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2019年10月

2019.10.31

高校の理科ってなんだっけ。(江頭教授)

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 本学科では高校との交流として出張化学実験(例えばこちらの記事)や出張講義の他に高校訪問を行っています。東京工科大学全体としても毎年、高校訪問を行っているのですが、本学では別途、学科独自の高校訪問を行い、高校の特に化学専門の教員の方々と情報交換をする機会を作るようにしています。

 高校における化学の教育のありかた、というより高校教育の中での化学の位置づけというのはだいぶ変わったと思います。何から変わったか、といえば私が学生だったころと比較して、という意味なのですが、まあ、もう20年も昔のことなので変わって当然でしょう。

 すいません、サバを読みました。20年じゃなくて40年前ですね。

 さて、40年前と今とで何がかわったのでしょうか?

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2019.10.30

「天ぷら油は充分に有効利用されている、というはなし」のその後のはなし(江頭教授)

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 以前紹介した「天ぷら油は充分に有効利用されている、というはなし」、廃棄されるてんぷら油をバイオ燃料に、と思ってプロセス開発をした。ところがてんぷら油はすでにリサイクル(リユース)されていて、廃てんぷら油が集まらなかったというおはなしでした。(その際も注意書きをしましたが、この話は伝聞で真偽については私にも定かではありません。)で、今回はその話には続きがあった、というものです。もちろん、最初の話が真偽不明なのですから、今回の話も真偽不明となることをお許しください。

 この後日譚では、廃てんぷら油を見つけられなかったプロセスの開発者は、いろいろふさわしい原料を探して今度はパーム油に注目したことになっています。アブラヤシ(パーム)の実からとれた油でちゃんとバイオマス燃料の製造に成功した、めでたしめでたし、というのです。

 

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2019.10.29

白衣に穴が開く話(江頭教授)

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 この秋から私は学生実験の担当になりました。久々に学生実験を見ることになって思い出したのが表題の「白衣に穴が開く」という現象です。

 あっ、化学の実験をしている人は白衣に穴が開くのは当たり前だと思いますよね。それは私もおなじです。化学の実験では酸やアルカリを使うのでそれが白衣に付着するとてきめんに穴が開きます。硫酸で焦げたようになった穴、水酸化ナトリウムで布がぽろぽろと崩れ落ちたあとにぽっかりと空いた穴。この穴はあの時のミスのせい、こちらの穴はついこないだこぼしたせいだろうなあ。白衣の役割は下に来ている服の防護という意味合いもあるのですから、宜るかなといったところでしょうか。でもこういう時は穴の開いた理由に心当たりがあるものです。

 ところが今回私が言っている「白衣に穴が開く」現象、これは私が昔学生実験を担当していた時に、自分は実験していないのにいつの間にか穴が開いている、という現象のことです。別段、誰かが酸をこぼしたとかアルカリはぶちまけたとか、そんな事故もなく平穏無事に実験が行われていたはずなのに、数か月の実験のあとでいつのまにか白衣に穴が開いているのです。

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2019.10.28

「コマンドプロンプトでファイル名を指定すると関連付けられたアプリケーションが立ち上がる」って知ってました?(江頭教授)

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 いや、知っている人からしたら何をいまさら、というお話です。

 コマンドプロンプト、といってもわからないひともいるかなー。昔は「DOS窓」とか言ったっけ。WindowsやMacOSなどのマウスなどのポインティングデバイスを利用したグラフィカルユーザーインターフェイスが一般化する以前、キーボードをつかってPCを操作していた時代がありました。キーボードから必要とするアプリケーションプログラムの名前を打ち込んで起動する。このキャラクターユーザーインターフェイスという方法がマウスがない時代のPCの使い方だったのです。

 さて、今はPCにもWindowsが導入されグラフィカルユーザーインターフェイスが一般的になりました。でも、その後もキャラクターユーザーインターフェイス(長い!以降CUIで)を使いたい、そんなニーズにこたえるためにWindowsにはコマンドプロンプトというCUIを実現するためのアプリケーションがあります。(Windows10ならスタートアップから「Windowsシステムツール」の下にあるはずです。)

 さて、「キーボードから必要とするアプリケーションプログラムの名前を打ち込んで起動する。」のがCUIの使い方なのですが、つい最近、間違えてアプリケーションプログラムで開く方のファイル名を打ち込んでしまいました。単に間違えだったのですが、それが何と!ちゃんとアプリケーションプログラムが立ち上がり、打ち込んだ名前のファイルを開いてくれたのです。

