エアコンの電気は「消費電力はわずか電球一個分」なのですが (江頭教授)
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以前、こちらの記事でエアコンの性能としてAFPについて紹介しました。これは冷暖房に使われる仕事(電力)と実際に得られる冷暖房の効果(移動する熱量)の比率のことで、大きいほど「少ない仕事」で「大きな効果」が得られる、という数値でした。
今回はもう一つの性能指標として、実際に冷暖房を行ったとき、どのくらいのエネルギー消費があるのか、端的に言うとどれくらい電気料金がかかるのか、という点に注目してみましょう。
以下の図はPanasonicのクーラーについての商品紹介のページの一部ですが、AFPの数値と並んで機種毎の「期間消費電力量」が示されています。「日本冷凍空調工業会 」のサイトにこの用語の解説として
JIS C 9612:2013に基づくAPFから算出された期間消費電力量は、以下の条件による試算値です。実際には地域、気象条件、ご使用条件などにより電力量が変わります。(以下省略)
とある通り、東京の標準的な1年を基準として算出した年間消費電力の予測値ということですね。
さて、表にある様に「期間消費電力量」は小さい部屋用のエアコンでは小さく、大きい部屋用のエアコンでは大きな値となっていますが、大体 1000 kWh 程度の値です。kWhというエネルギーの単位が使われてていますが、これは一年間での値ですから正確には kWh/y と書くべきです。h/y とついているのは不格好ですから単位を W に換算すると 114 W となります。
昔、大型のテレビのコマーシャルで「消費電力はわずか電球一個分」というセリフがあったのを思い出します。100Wの電球を考えれば114 Wという値は「消費電力はわずか電球一個分」と言ってもギリギリセーフな値では。
そう考えると私などは「すごい!エアコンは何て省エネなんだ!」と思うところなのですが、はて今の若い世代に人にとってはどうなのでしょうか。「えっ、そんなに消費電力が大きいの」とまでは言わないまでも「やはり、エアコンともなるとそれなりのエネルギ-が必要なのですね」となるかも知れません。
確かにエアコンの省エネ性能の進歩たるや大したものなのですが、その一方で照明器具の進歩も負けてはいません。LEDはおろか蛍光灯電球でもないただの白熱電球、それも 100 W というサイズは立派に「電力を使う器機」だと認識されるのではないでしょうか。
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