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2020年4月

2020.04.30

ビデオで面談やってみた!その2「最後は電話だよね」(江頭教授)

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 今学期のアドバイザー面談はビデオ面談で、というお話しを前回のブログで紹介しましたが、今回はそのオマケです。

 ビデオ面談は簡単で使い方も分かりやすい、というのは本当でしょう。(単に機能が少ないだけかも知れませんが。)でもそれなりの人数の学生さんと対応していると時には想定通りに行かないことも。

 まず多かったのはPCが使えないパターン。中にはPCが修理中の人も。このケースではPCの代わりにスマホで対応することになります。( Google Meet はスマホ版だとアプリのインストールが必要なようです。)

 数は少なかったのですがメールで送信したビデオ会議への招待メールが届かなかったケースもありました。時間になってもビデオ会議に参加して来ないなあ。どうしよう。

 

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2020.04.29

ビデオで面談やってみた!(江頭教授)

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 本学の特徴の一つとして「アドバイザー制度」というものがある、という話は以前このブログでも紹介したことがあります。「アドバイザー」というのは単純に言ってしまうとアドバイザー教員とは大学1年~2年の間の担任の先生、あるいは研究室配属まえの指導教官、とでもいうべき存在です。そして新学期が始まる前にはアドバイザーによる個別の面談、アドバイザー面談が行われることになっています。(これもブログで紹介しています。)

 このアドバイザー面談、今年も3月に予定されていたのですがご存じの様に新型コロナウイルスの感染拡大という事態をうけて面談は中止となってしまいました。その後、緊急事態宣言に対応してキャンパスは閉鎖となり直接の面談はできなかったのですが、いつまでもそのままではいられません。ということでビデオ会議システムを利用した面談を行うことになりました。

 今回、ビデオ会議システムとして利用したのは Google 社の Meet というもの。教員間で利用していたマイクロソフト社の Teams とは違うシステムで使い方にちょっと戸惑ったのですが、まあ似たようなものですね。

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2020.04.28

「WYSIWYG」とか言ってましたね。(江頭教授)

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 「WYSIWYG]とか言っても今の人には分からないでしょうか。これは

 What You See Is What You Get.

という文章の頭文字から作られた言葉でデスクトップパブリッシング(まあ、パソコンによる文書作成と言っても良いのですが)の理想を示すキャッチフレーズでした。前半の「What you see」は文章を作成する人がパソコンの画面で見ているもののこと。そして後半の「What you get」は印刷物として手に入るもの、という意味。両者が一致するべきだ、というのがこの「WYSIWYG」という言葉の示す理念です。

 現在の理想は今や一般的なものとなっていると言えるでしょう。それだからでしょうか。わざわざ「WYSIWYG」という言葉を使うこともなくなりました。

 さて、なんでわざわざこんなことを言いだしたのか、ということです。私自身は今は「WYSIWYG」でない方が良い、と思う様になったからです。
 以下の図はマイクロソフト社のワープロソフト、Word の画面のキャプチャーですがオプションの「表示」の「常に画面に表示する編集記号」で「全ての編集記号を表示する(A)」を選択した状態になっています。

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2020.04.27

デマを拡散してはいけない-11 インフォデミック(片桐教授)

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このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

 今回のコロナ禍はいろいろな横文字ことばを流行らせました。パンデミックからはじまり、いろいろなカタカナ医薬品名(アビガン、カレトラ、シクレソニド、ヒドロキシクロロキン、ナファモスタット、イブプロフェン、アセトアミノフェン)、感染拡大に関する用語(アウトブレイク、エピデミック、エンデミック、オーバーシュート、クラスター)、感染防止対策に関する用語(ゾーニング、ロックダウン、ソーシャルディスタンス、ステイ ホーム、テレワーク、リモートワーク)、その他(コロナハラスメント)などなど。いろいろなカタカナ用語をニュースでは使っています。

 その中で、私の気になったのは「インフォデミック」という新語です。これは、大量の情報が社会に「感染症」のように広がり影響してしまうことを指します。2019-2020年Covid-19感染拡大時に、SNSを利用して危険情報などを拡散する速度は2002~2003年のSARSコロナウイルスの感染拡大の時に比べ、68倍も早いとのことです(2020.4.6 日本経済新聞「情報パンデミックの拡散力、SARSの68倍 新型コロナ」)。これはSNSの普及により、誰でも情報を発信できるようになったことによります。このような情報発信は多くの場合は善意で行なわれるのでしょうが、中にFake Newsが紛れこむと、たとえ善意でも社会の混乱を招きます。それが、トイレットペーパー騒動などの社会混乱を巻き起こしました。

 我々は自分が発信する情報だけでなく、自分が「中継」する情報にも責任をもたなければなりません。それは情報を扱う者の矜持です。

 日本赤十字社のWeb Pageに「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう! ~負のスパイラルを断ち切るために~」という特集記事がありました。 http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html この中では3つの「感染症」として、①病気そのもの、②不安と恐れ、③嫌悪・偏見・差別、をあげています。あえて分類すれば、①肉体の感染症、②精神の感染症、③社会の感染症、ということでしょうか。この記事にはどのように肉体の感染症が不安をかき立て、それが嫌悪を通して、偏見・差別に結びつくかをわかり易く説明しています。そして、それぞれの「感染症」を防ぐ手段が示されています。