 以下のように「memo.txt」と打ち込んでエンターを押すと

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こんな感じで「notepad.exe」が開いてmemo.txtの内容を表示してくれます。

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2019.10.25

「第一回 工学部サロン」を開催しました。(江頭教授)

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 我々応用化学科は工学部に属していますが、本学の工学部は機械工学、電気電子工学、そして応用化学の3学科体制となっています。授業も大部分は学科単位で行いますが、一部の授業は工学部共通で行われるなど、学生の学科間の交流が行われています。教員についてもそれは同じ。毎月の学部としての会議(教授総会、アゴラ)がフォーマルな交流であるとすると、学部懇親会という形式張らない交流の場もあります。

 さて、今回(2019年10月23日)開催された「工学部サロン」はこの中間ぐらいのイベントと言って良いでしょう。懇親会と同様、夕食会でアルコールあり。でも少し違うのは各学科の先生から話題提供のプレゼンが行われたことです。テーマは「2050年の社会と技術を語る」。機械工学科からは大久保准教授、電気電子工学科からは天野准教授、そして応用化学科からは西尾教授が登壇されました。

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こちらは開会の挨拶をされている山下学部長です。このあと3人の先生のプレゼンへとつづきました。

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2019.10.24

天ぷら油は充分に有効利用されている、というはなし(江頭教授)

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 まず始めにお断りを。今回の記事の内容は私が10年程前に人づてに聞いたお話です。その当時実際のところどうだったのか、現在はどうなのか、私は確認していません。興味深い論点があると思うのですが本当かどうか分からない話だ、という前提で読んでみてください。

 という、エクスキューズからスタートしたのですが今回のお題は「バイオマス」について。それも具体的で「天ぷら油」についてのお話です。これは私が本学(東京工科大学)の応用化学科に赴任してくる以前、大阪大学にいた頃に聞いたお話です。

 バイオマスのエネルギー利用が必要だ、という観点から使用済みの天ぷら油の燃料化の研究をした人がいたそうです。油はグリセリンと脂肪酸の混合物ですが、これを分解し、脂肪酸から液体燃料をつくる。触媒などの技術開発を行ってテストプラントを準備して、さあ廃天ぷら油で実証試験だ、と思ったのですが廃天ぷら油が思う様に集まらない。これは一体どうしたことか...。

 天ぷら屋さんに聞いてみると、天ぷらのお店では一番油を使う店とニ番、三番油を使う店があるのだとか。実は天ぷら油は天ぷら屋さんの間ですでにリサイクル(リユースでしょうか)のシステムができあがっていて廃棄するような油はほとんどない、というのです。

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2019.10.23

バイオマスだけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

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 このブログでは「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して4回(その1その2その3番外編)、「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して4回(その1その2その3その4)の記事で再生可能エネルギーのもつ可能性について紹介してきました。今回はバイオマスについて。元ネタは風力発電のときと同じく「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」のデータです。

 「再生可能エネルギー白書」では下の図が日本のバイオマスエネルギーのポテンシャルとして示されています。賦存量が全ての存在量、というかこれは年間での値ですから発生量ですね。そのうちで利用可能なものが図にはオレンジ色の棒グラフで示されています。

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2019.10.22

台風の統計は1991年までなかった、ってそんなバカな(江頭教授)

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 台風19号が日本列島を通過してからほぼ一週間になりますが、その規模と被害の大きさは記録的なものだったといいます。我々、応用化学科のある八王子キャンパスも12日には閉鎖となり、また翌13日に企画されていた本学科初の同窓会も中止を余儀なくされました。

 さて、この台風が日本に接近していた11日、読売新聞に以下のような記事を見つけて私はひどく驚いてしまいました。

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 鉄道が止まる、航空機の欠航がある、ラグビーの試合が中止。みな大きなニュースですが私が驚いたのは以下の記述です。

 

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 日本の台風の記録って1991年に始まったのか。えっ、でも1991年なんてついこないだじゃないか!

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2019.10.21

熊本にも“HACHIOUJI“があるらしい(江頭教授)

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 先日かかってきた電話、運送会社からでした。

 あのー、そちら東京の八王子ですよね…。

はい。そりゃ、八王子ですからね。鎌田キャンパスと間違ってる、いや、あそこも東京だよなぁ、などと思っていると

 えっと、そちらに海外からの小包が届いているんですが、

うんうん。何かったのかな。

 それ、熊本の「はちおうじ」に送ってしまったんです。

えっ、熊本の八王子?

