書評「新版 理系のためのレポート・論文完全ナビ」(江頭教授)
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今回紹介するのは 見延 庄士郎 氏の著作
「新版 理系のためのレポート・論文完全ナビ (KS科学一般書)」(講談社 2016)
です。
前回紹介した「実験レポート作成法」と比較すると実験レポートだけでなく卒業論文の作成までを視野に入れているところが特徴でしょう。実際、本書の第一部「実験レポート・卒業論文の内容」では、実験レポートと卒業論文との位置づけの違いなどにも触れています。
また、第二部「実験レポート・卒業論文の文章」では良い文章、分かりやすい文章を書くにはどうするべきか。そのコツをいろいろな視点から説明しています。
そして、第三部の「実験レポート・卒業論文の作成準備」では Wikipedia から始まって Web of Science や Scopus などのデータベースの利用法を丁寧に解説しています。
最後の第四部「実験レポート・卒業論文の執筆」は具体的な手順についての説明。論点メモを準備しい執筆、そしてチェックをくり返すことで良い論文、レポートを作る手法が示されています。
さて、本書に目を通すと著者が日頃から、どうしたら良い論文を書けるか、という課題について考え続けていることが伺えます。学生のレポートを見る、という立場ではなく自分が学術論文を執筆する、という立場で読者にも主体的な努力を求めるような書き方だと感じました。
この本の内容は、ある程度文章を書くコツが分かってくればすっと頭に入ってくるのですが、初学者にはよく分からないのではないでしょうか。その意味で、自分自身の論文執筆に際して何度も振り返って目を通すといろいろ腑に落ちてくる様な本だと言えるでしょう。逆に言うとこの本は初学者には少々難しいかも知れませんね。
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