 肉体の感染症の予防には、「手洗い」「咳エチケット」「人ごみを避けること」が示されています。精神の感染症に振り回されないためには「気づく力」「聴く力」「自分を高める力」が必要であることをまとめています。そして、社会の感染症を防ぐには「ねぎらい」と「敬意」が重要であるとしています。

 まとめてしまうと簡単になりすぎますが、皆さんには是非このページを訪れ、自分でこの記事を見てほしいと思います。当たり前のことを当たり前のようにやることが安全の基本です。

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しつこいようですが、このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

 

 

片桐 利真

 

2020.04.24

「異議なき時は沈黙をもって答えよ」ビデオで会議やってみた!その2 (江頭教授)

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 2020年の4月、本学の八王子キャンパスは閉鎖中。もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためです。このため学部の会議もビデオ会議となった、というお話は以前このブログでも紹介しました。

 さて4月22日には工学部の教授総会がそのビデオ会議で行われました。ビデオ会議はこれが2回目。最初のビデオ会議よりは慣れてきましたが、同時に問題点も見えてきました。

 まず、会議に参加するメンバーは自分が発言するとき以外はマイクをオフにする(音声をミュートする)ことに。ビデオ会議はそのままでは参加者の人数分のマイクがあることになってしまいますから、いろいろな音声が入り込んでしまいますからね。これは別段誰かからの指示があったわけではないのですが、何となくほとんどのメンバーが実行するようになりました。

 そして、結構な割合の人が映像もオフにしていたようです。我々が使っているマイクロソフト社の Teams というシステムでは同時に画面上に表示されるのは(設定にもよるかもしれませんが)4人分の映像だけです。それを考えると発言している人でなければ映像の情報はそれほど重要ではないですよね。

 

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2020.04.23

「考えるな!再起動するんだ」(江頭教授)

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 最近はパソコンがフリーズしてしまう、ということはあまり多くはないかもしれません。でも私がパソコンでワープロソフトを使うようになったころのパソコンは当たり前のようにフリーズしたり動作が怪しくなったりしたものです。

 一生懸命文章を作っていたらパソコンがフリーズしてしまった。一体どうして。何もおかしな操作はしていないと思うけど、どこが悪かったのだろう。

 いっそのことフリーズしてしまえばまだあきらめもつくけど、作った文章が保存できない。どうやったらちゃんと保存できるんだろう。

こんな時に私が言っていたのが表題の「考えるな!再起動するんだ( Don't think! Reboot.)」です。

 パソコンがフリーズしてしまったらセーブしていないデータを回復することは不可能。考えたって無駄です。そして不具合の多くは再現性のないものなので、いちいち理由を考えても仕方ない。どんなにいろいろ考えても結局はパソコンを再起動して新たにやり直すしかないですよね。

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2020.04.22

新入生の皆さんへ、その2 (江頭教授)

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 今回の記事も前回の「新入生の皆さんへ」と同様、2020年度の応用化学科の新入生の皆さんに向けたものです。

 新型コロナウイルスの感染拡⼤を受けての緊急事態宣言により、本学の八王子キャンパスも5月6日までは閉鎖、その影響で新入生の皆さんへのガイダンスは5月13日から、そして授業の開始は5月20日からとなりました。前回も紹介したとおり本学のWEBサイトのトップページには大山学長から新入生へのメッセージが掲載されています。

 既にこのページを見た、という方ももう一度このページを訪れてみてください。新たなコンテンツとして、今度は学部長からのメッセージも掲載されています。皆さんが応用化学科の学生さんならば、工学部の所属ですから山下工学部長のメッセージのページへどうぞ。

 

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2020.04.21

「10万円もらったら何に使いますか?」(江頭教授)

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 「10万円もらったら何に使いますか?」といっても写真のニュースの話ではありません。でもまぁ、このニュースで思い出した話なのですが、むかし飲み会などの席でやっていた「三つの質問」のお話です。

 一問目は「10万円もらったら何に使いますか?ただし貯金するのはダメですよ。」

 二問目は「じゃあ100万円もらったら?やっぱり貯金はなしで。」

 そして三問目は「こんどは1000万円です。貯金以外で何に使いますか?」

という質問です。1人に対してでも、複数の人ででも順番にこの質問をしていくと、結構盛り上がるものなのですが、この話には一応教訓というか落ちのようなものがあるのです。

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2020.04.20

デマを拡散してはいけない-10 もう少しの辛抱です(片桐教授)

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 このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。


 政府の外出自粛の要請から1週間が経ちました。私も在宅勤務になり、会話するのは家族とたまにスーパーへ買い物に行った時にレジのお姉さんだけになりました。これが、後3週間も続くと考えると「萎え」ます。