 いえいえ、「八王寺」ですね。私の荷物は熊本県熊本市中央区八王寺町に行ってしまったようです。

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2019.10.18

風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その4(江頭教授)

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 「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えるこのシリーズ、その1その2その3と来たので今回でまとめたいと思います。NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に示された「導入ポテンシャル」に基づいて「陸上風力発電では日本のエネルギー需要(2017年度)の2割程度の発電しかできない」が、「洋上風力発電では日本のエネルギー需要以上の発電量が期待できる」のです。ただし、「一般社団法人 日本風力発電協会」が公開している「風力発電導入ロードマップ:ビジョン」をみると、2050年でも風力発電の目標値 21GW 。これは2017年の日本の最終エネルギー消費の約5%に留まっている、というのが今までのおはなしでした。

 さて、もう一度NEDO の資料にもどって、 そもそも「導入ポテンシャル 」 とは何かを見てみましょう。

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わざわざ図で説明されているのですが、日本の面積のうち、自然要因や法規制によって開発不可能な土地を除いて計算した面積から得られるエネルギーがポテンシャルとなります。まず定義によって経済性の有無は考慮されていません。それに加えて開発不可能の線引きも難しい、という問題点が指摘されています。前回も指摘したように陸上風力発電と比較して洋上風力発電は新しい技術なので「線引き」の難しさもより深刻なのでしょう。導入ポテンシャルのどれくらいの割合が実際に導入可能なのか、固めの見積がされることで導入ポテンシャルに比べて比較的小さな導入可能量となっていたのだと考えられます。

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2019.10.17

風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その3(江頭教授)

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 「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えるこのシリーズ、その1その2につづいて今回で三回目となりました。「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に示された「導入ポテンシャル」に基づいて「陸上風力発電では日本のエネルギー需要(2017年度)の2割程度の発電しかできない」が、「洋上風力発電では日本のエネルギー需要以上の発電量が期待できる」という結果を示しました。でも「導入ポテンシャル 」ではなく「導入可能量」のデータをみると必ずしも…、というところで前回は終わっているのですが、今回は少し別の角度から風力発電の未来について考えてみましょう。

 今回の元ネタは「一般社団法人 日本風力発電協会」が公開している「風力発電導入ロードマップ:ビジョン」という資料です。

 2050年までの長期の目標として設備容量で7,500万kW (75 GW) 以上 発電量で 約1,880億kWh/年(21GW) という目標を掲げています。

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2019.10.16

風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)

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 「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」(その1その2その3番外編)と題して太陽電池の可能性について紹介しましたが、前回からは風力発電について同様に「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えています。

 前回は陸上風力発電について、「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に紹介されているポテンシャルの推計データをもとに「設備容量としては290GW(経済産業省)か280GW(環境省)と大きい」のですが「発電量はそれぞれ 80 GW、67GW 」となり「やはり日本のエネルギーをまかなうには足りない」ことを示しました。国土面積が小さく山が多くて平地の少ない日本ではよい風の吹く場所が少ないのでしょうか。

 実はさらっと「陸上風力発電」のポテンシャル、と書いたのですが風力発電にはもう一つの大きな領域、すなわち洋上風力発電もあります。今回はこの「洋上風力発電」のポテンシャルについえ考えていましょう。日本の陸地は狭いですが海は広い。海上では風を遮るものも少ないことを考えると有望そうですね。

 以下の図が再生可能エネルギー技術白書に示された「洋上風力発電」のポテンシャル。前回の陸上風力発電にくらべると文字通りけた違いに景気の良い数字が並んでいます

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 前回同様、まずは設備容量の導入ポテンシャルから。経済産業省は15億kW、環境省は16億kWと推計しています。それぞれ、1500GWと1600GW。以前紹介した日本の一次エネルギー国内供給635 GWと余裕で上回っています。

 以上は設備容量のはなし。では発電量をみてみましょう。

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2019.10.15

風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

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 以前このブログで「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」(その1その2その3番外編)と題して太陽電池の可能性について紹介しました。今回は風力発電について、同様の考察をしてみたいと思います。

 まず、元ネタから。今回は「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」からのデータを紹介しましょう。クレジットは「独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構[編]」となっています。2014年2月、森北出版から書籍版が出ていますがNEDOのWEBサイトから電子版がダウンロードできます。

