実験レポートは卒業論文の練習(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
前回紹介した「実験レポート作成法」でも触れられていたのですが、学生実験で作成するレポートはだれが読むことを期待して書くのでしょうか。「実験レポート作成法」では
実験レポートは、実験について何もかも知っている先生に向けて書くものである
とされています。
ならば、実験レポートで実験方法について説明するところは、たとえば
実験テキストp〇〇からの手順に忠実に行った
などと書けばよさそうなものです。わざわざテキストの内容をまとめなおすなんて飛んだ茶番だとしか思えない。いっそのこと
実験テキストを参考に成功裡に実験を終了しました。終わり。
でも良さそうな。どうせ結果のわかっている実験なのですから各自が体験して実感すればそれでOK。えっ、それじゃあ本当に実験したかわからないって?♪あんたの生徒を信じなさい♪
実際のところ、学生が実験をしているところを先生は見ているわけですから、さぼっていればすぐにわかります。ちゃんと実験していることをわざわざレポートで確認する必要はないでしょう。それでも実験が成功したかどうかを確認したいのならば、実験結果のデータを提出すれば良いのでは。レポートではなくて実験の終わりに実験結果のデータを提出すれば確認できるはずですよね。
もちろん、こんなやり方はNGです。なぜなら、表題のとおり、「実験レポートは卒業論文の練習」という位置づけがあるからです。
学生実験で行う実験で未知の対象を扱うことはありません。正しい手順で実験すればどんな結果になるかはすでに知られていることです。一方で卒業論文での実験は新しい要素、未知の領域をなにがしかは含んでいるものです。卒業論文やそれに連なる修士論文、あるいは学術雑誌への投稿論文でも同様ですが、この場合には「実験について何もかも知っている先生」なんてどこにもいません。むしろ論文を書く学生さんが先生となって実験結果やそれを導き出した実験の手順を丁寧に生徒に(立場上は先生だとしても)説明しなければならないのです。卒業論文では結果はもとより、実験に際して行った各自の工夫や、以前の実験との違いなどいろいろな情報をわかりやすく書き込む必要があるということです。
卒業論文を書く段になって急にそんなわかりやすい論文が書けるはずはありません。前段階のエクササイズとして学生実験でも「実験について何もかも知っている先生」相手にあたかも「知識のない人に説明する」ようなレポートを書く必要があるのです。というわけで、若干の茶番感はいたしかたないのかな、と思います。
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