 ネットの掲示板を見ると、「このまま自粛をすれば経済が死ぬ。病死するか飢え死にするかなら、俺は病死を選ぶ。飢え死には嫌だ!。どうせ若者は死なないし。みんな、外へ出て経済を活性化しよう。」という匿名の主張が散見されます。この考え方にも一理あります。現状の自粛は「持続可能な発展」を放棄した状態であり、「サステイナブルではない」といえるかもしれません。でも、日本も世界もその道を選びました。サイは振られたのです。

 かなり前に、井上純一「キミのお金はどこへ消えるのか」角川書店というマンガの書評をこのブログに書きました(2018.10.30ブログ)。そこで、2つの経済政策、幕府—徳川吉宗の「倹約」と尾張藩−徳川宗春の「振興」を対比させ、「どちらも正しい、しかし、中途半端はいけない」と結論付けました。今回のコロナ肺炎騒動では日本も世界も「節制」によりコロナ感染を沈静化させた後に経済的なダメージをU字回服させる道を選びました。戦術としての節制と自粛です。
 本日15日の読売新聞(2020.4.15 13S 9面)にIMF成長予測の経済低迷の3つのリスクシナリオが掲載されていました。基本シナリオは最善のもので、「感染症の拡大が2020年後半に収束する」というものです。リスクシナリオ①は「封じ込め期間が基本シナリオよりも5割長くなる」、リスクシナリオ②は「2021年に第2弾の感染拡大がある」、リスクシナリオ③は「封じ込め期間が長期化し、(続けて)2021年に第2弾の感染拡大がある」、というものです。そして経済成長予測は、基本シナリオで、2020年は3.0%の下落、でも2021年は5.8%の成長、シナリオ①、シナリオ②では2020年は下落、2021年は基本シナリオより低いけどまだ成長、でもシナリオ③では2020年21年ともに3%程度の下落が続くという予測です。いずれにしても2020年の経済低迷は避けられない、しかし、2021年以降の経済状況はシナリオにより異なります。これは学生皆さんの就職にもかかわることであり、注視しなければなりません。

 このIMFの成長予測は、新型コロナ肺炎対策として「節制」を前提とした世界の流れを前提にしているので、「節制」を行なわなかった場合との比較はできません。しかし、「節制」を行なうなら、徹底して行なうことで、早期収束を目指すことの重要性を示しています。やるなら徹底的に行なうことを求めています。

 もはやサイは振られました。世界の方針が「節制」による早期収束と決めたのなら我々もその方針を守り、そのための努力(=引きこもり)を徹底するべきだと思います。ネット上の「経済を殺さないために、私は普段の生活を放棄しない」という主張は自分のストレス発散を正当化するための言い訳とも見なせます。一方で、私のこのような意見は意見の多様性への弾圧でもありましょう。しかし、今は多様性よりも一致団結して共通の敵と対峙すべき時ではないかと思います。
 我々はそのような易きに流れる主張に呑み込まれないように、揺らがないようにしましょう。やるなら徹底的にやらなければ作戦は失敗に終わります。少数でも裏切りで作戦は失敗に終わります。もう少しの辛抱です。あと3週間の辛抱と信じてがんばって引きこもりましょう。コロナから逃げ切りましょう。

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 心理学的に、今回の1か月という期間は、正直、我慢できるぎりぎりの線でした。もしこれが3か月とか半年なら、最初から自粛をあきらめ、私は普段通りの生活をしていたでしょう。「危機管理は最悪を想定するのが基本」です。したがって、まだ正体不明のコロナ感染症について、最悪を想定するのなら半年を想定するべきでしょう。しかし、あえて1か月と楽観的に想定し、その上で実現困難とも思える接触の8割減を打ち出したのは、政治家の大きな決断だったと思います。実際、政府と都の間ではその戦術に関して活発な駆け引きがあったようです。

 しつこいようですが、このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

片桐 利真

 

2020.04.17

ビデオ会議をやってみたけど…(片桐教授)

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 先日の16日の江頭先生のブログ(2020.4.16)でネットを利用したビデオ会議のはなしがありました。それに先立ち、4月1日の教授総会には、片柳研究棟の教授室KW407から最初はビデオ会議システムで参加しました。しかし、実際に参加してみると、プログラムの使い方がわからない。あちらの声は聞こえるけど自分の声はどうも先方に届いていない。マイクのせいかしら?。これでは、会議の傍聴をしているだけで参加していることにならない。あきらめてパソコンを抱えて、片柳研究棟から機械工学科の会議室まで坂を駆け上がりました。ゼーゼー。会議室でそこにいた他の先生に教えてもらって、かろうじて会議に途中から参加しました。これでコンピューターの使い方は何とかなりそうです。

 さて、在宅勤務になり、15日に自宅からビデオ会議に参加しました。ところが…、会議開始前に試してみたら、うちのPocket-Wifiのトラフィックが細く、画像は乱れるし、音声も飛ぶ。画面はほとんど静止画です。やむを得ずこちらからのビデオ送信を止めて,音声だけの参加になりました。画面は他の方の顔を動画で映しているのですが、私の方からはビデオ情報を送信していない状態にすることで、少しはネットの負担を減らせました。
 うーん、皆さん、予想通りの?あるいは予想外の私服ですね。S先生のお部屋のカーテンの色が、我が家のものに似た色ですね。あら、Kさんの息子さんかしら?、お父さん会議中ですよっ!。A先生は背景を電子処理していますね。どうしてもお部屋を見せたくないようです。