 さて、この報告書で風力発電のポテンシャルはどう評価されているのでしょうか。まとめの表を以下に引用しました。

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 表には経済産業省の見積もりと環境省の見積もりが併記されています。経済産業省の見積もりが二つあるのはポテンシャル推計の前提に違いがあるからです。環境省の見積もりと経済産業省の大きい方の見積もりがほぼ同じ値となっていますから、こちらを前提として考えてみましょう。

 導入ポテンシャルは経済産業省は2億9000万kW、環境省は2億8000万kWとなっています。つまり、290GWか280GWとなります。以前紹介した日本の一次エネルギー国内供給635 GWと比べると半分弱と、それなりの値です。

 さて、以上の議論は設備容量のお話。次はより実用に近い発電量として比較してみましょう。

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2019.10.14

台風一過の八王子キャンパス2019年度版(江頭教授)

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 10月12日、今年最大級の台風といわれる台風19号によって関東を含め日本の多くの地域で大雨が降りました。我々、応用化学科がある東京工科大学八王子キャンパスもその影響を受けました。

 下の図、真っ赤で何かわからないかもしれませんが、12日19:55のレーダーによる降雨状況を示すアプリの表示です。降雨速度が全領域で30mm/h以上の赤表示。下の地図が見えないのですがかろうじて「東京工科大学・八王子キャンパス」の文字が見えています。別にキャンパスに泊まったわけではありませんが、大学キャンパスの比較的近くに家があるので天気の様子が分かりました。今回の台風、雨は激しかったのですが、風は恐れていたほどには激しくなかったように思います。翌13日に入ったころには台風による風雨も落ち着いたようで安心して就寝することができました。

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 さて、翌日です。近所に住んでいるメリットを生かして徒歩で八王子キャンパスに行ってみました。

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2019.10.11

[訂正あり][追加情報]今週末(10月14日)に学園祭(紅華祭)が開催されます(江頭教授)

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 以下の記事の内容は10月11日、10:00の情報に基づくものです。現在(11日 17:00)には状況が変わって以下の様に、

台風19号接近にともない、10月13日(日)14日(月・祝)に予定されている紅華祭は、JR東日本の計画運休にともない、13日(日)の開催を中止し、14日(月・祝)のみの開催とします。ただし、準備時間不足により、縮小開催となりますことをご理解くださいますよう、よろしくお願いいたします。

14日のみの開催となりました。

 13日のイベントは全て中止となりましたので、この日に計画していた本学科の第1回同窓会も中止となってしまいました。台風が原因では仕方ないこととは言えとても残念です。

 

 本学の学園祭、「紅華祭」(コウカサイと読みます。工科大学にかけたネーミングですね。)、今年は今週末の13日、14日に行われます。

 と、先日書いたところなのですが今週末はまさに台風19号がやってくるとの予想です。さて、どうなることかと思っていたのですが、以下の様な判断となりました。

台風19号接近にともない、10月13日(日)14日(月・祝)に予定されている紅華祭は、13日(日)午前を準備とし、順次開催とする、縮小開催にいたしますが、午前11時の時点で、JR横浜線または、中央線が運休している場合、多くのイベントが、中止となります。

14日(月・祝)には、通常の開催ができるようにいたしますが、天候や交通状況により、準備の遅れ等が予想されますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

詳しくは紅華祭のホームページをみていただくとして、13日の日曜日には台風が去ることを期待しての縮小開催となりました。

 

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2019.10.10

ロケ地としての東京工科大学八王子キャンパス その2(江頭教授)

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(以下の記事の内容は今年の8月の出来事についてです。従って写真も8月に撮影したものです。)

 我々工学部応用化学科は本学八王子キャンパスの正門近くにある大きな建物、片柳研究棟にあります。八王子キャンパスにはもう一つ大きな建物群があり、両者の間は少々距離のある坂道でつながっています。

 さて、片柳研究棟とは反対側の建物群の脇にはプールがあります。「えっ、大学でもプールの授業があるの?」と思った人もいらっしゃるかも。でもこのプールを授業で使うのは専門学校で、大学で利用するのは水泳部くらいです。

 では、水泳部と専門学校だけが利用者か、というとそういうわけでもありません。高校の水泳大会などで多くの高校生が集まってくることもありますから、このプールは外部に貸し出されることもあるのですね。 

 先日(とは言え8月のことです)このプールのそばを歩いていると何やら見慣れないものがプールの中にある様な。

 

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アップにしてみましょう。プールの中にやぐらが建ててあるのです。

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これは一体...。補修工事でも始まるのでしょうか?

