太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)
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今回のお題は前回から引き続き「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」です。環境省の委託事業の報告書「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」の導入ポテンシャルのデータに基づいて考えてみよう、というお話です。
さて、この報告書で試算の対象となっているのは大きく分けて「公共系建物」、「発電所・工場・流通施設」、「低・未利用地」の三つのカテゴリーとなっています。住宅が含まれていない点には注意が必要です。調査の方法はそれぞれのカテゴリーを細かく分類して、その代表例となる様な具体的な施設を選定、そこに太陽光発電を導入することを想定して太陽エネルギーパネルの配置図を作成してみる、というなかなか手の込んだものです。図は小学校にパネルを配置した例。小学校はこの調査では公共系建物のサブカテゴリー「学校」に分類されている施設となります。
図中、青、黄色、赤に色分けされているのはレベル1~3に対応したパネルの設置場所です。青はレベル1の設置場所で、設置しやすいところ。赤はレベル3で設置面積を大きくするために積極的にパネルを配置することを想定しています。黄色はレベル2で、これはレベル1と3の中間です。
さて、このように実際の配置を考えた具体例を参考に施設毎に「施設の面積」に対する「太陽光パネルの設置可能面積」の比率を計算。日本全国に存在する各種施設の面積にかけ算して積算することで導入ポテンシャルが計算されています。
報告書ではこの後、FITなど導入促進制度のあり方によってどの程度の導入ポテンシャルが現実のものとなるか、シナリオベースの分析が行われています。この報告書の肝心な部分はおそらくここなのですが、今回のお題「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」からすれば導入ポテンシャルの、それもレベル3の積極的な導入例での値が適切だと考えます。
さて、その数値は、と盛り上がるところですが、具体的な結果は次回に回したいと思います。
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