 でも,何ということでしょう。会議が開始して30分くらいでWifiがオーバーヒートして,通信が切れてしまいました。一生懸命扇いで冷やして、会議へ再度途中参加しましたが、さらに30分後にまた切れてしまいました。う〜ん、コンピューターは大丈夫でも、ネットが弱くて、「ダ〜メだこりゃ」です。いつもは1回30分くらいで、メールチェックに使うだけですから、これは想定外でした。泣きそうです。

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2020.04.16

ビデオで会議やってみた!(江頭教授)

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 在宅勤務ということでメールチェックをしていると「第2回工学部教授総会開催通知 4/22(水)」というお知らせが。4月22日?その日はまだ大学キャンパスは閉鎖なのですが…。

 はい、この会議は遠隔のビデオ会議で実施するのです。実はこのビデオによる教授総会は今回で二回目。前回の4月1日の第一回の教授総会もビデオ会議で行っていました。この会議の行われた日はキャンパスは開いていましたし、我々教員も在宅勤務にはなっていませんでしたが「3密」を避ける、という意味でビデオ会議にしていたのです。

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2020.04.15

在宅勤務やってみた!(江頭教授)

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 東京工科大学八王子キャンパスは本学のホームページに「緊急事態宣言の発出に伴い、八王子・蒲田の両キャンパスを4月10(金)から5月6日(水)まで閉鎖いたします。」という告知が出ているとおり、現在閉鎖中です。我々教員も基本的には大学キャンパスに入ることはできませんから、必然的に在宅勤務となりました。

 大学に行かなくてもいいんだ!やった、ラッキー!

と私が思ったかどうか。それはともかく、実際にやってみると在宅勤務というのは大変だなあ、というお話です。

 まず学生さんが大学に来れないので授業ができない。研究室にアクセスできないので実験もできません。これが最大の問題なのですが、これは想定の範囲内、というか覚悟の上です。

 その一方でいわゆる事務仕事の類ではほとんど問題がないのは意外でした。今では物理的な書類が必要な作業はほとんどありませんし、多くの資料がネット上でアクセスできますから、ほとんどの作業を自宅でメール中心で進めることができます。

 なら問題ないのでは、と思ったのですが…。

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2020.04.14

デマを拡散してはいけない-9 イブプロフェンとコロナウイルス-2  LancetのCorrespondenceの紹介(片桐教授)

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 このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

 Lancetという医学雑誌の2020年4月号に、糖尿病や高血圧などの基礎疾患を持つ方やイブプロフェンの投与による、コロナウイルスによる肺炎の劇症化の理由に関する仮説が紹介されていました。

https://doi.org/10.1016/S2213-2600(20)30116-8

他大学の友人がFacebook経由でこの論文を紹介してくれました。

 私はこの分野の専門家ではないので、30年前に学んだ細胞接着の知識を元にこの文献の解説をしてみたいと思います。もちろん,非専門家の解説ですから、間違いがあるかもしれません。また,この論文に書かれている内容そのものがまだ仮説でしかありません。

 だからこそ、このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら自分で論文を読み、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。

 人の細胞は、「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」と呼ばれる酵素を持ち、それを細胞外に飛び出させ、作用させています。このACEのうち、ACE2という酵素とSARS-コロナウイルスのエンベロープからから飛び出したトゲタンパク質とはくっつき易い性質を持っています。このACE2は肺や腸や腎臓の上皮細胞に現れる酵素だそうです。

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 さて、このアンジオテンシン変換酵素(ACE2)はアンジオテンシンというペプチドを作ります。アンジオテンシンは、血管を収縮させたりして血圧を押し上げる作用を持ちます。だから、高血圧の人や糖尿病のような基礎疾患を持つ人は、高血圧で血管に負担をかけることを避けるために、このアンジオテンシン受容体の拮抗阻害剤を継続的に服用しています。

 しかし、人体は何らかの理由で血圧を上げているので、そのような形でアンジオテンシンの作用を邪魔されれば、ACE2酵素を増やしてアンジオテンシンを増産しようとします。薬でブレーキを掛けているのに、体はその分アクセルを踏んでしまいます。この増えたACE2酵素がコロナウイルスの標的になり、コロナウイルスを取り憑かせてしまう=感染促進してしまう、ということです。そして、このACE2酵素はイブプロフェンによっても増加するそうです。

 なるほど、イブプロフェンと基礎疾患の話しがつながりました。ACS2酵素の増大が、コロナウイルスを取り憑かせ易くして、劇症化を招くということのようです。

 でも、この文献は多くの仮説を含み、そのため「風邪が吹くと桶屋が儲かる」的な一つ一つは正しい因果関係でも、全体では正しいのかどうか、まだわかりません。また,だからどうすればコロナ劇症化を防げるかに関して、有効な示唆を行なっているわけでもありません。

