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2020年9月

2020.09.30

「対面授業、ただし遠隔受講可」な授業、やってみた!(江頭教授)

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 「対面授業、ただし遠隔受講可」の必要性についてはこちらで説明していますが、要するに今回のコロナウイルス問題に対する対応として、本来なら対面で受けて欲しい授業でも、リスクの高い学生には外部から遠隔での受講を可能にしよう、そういうタイプの授業をつくろう、ということです。時間割の策定の際には理論的な可能性の話でしたが、実際に実施されるとなると具体的な手段が当然問題となります。

 はて、どんな形でやろうか。オンラインの授業は今までも経験がありますし、対面の授業ももちろんやったことはあります。というか、今までずっとやってきたことです。でも両者を合わせるのはどうなのか。

 色々考えて、基本的な方針として「対面の授業をオンラインで配信する」のではなくて「オンラインの授業を見た目が対面授業の様に配信する」ということにしました。授業の中で、教師はいろいろなことをやっています。立って話す、のが基本ですが学生に問いかけたり,教室の中を歩き回ったり。スライド見せる、板書をする、サンプルを見せる、実験をしてみせる、などなど。

 これを全てオンラインで配信しようと考えたら専任の撮影スタッフが必要なのではなかろうか。

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2020.09.29

ペーパーレス化は本当にできるのか?。(片桐教授)

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 新しい内閣になってから、急速に書類手続きの簡素化の検討を進めている。ハンコの廃止、ファックスの廃止等々、これまでの書類という手段をトップダウンで大きく見直すよう提案されている。
 一方で、私はパソコンの画面上で学生さんのレポートを読むことに抵抗を感じる。抵抗を感じるというか…、読み間違いを起こし易い、正しく採点できないと感じている。そのため、電子版で提出されたレポートでも、紙に印刷してから採点している。極めて非効率的である。しかし、実際に、パソコンで読んだ時は気づかない問題点を紙版では見つけてしまう。パソコンの画面で読んだ時に読み間違いし易い、甘い採点になるのはなぜだろうかと思い続けてきた。

 先日、リコーのWeb Page上に面白い文章を見つけた。
「河内康高「「紙」に印刷すると間違いに気づく理由」 2020.9.14 https://blog.ricoh.co.jp/RISB/new_virus/post_604.html
この文章は脳科学的にパソコンで文章を読んだ時と、紙の文章を読んだ時の違いについてのマーシャル・マクルハーンの学説を紹介している。

 カナダのマクルハーンは紙のほうで間違いに気づきやすい理由は「反射光」と「透過光」の性質の違いによると考えたそうである。紙に印刷して反射光で文字を読む際には、人間の脳は「分析モード」になる。目に入る情報を一つひとつ集中してチェックできるため、間違いを発見しやすくなる、そうだ。
 一方で、画面の発する透過光を見る際、脳は「パターン認識モード」になる。送られてくる映像情報などをそのまま受け止めるため、脳は細かい部分を多少無視しながら、全体を把握しようとする。細部に注意をあまり向けられないので、間違いがあっても見逃してしまう確率が高くなるそうである。この理論についてはいろいろな考察や反対意見もある。

 

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2020.09.28

大学院秋入学式での祝辞(片桐教授)

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 2020年9月25日に大学院秋入学式が行なわれました。
 実は当日朝、「式次第」を確認するまで研究科長として自分が祝辞を述べることを意識していませんでした。朝、7時半に気がついて、昨年の祝辞を参考にあわてて原稿を作りました。しかし、十分に練習できず、あまり上手には喋れませんでした。以下の原稿で、ボールド体のところは喋れましたが、ローマン体のところは喋り忘れてしまいました。
 祝辞の原稿を以下に掲載します。この秋に入学した早期卒業生の皆様の大学院生活が実り多く充実することを心からお祈りいたします。

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2020年度大学院秋入学式 工学研究科長 祝辞 原稿

 みなさん。大学院への進学、おめでとうございます。
 でも、周りから「めでたい」「めでたい」といわれても、本人がおめでたくなっていてはいけません。本当にこの入学がめでたくなるかどうかは、これから1年半の皆さんの努力と活躍にかかっていることを忘れないで下さい。

