COPからAPFへ(江頭教授)
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部屋のクーラー、もうずいぶんと古くなったなぁ。省エネのためにも新しいエアコンに買い換えよう。そう思ってカタログを眺めていて気がつきました。COPの表示がなくなってAPFというものになっているのです。COPについてはこちら(冷房のCOP、暖房のCOP)で紹介していますが、エアコンがどのくらいの電力でどのくらいの熱を吸収したり、放出したりしているか、という比率であり、エアコンの効率の指標です。
APF(Annual Performance Factor )で日本語では通年エネルギー消費効率とよばれています。エアコンは本質的にはヒートポンプですから、仕事によって熱を温度の低い方から高い方に移動させるものです。その際、移動する熱と仕事との比率だ、という意味ではAPFもCOPも同じなのですが、APFは「通年」とついている様に年間を通じての値、という意味があります。一年間を通じて標準的な使い方をしたときの平均のCOPということですね。
標準的な使い方、というは漠然とした表現ですが、詳細はJISで規定されています。また、実際に一年間運転してデータをとっていたら大変なので(「今日停電だって!あーっ、半年分のデータがパーだ!」なんてね。)実際にはいくつかの代表的な状況での性能を測定し、その値から一年間の平均値を推算します。
そんな代表的な状況だけで一年間のことが分かるの?まあ、その代表的な条件でだけ性能が高い、とか逆に性能が低い、というエアコンは考えにくいですよね。たとえば制御用のコンピュータに代表的な条件になったときだけ動作を変更するプログラムを仕込んで...、というどこかで聞いたような細工も考えられますが、冷暖房の効率という基本的な機能の性能に関して、そんな小細工ができるとも思えません。代表的な条件のところで性能をアップできるならずっとアップし続けておけば良いのですから。
聞けば、COPがAFPに変わったのは2006年の省エネルギー法の改訂がきっかけだったとか。2015年に一度見直しがされていて、現在表示されているのは正確には2015年版のAPF、というべき数値だそうです。
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