 そして、ACE2阻害剤は高血圧患者さんの命綱です。コロナウイルス感染が恐ろしいからといって、高血圧の人が服薬を控えれば、命にかかわります。

 コロナウイルスの制圧には,我々はまだまだ無知です。

 八王子市のホームページによれば、4月9日時点の市内の感染者は14名です。https://www.city.hachioji.tokyo.jp/emegency/007/p026487.html

 八王子市の人口約58万人ですから感染者は4万人に1人です。その低い確率のリスクと薬を控えるリスクでは、後者の方がより大きなリスクです。それでも、毎日行なわれる報道で「怖いよ」と刷り込まれてしまうと、恐怖心から本当の危険を見誤ることになるのではないかと、危惧しています。

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片桐 利真

 

2020.04.13

デマを拡散しないように-8  ロックダウンはデマだったか…(片桐教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

 このブログを書いている8日の前日7日夕方に安倍内閣総理大臣はコロナ感染症に関して「緊急事態宣言」を発令しました。個人個人に「他者との接触を8割減らす」ことを「要請」しています。これまでも外出の自粛やイベント開催中止は「要請」されていました。強制力のない「要請」「指示」です。「命令」や「強制」による人権の制限ではないのは幸いです。

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 海外では「命令」や「処罰」のような強制力により個人の行動を制限しています。それと比較して日本の「要請」はマイルドです。実効については少し不安になるほどです。法治国家である日本では現状の法律上精いっぱいなのでしょう。それでも、7日夕方の時点で最寄り駅の近くのショッピングモールはスーパーと薬局と医院以外の部分閉鎖を検討していました。命令でなくても自粛する、要請でも素直に従う日本社会の「良さ」でしょうか、それとも「悪しき」同調圧力でしょうか。

 1週間くらい前には、ロンドンやパリやニューヨークのように、東京都23区もロックダウン(都市封鎖)を行なうのではないかと危惧されていました。実際にはそれよりはマイルドな行動自粛の「要請」です。今のところ、鉄道の運休や道路封鎖の「要請」は考えていないとのことでした。

 それにしても、先週末あたりに盛んに新聞やテレビで報道されていた「ロックダウン」の噂は何だったのでしょうか。我々もマスコミも一部の評論家の「ロックダウンされるかもしれない」というデマに振り回された形です。実際にこれからロックダウンするとしても、それは政府や地方自治体の「強制」ではなく、「要請」に鉄道会社等が答える形で実施されるのでしょう。今はマスコミもロックダウンとか都市封鎖ということばや表現を使わずに、これに関する報道の風化を待っているようです。

 私は個人個人の行動自制・自粛が有効に働き、そのようなロックダウン状態は不必要になることを祈ります。

 

 ロシアにおいて出回ったデマに対する政府による打ち消しは上手でした。

 TBSの3月30日のニュースによると、「新型コロナウイルスの感染者数が急増しているロシアで、プーチン大統領が国民に自宅にとどまるよう促すため、街中に800頭のライオンやトラを放った」というデマと写真がインターネット上に出回り、これは「国民が恐れて街中に出られなくするためだ」といううわさが広がっていたそうです。 それに対して、ロシア外務省の報道官は、「それはおもしろい。ただ、人が街に出ないためには、(ライオンではなく)クマを放つほうがロシア流です」と真顔で冗談を打ち返したそうです。

 このデマの打ち消しは、見事です。デマよりもインパクトのある冗談でデマを否定しました。プーチン大統領がクマに跨がり見回りしているイメージが、悪質なデマを吹き飛ばしました。

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 同じようなデマが2016年の熊本地震の時にもありました。町を歩き回るライオンの写真といっしょに、「動物園からライオンが逃げ出した」というものでした。このデマを流した男は逮捕されたようです。このデマはSNSで1万7千回もリツイートされたそうです。このデマはすぐにテレビニュースなどで否定されました。でも、デマ犯人の逮捕であの写真のインパクトを払拭できたのでしょうか。

 ユーモアでデマを吹き飛ばす、犯人を処罰する、風化して消え去るのを待つ、デマの打ち消し方も様々です。

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片桐 利真

2020.04.10

コロナウイルスは制圧できるか? 天然痘との比較(片桐教授)

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 今回のコロナ肺炎に関しては、ネット上に未確定ないろいろなコロナ対策情報が出回っています。アビガン、ヒドロキシクロロキン、レムデシベル、シクレソニド…などなどの有効な治療薬、療法薬が多数提案されています。現時点で、コロナ肺炎を制圧できるかについて考えるために、実際に制圧に成功した天然痘の例を参考に考察します。

 天然痘は最近まで致死的な伝染病として恐れられてきました。池田理代子のマンガ「ベルサイユのバラ」を読んだ人は、ルイ15世がこの病で亡くなる壮絶なシーンでご存知でしょう。
 この病の制圧で大きな役割を果たしたのが、1798年のジェンナーによる種痘でした。この「予防接種」によりヒトは天然痘の恐怖から逃れることができるようになりました。その後、第二次世界大戦後には欧米からこの病気は駆逐され、1960年代にはまだ1千万人ほどいた患者も、1977年の最後の報告以降、発症者はいなくなりました。種痘という決定的な武器があっても、完全制圧には200年の時を必要としました。

