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高校の理科ってなんだっけ。(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学科では高校との交流として出張化学実験(例えばこちらの記事)や出張講義の他に高校訪問を行っています。東京工科大学全体としても毎年、高校訪問を行っているのですが、本学では別途、学科独自の高校訪問を行い、高校の特に化学専門の教員の方々と情報交換をする機会を作るようにしています。

 高校における化学の教育のありかた、というより高校教育の中での化学の位置づけというのはだいぶ変わったと思います。何から変わったか、といえば私が学生だったころと比較して、という意味なのですが、まあ、もう20年も昔のことなので変わって当然でしょう。

 すいません、サバを読みました。20年じゃなくて40年前ですね。

 さて、40年前と今とで何がかわったのでしょうか?

Textbook_5kyouka_chuugaku

 まず、化学で教えられている内容、これはそんなに大きな変化があったようには思えません。もちろん、個別の内容について細かい違いはいろいろとあるのでしょう。でも物質が原子でできていること、その変化としての化学反応、量論計算などの基本的な事項、そして化学物質のいろいろな性質について。etc. 化学は化学なのでほとんど変化はありません。

 では何が変わったか。いろいろな変化があるのでしょうが、私が強く感じるのは教科としての「生物」の存在感の拡大です。私が学生の時代「バイオテクノロジー」と称して生物学の知識を工学的に応用する、という機運が盛り上がっていたことを覚えています。古典的な発酵食品の生産などとはちがう、医薬品の生産から化学プラントの革新などいろいろな夢が語られていました。逆に言うと当時はまだバイオテクノロジーは将来の夢と考えられていたわけですね。

 さて、現在ではバイオテクノロジーが一般的になったのと並行して生物教育の重要性も認識されるようになったということなのでしょうか。私たちの感覚では理科と言えば「物理」と「化学」なのですが、いまでは「物理」「化学」「生物」となっている。そんな風に感じるのですが、いかがでしょうか。

江頭 靖幸

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