「フード・アクション・ニッポン」は迷走しているのでは?(江頭教授)
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「フード・アクション・ニッポン」については以前の記事で紹介しています。その記事の中で「フード・アクション・ニッポン」は農林水産省が主導する国産農産物の振興のための事業 であり、その目的は
日本の食を次の世代に残し、創るために、日本の食料自給率の向上を目指した国産農林水産物の消費拡大の取組です。より多くの国産農林水産物を食べることによって食料自給率の向上を図り、食の安全と豊かさを確かなものとして子供たちの世代へ引き継いでいくことを目指します。
と説明しました。ところが、最近同サイト訪れてみるとこの「フード・アクション・ニッポン」のサイト、リニューアルされていたのです。目的も書き換わっていて
フード・アクション・ニッポンとは、日本の食を次の世代に残し、創るために、国産農林水産物の消費拡大を目指した取組です。より多くの国産農林水産物を食べることによって、食の安全と豊かさを確かなものとして子供たちの世代へ引き継いでいくことを目指します。
となっていました。以前、このサイトを取り上げたときは「食料自給率の向上」という目標には納得できない、もっと正確に言うと「国産農産物の消費拡大までは納得できる」が「食料自給率の向上」という目標は納得できない、と書きました。そのブログの影響でというわけではないのでしょうが、現在のフード・アクション・ニッポンの目標には「食料自給率の向上」が含まれていないのです。
はてさて、今回の変更でこのサイトは「食料自給率の向上」という 目標が消えて「国産農産物の消費拡大」が全面に押し出される形になりました。ここで私は納得するべきところなのですが、これはこれでどうもしっくりこないのです。
うまい表現が見つからないのですが、学生さんに「テストでいい点をつけてください」と言われている気分、とでも言うのでしょうか。別にテストで悪い点をつけたくてつけているわけではありません。テストでいい点をつけるためには問題に正解してもらう必要があり、そのためには学生さん自身に勉強してもらう以外にありません。
同様に、「国産農産物の消費拡大」を目指すのは結構なのですが、それは生産者の仕事であって消費者でしかない私にはできることはほとんどありません。「フード・アクション・ニッポン」はその目標から見ると生産者向けの活動なのでしょう。これを「国民運動」といわれても農業生産者ではない国民の一人としては困惑するしかない、といったところでしょうか。
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