 天然痘は高い伝染性を持ったウイルス性の病気でした。感染は主にヒトからヒトへの近距離(2 m程度)の飛沫感染とされ、N95マスクである程度防げるとされていました。また,接触感染もあるとされていました。これはコロナウイルスと共通の性質です。一方で、大きく異なるのは、キャリア状態(無症状スプレッダー)はほぼ存在しないところです。

 天然痘が完全制圧できたのは、この病気には3つの性質があったからと言われています。すなわち:
 (1) ウイルスがヒトヒト感染によってのみ移る(宿主はほぼヒトのみ)
 (2) 確実な診断方法の存在(発疹でわかる。無症状感染者はいない)
 (3) ワクチン予防接種により予防できる
という3点です。この性質を鑑み、人口の80%以上への予防接種と患者の発見と隔離により、天然痘はこの世界から消し去られました。

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 一方、スペイン風邪のようなインフルエンザは、鳥からヒトに伝染する「人獣共通感染症」であるため、(1)の条件を満たさず、また、ウイルスの変異も早いために、(3)のワクチンも決定的な予防手段になりません。そのかわりに、タミフルをはじめとする特効薬の開発されました。インフルエンザの完全制圧には、まだ何か別の戦略を必要とするものの、希望があります。

 また、AIDSを起こすHIVウイルスの場合、は(1),(2)を満たしているのですが、免疫細胞そのものに取り憑くウイルスなので、ワクチンが作れません。現時点で有効な治療薬はたくさんあります。しかし、それらのお薬を組み合わせて使っても、完治は難しい病です。完全制圧にはまだまだ研究と時間がかかりそうです。

 ウイルス性の疾患ではありませんが、マラリアは、蚊の媒介する熱病です。毎年3億人が罹り、数百万人が亡くなっています。1960年代初頭、WHOはキニーネとDDTでマラリアを、天然痘と同様に撲滅は可能と見積もりました。実際、セイロンにおけるマラリア撲滅は年間250万人の患者を30人以下に抑えることに成功しました。しかし、カーソンの「沈黙の春」とそれに共感したケネディの政策によりDDTは禁止され、数年後には元の患者数に戻ってしまいました。このような疫病の制圧には、化学技術だけではなく、戦略をぶれずに貫く政治力も必須なようです。

 コロナウイルスについていえば、(2) 確実な診断方法(無症状感染者が存在する。PCR法は70%程度の精度と言われる)の開発、(3) 予防ワクチンの開発が今後の課題であり、制圧の鍵になりそうです。

 期待しています。

 

 

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片桐 利真

 

2020.04.09

突然のお休みー1975年冬の場合 (江頭教授)

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 2020年の春、多くの学生さんが突然の長いお休みに戸惑っているのではないでしょうか。こんなことは前代未聞。それは確かなのですが、私が「そういえばそんなことがあった」と思い出したのが1975年の冬のことです。

 若い人はもうご存知ないかもしれませんが今のJRは以前は国鉄と呼ばれていました。正式名称は日本国有鉄道。鉄道は国が運営していたのです。国鉄の職員は公務員なので、ストライキをする権利がありません。それは良くない、と国鉄の労働組合が起こしたのがスト権を求めるストライキ、いわゆるスト権ストと呼ばれるものだったのです。(なんのことだか分からないですか。そうでしょうね。当時の私もそうでした。)

 国鉄(今のJR)がストップする、当時の私は中学生だったので本来なら直接の関係はありません。ただ、当時の私は私立の中学校の1年生だったので通学には国鉄を使っていたのです。というか、その私立学校の生徒はほとんど全員国鉄の利用者。そういうわけで国鉄のストライキ中は学校はお休みになってしまったのです。

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2020.04.08

デマを拡散しないように-7  冷静に危険と不安を分別しましょう(片桐教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。


 コロナ騒動は社会不安をかき立てます。このブログを書いている4月7日夕刻以降に首相から「非常事態宣言」が出され、それに伴い東京都内ではゲーセンや飲み屋、ショッピングモールやホームセンターの営業自粛が「要請」されます。
 でも,このような自粛は以前から要請されていたものですよね。何かおおきく要請の内容の変わるわけではありません。それでも、世間も世論もざわつき、それを見た人の不安感を煽ります。

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 工学系の方は、このようなときだからこそ冷静になりましょう。不安と危険を分別しましょう。安全工学の講義第4回を思い出しましょう。このような時に役立てるのが実学です。

 危険は安全工学で扱うマターであり、「インシデントの発生確率」×「被害の大きさ」で定量的に扱うことのできる指標です。それに対して、不安は個人の心のマターです。この危険と不安を混同してしまうと、正しく判断できなくなります。しかし、そういっても、我々は身の回りの危険を自分の不安を元に判断・評価します。

 社会学者のSlovicは小さい危険を103倍程度怖いと感じさせる11個の因子を報告しています。

  1. 被害が受動的な場合
  2. 被害を個人的努力で回避できない場合
  3. 被害が不公平な場合
  4. 未知・慣れない原因による危険の場合
  5. 異常な被害の可能性を持つ場合
  6. 人工的なものによる被害の場合
  7. 被害の発現までの長誘導期間のある場合
  8. 被害が未来世代にまで及ぶ可能性のある場合
  9. 被害者が身近にいる場合
  10. 原因などが科学的に未解明な場合
  11.  安全に関して矛盾する情報が提示される場合

