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太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回のお題はそのものズバリ「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」です。再生可能エネルギーで最も有名かつ最も身近なのが太陽電池ではないでしょうか。いまでは家の屋根に太陽電池が乗っているのは普通の風景になっていますし、メガソーラーなどの話も耳にします。ひょっとして太陽電池があれば原発も石炭火力もいらないのでは...。みなさんはどうお考えでしょうか。

 さて、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは膨大ですから、日本全土に太陽電池を敷き詰める、それでも足りないなら海洋に浮遊体を置いてそこに太陽電池を並べる、そうすれば「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえる」のは当然だとも言えるでしょう。でも、これはいくら何でも非現実的ではないでしょうか。ということで、もう少し現実てきな推計を探してみることにしましょう。

 そう考えて見つけてきたのが今回の元ネタ「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」です。環境省の委託で実施された調査、平成23年(2011年)公表ですから実際に調査が行われたのはその前年、平成22年(2010年)です。東日本大震災直前という言い方もできますが、ちょうど東日本大震災の時に導入が決まった固定価格買い取り制度、通称FITを念頭にどの程度の再生可能エネルギーの導入増が期待できるか、を試算したものです。

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 上の図は報告書内でエネルギー(太陽電池以外の再生可能エネルギーも含みます。)の量をどのように評価しているか、をまとめたものです。全資源エネルギー量は未来の夢、賦存量は捕らぬタヌキの皮算用とでも言いましょうか。導入ポテンシャルは「金に糸目を付けない場合」で、FITのシナリオに応じた現実的な値こそがこの報告書の要なのだと思います。

 とはいえ、今回のお題「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」に相応しいのは導入ポテンシャル(金に糸目を付けない場合)ではないでしょうか。このお題、具体的には日本のエネルギー消費量と太陽電池の導入ポテンシャルとを比較する、というおはなしになるのですが、その詳細は次回に譲ることにしましょう。





江頭 靖幸

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