サステイナブル工学になぜLCAが必要なのか(江頭教授)
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本学工学部の特徴のひとつ、それが「サステイナブル工学」です。「サステナブル」という言葉はそれなりに知られている言葉ですし「工学」はもっと一般的な言葉ですが、両者を併せた「サステイナブル工学」は実はかなり新しい用語でしょう。実を言えば「サステイナブル工学」という言葉は、まだいろいろな人がそれぞれにこの言葉から連想する以上の内容、共通の語義のある言葉とは言えないと思います。
本学の工学部が設立された際に「サステイナブル工学」を我々なりに定義し、イメージが先行する「サステイナブル工学」に具体的な内容を与えたい、そう考えたときに基本となったのは「三つのP」すなわち「Planet(地球環境との調和)、People(生活の質の向上)、Prosperity(経済の活性化)という三つの視点を同時に考慮してバランスをとる」という考え方です。
もともと工学には二つのP、つまり「People(生活の質の向上)、Prosperity(経済の活性化)」のバランスをとる、という考え方がありました。簡単に言えば「より良い製品をより安く」供給するのが工学の役割。そこにもう一つのP、「Planet(地球環境との調和)」を加えようというコンセプトです。
「Planet(地球環境との調和)」を加えるにはどうすれば良いのか。その具体的な手段が「LCA」です。
LCA、つまりLife Cycle Assessment は、われわれの身の回りにある製品やサービスがどの資源をどのくらい使っているか、何をどのくらい環境に放出しているか、を算出する手法のことです。Life Cycle と名前がついているのは製品そのもに何が入っているのかではなく、製品が作られる時、あるいは廃棄される時も評価に含めているという点を強調してのことでしょう。
LCAを通じて製品やサービスの環境への負荷を科学的に定量化することが可能になります。そうすれば「より良い製品をより安く」そして「より環境負荷が少ないように」造るのがサステイナブル工学の役割、と言う表現が現実的になるわけです。
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