<Slovic 他 1978>


今回のコロナ騒動、特に感染に関していえば、上記の1, 2, 4, 5, (7)に相当するために、危険を必要以上に怖く感じてしまいます。
 本当はインフルエンザも同様に危険な感染症なのに、コロナウイルスは4番の「未知・慣れない原因による危険」であり、10番の「原因などが科学的に未解明」であるため、現時点でインフルエンザよりも怖く感じます。もちろん、インフルエンザのように特効薬やワクチンがないので、大流行したらインフルエンザよりも危険になる可能性を否定できません。

 このコロナ肺炎を甘く見てはいけません。でも、正しく感染予防し、社会公衆衛生の規則を守れば、この後に十分に制圧できる疫病です。一方で、怖さが先行しすぎて正しく判断できなくなれば、その感染予防も崩壊します。
 今は、どうすれば「みんなでHappyになれるか」を冷静に判断することです。

 明日8日からはさらに社会生活を自粛しなければならないと思います。ストレスを感じて叫び出したい衝動や気持ちが沈んで鬱を感じる自分の心を抑えて、冷静に自分の身を律しましょう。外出の自粛だけでなく、手を善く洗い清潔を保ちましょう。栄養をとり、睡眠を十分にとり免疫力・抵抗力を高めましょう。自分のために、周りのために、日本のためにみんなでHappyになるために。

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 しつこいようですが、このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

片桐 利真

 

2020.04.07

デマを拡散しないように-6  セッケンで手を洗いましょう(片桐教授)

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 このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。特に、今回はわかり易くするためにウソ(方便)が含まれています。

 コロナ騒動で消毒用アルコールの不足が問題になっているようです。でも、アルコールがないのなら、セッケンで手を洗いましょう。水で流すだけより消毒の効果があります。

 インフルエンザの予防では接触感染の予防、つまり、ウイルスのついた手指で粘膜を触ることによる感染の予防が重要です。アルコールによる消毒は手指についたウイルスから感染する能力を奪います。では、どうしてウイルスはアルコールによって不活性化するのでしょうか?。これは,ウイルスの構造とその感染機構から理解できます。

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<ウイルス 第 61 巻 第 1 号,pp.109-116,2011>

 


 コロナウイルスはエンベロープウイルスと呼ばれています。これは、ウイルスの本体であるRNAをタンパク殻(カプシド)が保護しており、その周りを脂質二重膜のエンベロープという膜が覆っています。このエンベロープは脂質二重膜とそれから飛び出す接着タンパクからできています。粘膜細胞への感染は、細胞へこの接着タンパクが錨のように作用してくっつき、その後、細胞の細胞膜とウイルスのエンベロープとが融合し、RNAを細胞内に導きます。

 

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 だから,このエンベロープを破壊すれば、コロナウイルスは感染することができなくなります。では、どのようにすればこのエンベロープを破壊して不化性化できるのでしょうか?。このエンベロープは化学の世界では脂質二重膜ミセル・ベシクルと呼ばれている構造です。ベシクルの破壊法は化学の課題になります。

 我々のよく知っているこのような液膜の例としては、シャボン玉(液膜)をあげることができます。シャボン玉の中身は空気なので、もちろんそのまま対比させることには無理があります。しかし、このシャボン玉を壊す条件は、ウイルスのエンベロープを壊す条件になりえます。ここで、コロナウイルスはおおきさ100 nm = 0.1μmととても小さなものです。シャボン玉もおおきなものは割れ易く、小さなものは長寿命で遠くへ飛んでいきます。だからウイルスはシャボン玉に比べて壊しにくいと考えるべきです。
 コロナウイルスのシャボン玉(ミセル・ベシクル)は水分の中では比較的安定に長時間活性を保持します。しかし、飛沫の中のウイルスは飛沫の水分が揮発すると不安定になり、不活性化していきます。だから、飛沫感染の場合のウイルスの寿命は3時間くらいといわれています。シャボン玉も乾くと壊れます。だから、水分がなくなりウイルスだけになった飛沫核は感染力を失うため、ウイルス単体による感染=飛沫核感染=空気感染はコロナウイルスでは起こらないと考えられています。
 段ボールのようなセルロースの上に付着したウイルスの不活性化は12時間~
1日かかるといわれていますが、これはセルロース繊維が徐々に水分を吸い取るためではないかといわれています。
 つるつるの金属やプラスチック表面上ではウイルスは不活性化しにくく、9日後でも活性を保持していたと報告されています。これもシャボン玉に似ていますね。
 そして、ウイルスが粘膜から感染することも、同じように理解できます。粘膜のように濡れた表面上ではシャボン玉はなかなか割れません。

