トマトは野菜か果物か(江頭教授)
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トマトは野菜か果物か。子どもの頃の私はがそう聞かれたのなら、まず間違いなく「野菜!」と答えていたと思います。だって甘くないもん。
バナナは青いうちに収穫して黄色く熟成させてから販売する、という話を紹介したのですがトマトも昔は青いうちに収穫されていた様です。残念なことに青いトマトは収穫後に赤い色になっても大して甘みが出ません。とはいえ酸っぱい訳でもない。なんとも変な味で、子ども時代の私にとってトマトは嫌いな野菜のトップスリーには入るものでした。
ところがあるとき(私が小学校の低学年くらいだと思います)父親が市民農園を借りてトマトを育ててちゃんと熟成した採れたてのトマトを食べさせてくれたのです。これは甘くておいしい。これなら果物というのもあり。これ本当にトマトなの、というほどの衝撃でした。これに比べたら店で売っているトマトは本物ではない、そんな風に思って積極的にトマトを食べようとは思わなくなったのでした。
さて、また時は過ぎて大学生院生のころでしょうか。たまたま食べたトマトが甘くておいしい。これは昔食べた採れたてのトマトと同じレベルだ、と二度目のトマトショックを受けたのでした。この甘いトマト、完熟トマトと呼ばれていて今ではわざわざを育てなくても普通に入手できるようになりました。
甘い完熟トマトを作るためには、まずは品種改良。そして育て方の工夫も必要だと思います。でも地味な割に重要なのは収穫から販売までの時間や温度条件をコントロールすることができる食品流通網が整備されたことではないでしょうか。かつてトマトが熟す前に収穫されていたのは熟してから収穫するのでは店頭に並ぶまでに腐ってしまう、という理由があったからだと思われます。流通に要する時間が短くなる、あるいは予測可能になる、となればトマトの収穫時期の判断も容易になり、完熟トマトを最適のタイミングで出荷できるようになったのでしょう。トマト一つをとってもよりよいものを作ろう、という多くの人たちの努力があった、と言うことでしょうか。自分の記憶としてその事実が確認できる、と考えると年をとるのも悪くないですね。
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