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2019.10.09

今週末(10月13日、14日)に学園祭(紅華祭)が開催されます(江頭教授)

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 「読書の秋」「スポーツの秋」など、いろいろな表現がありますが、日本人にとって秋はやっぱり収穫の季節なのでしょう。秋には収穫を祝うお祭りが行われていた、その伝統を引き継いでいろいろな大学の学園祭も秋に行われるものが多いのではないでしょうか

 本学の学園祭、「紅華祭」(コウカサイと読みます。工科大学にかけたネーミングですね。)の開催も秋に。今年は今週末の13日、14日に行われます。

 今年も応用化学科の有志による発表が予定されています。片柳研究棟7階、応用化学科の学生実験室を利用して実験ありの展示を行う計画です。オープンキャンパスとはまた違った形で大学とその施設を見るチャンスです。是非、ご来場ください。

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2019.10.08

太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?番外編(江頭教授)

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 ここ数回、「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」を元に考えてきました。前回で一応、「非住宅系の建設物への太陽光パネルの設置のポテンシャルは設備容量で150GW程度と大きいが、発電能力は15GW程度。日本で消費されているエネルギー424GWと比較すると見劣りする。つまり、太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなうことはできそうもない。」という結論を示したのですが、今回は別の資料を元に同様の考察をしてみたいと思います。

 今回の元ネタは一般社団法人「太陽光発電協会」が公表している「JPEA PV OUTLOOK 2050 “太陽光発電 2050 年の黎明”」という資料です。ここで示されている導入量予測は「ポテンシャル」よりは現実的な数値ではあるものの、2050年というやや遠い未来への展望でもあるため理想的なシナリオに基づく予測、という位置づけになると思います。

 この2050年のビジョンを検討するまえに、まず現状としてあげられている2015年のデータを見てみましょう。

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 2015年時点でに導入された累積稼働容量は32GWとかなりの数値です。ただ、発電量は 343億kWh(正確にはkWh/y)であり、単位を換算すると約4GWとなります。日本の全エネルギー消費に比べると約1%。まだまだ少ないことが分かります。

 

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2019.10.07

太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その3(江頭教授)

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 前々回前回と「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」を元に考えてきました。今回はこの話に一応の結論を出したいと思います。

 まず最初に注意書きをしておきましょう。この話、はじめにでた結論があとでひっくり返る形になっています。結論については、必ず最後まで読んでから判断してください。

 さて前回までで、この調査報告書の「レベル3」の「導入ポテンシャル」がいわゆる限界まで太陽光を導入したケースだとみなす、という結論になっていたかと思います。報告書にはもちろん、その結果の数値が示されています。

 図には公共施設系の結果がまとめられていますが、数が多いのでしょうか、学校がダントツの数値をだしていて、レベル3で1,600越え。表からデータを拾うと1,679.21となっています。単位は万kWですから17GWです。

 他のカテゴリーで大きいもを観てゆくと工場25GW、最終処分場11GWなどがありますが、大物は耕作放棄地で70GWとなっています。全部合計すると 149GW に達します。

 以前紹介したエネルギー白書のデータでは日本が使っているエネルギーは一次エネルギー基準で635GW、最終消費エネルギーでは 424GW となっています。149GWでは足りないと言えば足りないのですが、それなりの存在感のある数値ですね。

 はい、では最初の注意書きとおり、ここで結論をひっくり返すことにしましょう。

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2019.10.04

太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)

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 今回のお題は前回から引き続き「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」です。環境省の委託事業の報告書「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」の導入ポテンシャルのデータに基づいて考えてみよう、というお話です。

 さて、この報告書で試算の対象となっているのは大きく分けて「公共系建物」、「発電所・工場・流通施設」、「低・未利用地」の三つのカテゴリーとなっています。住宅が含まれていない点には注意が必要です。調査の方法はそれぞれのカテゴリーを細かく分類して、その代表例となる様な具体的な施設を選定、そこに太陽光発電を導入することを想定して太陽エネルギーパネルの配置図を作成してみる、というなかなか手の込んだものです。図は小学校にパネルを配置した例。小学校はこの調査では公共系建物のサブカテゴリー「学校」に分類されている施設となります。

 図中、青、黄色、赤に色分けされているのはレベル1~3に対応したパネルの設置場所です。青はレベル1の設置場所で、設置しやすいところ。赤はレベル3で設置面積を大きくするために積極的にパネルを配置することを想定しています。黄色はレベル2で、これはレベル1と3の中間です。