 アルコールは消泡剤として工業的に使われています。泡を壊す薬剤です。そして、セッケンのような界面活性剤も消泡剤になります。セッケンを足すと泡が長持ちしそうに思うかもしれませんが、異種の界面活性剤であるセッケンの混ざり込んだエンベロープはふやけて構造を失います。エンベロープを構成している脂質二重膜の成分は「皮脂汚れ」の成分の一部です。
 だからアルコール消毒剤がなければセッケンで手を洗いましょう。でも、セッケンで手を洗う時は、少し時間を掛けて(30秒以上)洗いましょう。

 しつこいようですが、このブログの内容は不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解してから、自分の言葉として発言しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは危険な行為です。

 

片桐 利真

 

 

2020.04.06

新入生の皆さんへ(江頭教授)

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 今日から4月に入って最初の一週間が始まります。例年なら先週からのガイダンスが終了し、新学期の授業が始まる一週間なのですが、今年(2020年)はそうはいきません。

 それでも、在校生諸君にはメール等でコンタクトをとることも可能なのですが、新入生の皆さんにはまず連絡するための大学のメールアドレスがありません。というわけで今回は新入生で、このブログを見ている人に向けての情報です。

 まず、WEBで本学のトップページに行ってみましょう。ページのど真ん中に「新入生へのメッセージ」へのリンクが見つかるはずです。

 この4月1日に就任された大山学長から皆さんに向けてのメッセージが動画で配信されていますので、まずはこれを見てみましょう。

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 さて、新入生向けの情報はこれだけかな、と思った人はいませんか。本学のWEBサイトのメニューには「受験生」「在学生」「卒業生」とはありますが、新入生という項目はありませんが…。

 

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2020.04.03

今年もやります 危険物取扱者・消防設備士 特定試験@東京工科大学(片桐教授)

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 今年も9月18日に危険物取扱者の特定試験をここ東京工科大学で行います。今年はそれに加え、消防設備士の試験も同時に実施します。詳しくは学生ポータル(2020年4月2日)「危険物取扱者、消防設備士特定試験について(予告)」に掲載しました。そちらを必ずご覧下さい。同日の学生ポータルに「危険物取扱者(甲種・乙種)資格試験対策講座の案内」も出しております。あわせてご覧下さい。
 気をつけていただきたいのは、学生ポータルの掲示板は「重要なお知らせ」と「新着情報」に分かれているのですが、この2つの掲示は「新着情報」の方のみに掲載されています。そのため,「昨年度は見つけられなくなった」「見つからない」という苦情がずいぶんありました。

 さて、昨年との大きな違いは
 (1) 消防設備士試験を同時に行ないます。
 (2) 専門学校の学生さんも参加します。
の2点です。消防設備士は火災報知器や消火器の工事や設営・点検を行なうための資格です。その消火設備により8つの類に分かれています。また甲種と乙種があります。甲種のそれぞれの類ごとに資格になります。具体的にいえば、火災報知器の点検で長い棒の先にトーチをもって、確認している作業に必要な資格です。

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2020.04.02

静かすぎて寂しい春の八王子キャンパス(江頭教授)

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 3月が終わって4月が始まりました。ということは新しい年度の始まり、新学期の始まり、ということで例年はイベント盛りだくさんの季節なのですが、今年(2020年)はコロナウイルス問題の影響で大学の行事は軒並みキャンセル。本学のキャンパスも「人影もまばら」というレベルを通り越して「人っ子1人いない」状態になっています。

 昨年度の終わり頃から学生は基本的に出校停止となっていました。でも教職員は普通に大学に来ていましたので、例年通りの「休み中のキャンパス」という風景でした。大学の授業は15週間プラス定期試験の学期を夏と冬にくり返す30週間プラスアルファというスケジュールなので、年に20週間近くは「休み中のキャンパス」の状態になるのです。(この機を利用して改装や補修の工事が行われていたりします。たとえばこの記事とか。)それより人が少ない状態といえば年末年始夏のお盆の時期で、こちらは原則キャンパスは閉鎖されています。

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2020.04.01

科学者のたしなみ(片桐教授)

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 最近立て続けに、コロナ騒動関係のブログ記事を書いていたのですが、気がめいるので、少し違う話題をふります。

 私は車を運転する時にNHK第一放送のラジオをよく聞きます。最近は日曜日や長期休暇時に「子ども科学電話相談」をやっています。小学生が電話で大学の教員や博物館の学芸員に素朴な質問をぶつけるというものです。

https://www.nhk.or.jp/radio/kodomoqmagazine/

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 少し前の休日に興味深いやりとりを聞きました。質問の内容は、小学生の女の子の質問で、「自宅の紫モクレンはヒヨドリに食べられてしまいます。近くの公園の白モクレンは食べられていません。なぜですか?」というものでした。その問の回答者に指名されたのは鳥の専門家の先生でした。

 「そうだねえ、もしかしたら紫モクレンの花の方がおいしいのかもしれませんねえ。ところで、私の横にちょうど植物の専門家の先生がいらっしゃいます。先生、白モクレンに比べて紫モクレンの花はおいしいのでしょうか?」と、これはムチャ振りです。そのように問いを振られた大学院の教授先生は、慌てずに、「私はモクレンの花を食べたことがないので、わからないのですが、紫モクレンはおいしくありませんでした。」と答えられていました。

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