« 新年の授業が始まります(江頭教授) | トップページ | 「サステイナブル」?、 「サスティナブル」?、「サステナブル」?2020年版(江頭教授) »

ポスター発表と口頭発表(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 このブログを読んでいるのが高校生のみなさんなら「学会で発表したことがある」という人は少ないのではないでしょうか。もちろん、学会といっても厳密な定義があるわけではありませんが、一般的には「学術研究に関する発表会」というぐらいの意味でしょう。その学会を開催する主体としての組織もありますが、それも「学会」と呼ばれています。ややっこしいですが「化学工学会」というのが組織としての学会で、その化学工学会が主催するの「年会」「秋季大会」といった発表会も「学会」というわけですね。で、今回は発表会としての「学会」での発表形式についてのお話です。

 さて、このブログを読んでいるのが高校生のみなさんなら「ポスター発表」「口頭発表」両方とも経験があるのではないでしょうか。近年、発表というかプレゼンテーションのような学生がアウトプットする授業が重視されています。でも、私自身は学会で発表するようになるまでほとんど発表の経験がない状態だったと記憶しています。そして私が学会に参加するようになった頃には発表の形式は口頭発表が主流でした。その後、次第にポスター発表の比重が増え始め、今ではポスター発表と口頭発表は半々、あるいはポスター発表の方が多いかもしれません。

 はて、一体どうしてポスター発表が増えてきたのでしょうか。

Poster_hagasu

 ポスターが作りやすくなったから、でしょうか。以前こちらの記事でも紹介しましたがA0サイズやA1サイズの大判のポスターを印刷する環境は最近どんどん身近になっています。でもそれを言えば口頭発表はもっと便利になっていて、今やペーパーレスは当たり前。いかに簡単にポスターが作れるとはいえ、作ったポスターを会場まで持ってゆく手間暇は今でも変わりません。(学会では大判のポスターを折り目をつけないで持ってゆくために図面用の筒型ケースを持っている人をよく見かけます。)

 学会の運営側に回ってみるとポスター発表の魅力は明らかです。それは、短い時間でたくさんの発表を処理できること。多数の発表を並列で処理できる、とでも言いましょうか。発表件数が多い学会ではポスター発表を使わないと処理しきれない場合もあります。

 これは運営者の都合でもありますが、発表を聞く側の人にもメリットがあります。口頭発表では自分の興味と近い発表も、そうでもない発表も、みんな聞くことが前提なのです。でも、ポスター発表では自分の興味に合わせて発表を選ぶことができるのです。

 実はこのポスター発表の特徴は発表者にもメリットがあります。ポスター発表でわざわざ自分の発表を聞きに来てくれる人、というのは本当に自分の研究に興味を持ってくれる人、ということです。そんな人たちと情報交換することができれば発表に来た甲斐がある、というものですよね。

江頭 靖幸

 

« 新年の授業が始まります(江頭教授) | トップページ | 「サステイナブル」?、 「サスティナブル」?、「サステナブル」?2020年版(江頭教授) »

解説」カテゴリの記事