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2019.10.03

太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

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 今回のお題はそのものズバリ「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」です。再生可能エネルギーで最も有名かつ最も身近なのが太陽電池ではないでしょうか。いまでは家の屋根に太陽電池が乗っているのは普通の風景になっていますし、メガソーラーなどの話も耳にします。ひょっとして太陽電池があれば原発も石炭火力もいらないのでは...。みなさんはどうお考えでしょうか。

 さて、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは膨大ですから、日本全土に太陽電池を敷き詰める、それでも足りないなら海洋に浮遊体を置いてそこに太陽電池を並べる、そうすれば「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえる」のは当然だとも言えるでしょう。でも、これはいくら何でも非現実的ではないでしょうか。ということで、もう少し現実てきな推計を探してみることにしましょう。

 そう考えて見つけてきたのが今回の元ネタ「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」です。環境省の委託で実施された調査、平成23年(2011年)公表ですから実際に調査が行われたのはその前年、平成22年(2010年)です。東日本大震災直前という言い方もできますが、ちょうど東日本大震災の時に導入が決まった固定価格買い取り制度、通称FITを念頭にどの程度の再生可能エネルギーの導入増が期待できるか、を試算したものです。

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2019.10.02

日本人はどのぐらいのエネルギーを使っているのか?(江頭教授)

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 人間が文化的な生活を送るためには資源やエネルギーが必要です。その資源やエネルギーを得るためにはどうしても環境への影響を与えてしまう。これが「人間(People)」と「自然(Planet)」との相克であり、そのバランスをとることがサステイナブル工学の一つの目的でもあります。

 さて、今回のお題は「人間(People)」はどのぐらいのエネルギーを必要としているのか。具体的にどの程度なのでしょうか。日本を例に考えて見たいと思います。

 元ネタは「エネルギー白書」。今回は2019年度版で調べてみましょう。ちょっと眺めるとちょうど良い図がありました。「第2部 エネルギー動向 / 第1章 国内エネルギー動向 / 第1節 エネルギー需給の概要」に以下の図が載っています。実はCOLUMNの中の図なので2017年度のデータですが分かりやすくまとまっています。

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 図の左側は「一次エネルギー国内供給」右側は「最終エネルギー消費」です。エネルギーは必ずしも使いやすい形で供給されるわけではありませんから途中で変換が必要です。その部分のロスを考えるとエネルギーの供給より消費の方が少なくなるのです。具体的な数値は

一次エネルギー国内供給 20,035
最終エネルギー消費   13,382

単位は1015J、PJ(ペタジュール)だとか。

 PJとか言われても凄く大きい、という以外よく分からないですね。そもそも J(ジュール) というのはエネルギーの単位なので、1年分のエネルギー。これは数値も大きくなるのでしょう。1ヶ月あたり、1日あたり、いっそ1秒当たりに換算したらどうでしょうか。単位は J/s つまり W になります。で、換算した結果を以下に。

一次エネルギー国内供給  635 GW
最終エネルギー消費    424 GW

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2019.10.01

太陽電池を初めて見た時の記憶(江頭教授)

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 新しい技術が世の中に出てきたとき、そんな時を記憶しているのは年配者の特権なのかもしれません。「生まれて初めてテレビというものを見たときは…」とか「初めて触ったプラスチックは…」とか。私の親の世代の人たちからはそんな話を聞きます。さすがに私は生まれた時からテレビもプラスチックもあった世代なのですが、それでも「〇〇を初めて見た」という経験はあります。今回のお題はそんなお話です。

 「太陽電池」という技術があることは知っていましたが、実物を初めて見たのは大学生になってからだったと思います。1年生のときの物理の実験、そのデータ整理をしているときに班の一人が太陽電池付きの電卓を持ってきていたのでした。自慢する気満々だったのでしょう。これ、太陽電池付きだから電池がいらないんだぜ、などなど。

 へーっ、それはすごい。

 班のみんなは私も含めて身を乗り出します。取り囲むみんなの陰になって件の電卓に蛍光灯の明かりが届かなくなる。それと同時にフッーと表示が消えました。そうです、当時の太陽電池の性能では十分に明るい照明のもとでなければ電卓の電源を維持できなかったのです。

 

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当時の電卓がどんな様子だったのか、はっきりとは思い出せません。こんな関数機能が豊富なものではなかったのでしょうね。

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