物像を聞かれました。「彼ってどんな学生?」

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 私は彼の人物を伝える際に、その学会に参加する途中での飛行機の乗り継ぎで大変な目に遭いかけ、アトランタの空港で1 km以上も走らされた時に、「オレはもうダメだ、S君だけでも飛行機に乗ってくれ」「いやです。先生、あきらめないで、走りましょう」、と励まし、で結局ぎりぎりで間に合ったというエピソードを紹介しました。
 その後、彼は「一度、うちの会社にあそびにきてね」と名刺を渡され、内々定し、入社しました。
 会社さんは常に優秀な人材を探しています。学会直後にお電話で「あのポスター発表をしていた学生さんの就職はもう決まっているの?。彼どんなん?」と問い合わせが来ることもしばしばあります。ありとあらゆる機会に、貴方の実力は評価されています。そして、その会社さんの欲しい人材であれば、相手は一生懸命あなたに声をかけてきます。

 大学院の学生さんはまず自分に実力をつけましょう。学会での発表が素晴らしければお誘いがかかります。お誘いのかかるように自分を鍛えましょう。
 そして、やはり先生と仲良くしておきましょう。とっても大事です。


 大学教員になって、学生さんの就職の面倒を見る立場になってみると、学生さんの「できる仕事」と「やりたい仕事」にはミスマッチがありました。教員は傍目八目で、その学生さんがその仕事に向いているかどうか、よく見えます。しかし、「やりたい仕事」と「できそうな仕事」がマッチしている人はごく少数です。
 マッチしていない職を希望する学生さんはなかなか就職できずに苦戦します。
 ではどうすればよいでしょう。答えは簡単、希望をあきらめて自分にマッチしたところにするか、自分を変えて希望にマッチさせればよいわけです。実力をつけましょう。
 うちの研究室では、まず、自分のできることを詳細にまとめたCV(Curriculum Vitae)を作製させます。そして、その作成作業は、自分のつきたい仕事と自分の能力がマッチしているかを、何が足りなくて、どのような技能をあと半年なり一年で身につけなければいけないか、それを真正面から見つめさせてくれます。
 だいたい、多くの学生は、この作業をいやがります。放棄するも者も多くいます。しかし、この作業をしっかりとして、自分を自分で欠点を克服し、自分を鍛えた学生さんは、あの2000年代の不況の時でもすんなりと就職できましたし、就職先で昇進しています。

 良い就職をするためには「自分が何をしたいか」も大事ですが、「自分には何ができるか」をしっかりと見なおして、活動に臨むことが大事です。そのために、自分を客観的に評価してくれる先生の意見を大事にしなさい。キャリアサポートセンターの方々との本音のつきあいを大事にしなさい。厳しいことをいってくれる人を大事にしなさい。

 以上、就活に臨む皆さんへのアドバイスです。

 

片桐 利真

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