 <アドリブ>先の先生方(大山学長、梶原研究科長)もおっしゃっていたように<アドリブ終わり>、早期卒業制度を利用して進学した方の修士課程はたったの1年半しかありません。これまでの大学生活を振り返ってください。3年半は短かったでしょう?。さらに短い1年半で修士として相応の技能や実力を身に着けなければいけません。時間的な猶予はありません。
 これからは地獄のような忙しい日々になります。しかし、安心して下さい。「極楽は飽きる、地獄は慣れる」とも申します。できるだけ早く忙しさに慣れてください。

 これからの1年半は本当に忙しいことでしょう。研究成果を出さなければ間に合いません。学会発表もし無ければなりません。講義もたくさん受けて、単位をとらなければなりません。人によってはTAなどで後輩の指導もしなければなりません。指導の先生は次々と無理難題を吹っかけてきます。プレッシャーをかけてきます。まったくもって大変です。このような修羅場を皆さんは切り抜け、駆け抜けて行かなければなりません。

 この危機を切り抜けるためには時間を上手につかうしかありません。タイムマネジメントですね。時間管理は社会人の必須アイテムです。

 私の3つのタイムマネジメントの指針を持っています。それについてお話しします。

 

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会場、KE402

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2020.09.25

2020年度1年次入学生対象ガイダンスを行いました(江頭教授)

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 東京工科大学の後期(冬学期)の授業はいよいよ来週からスタート。と言うわけで今週の木曜日(9月24日)にはガイダンスを行いました。例年のガイダンスは春に実施、さらに1年生だけではなく、2年生、3年生もガイダンスの対象です。でも今年は春のガイダンスは中止に。(もちろん、新型コロナウイルス感染拡大への対応です。)後期に実施するガイダンスも1年生が対象で時間も限られたものとなりました。

 学長、学部長の挨拶は必須だとして、短い時間のなかで何をやろうか。今回は学科に一任されるということで、我々応用化学科の教員も相談します。

 新一年生は学生実験で大学に来ることはあった。でも実験は三密回避で半数ずつでの実施で、本当に全員が集まるのははじめてだ。だからこそ、学科で全体でできることをやりたいね。

 確かに。じゃあ学科ガイダンスをやりましょう。学生さん1人1人の個人ガイダンスなら Zoom や Meet でも同じだろうし…。

でも、結局私達が選んだのは個人ガイダンスでした。

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2020.09.24

大ホールで授業(江頭教授)

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 我々応用化学科が入っている東京工科大学八王子キャンパスの片柳研究棟という建物、その地下には600人収容の大ホールがあります。通常は数百人の学生が対象となる学部レベルの授業が行われています。でも今年の後期はそのタイプの授業の多くが遠隔授業となったため大ホールにスケジュールに空きができているとか。これはチャンスかも、と考えて後期の応用化学科の授業「サステイナブル化学概論」はこの大ホールで行うことにしました。

 大きな教室で授業やるのも気持ちが良いに違いない。応用化学科の学生数は百人以下ですから600人収容のホールは少し贅沢なのかも。あー、でもホールはガラガラの状態になるのか。無観客試合をするスポーツ選手になった様な気分です。

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2020.09.23

デマを拡散してはいけない-16 誤解の生まれ方-2、「空気感染」ということば(片桐教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

 最近、ネットニュースで「新型コロナウイルスが空気感染する」という記事を見ました。例えば、本日のウエブニュースでは「新型コロナが空気感染し得るとの指針、米CDCがサイトから削除」というこのような空気感染の可能性をアメリカ疾病対策センター(CDC)が発表したことを取り消した、という記事がありました。[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-22/QH0QGNDWLU6W01]
 この記事の内容は、他のネットニュースでも記載されています。Yahooニュースでは「米CDC、エアロゾル感染警告を撤回 「草案を誤掲載」」と書いています。[https://news.yahoo.co.jp/articles/e6aac0cf863c2ee5dcc07f15c6612c1a4faefdde]

 先の方の記事を読むと、タイトルには「空気感染」と書かれていますが、本文中には「アエロゾル感染」と記載されていました。

 日本では「空気感染」というと、「飛沫核感染」だけをさします。一方でAirborne infection ということばは「飛沫核感染」に加え、「アエロゾル感染」や「微細な飛沫感染」など、日本では飛沫感染に分類される感染経路も含まれます。ところがこのAirborne infection をGoogle翻訳にかけると「空気感染」と訳されてしまいます。つまり、日本語と英語のニュアンスの違いを理解せずに機械翻訳を行なうと、間違ったタイトルの記事を書いてしまうことになるということです。

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 日本語の定義の場合、空気感染を起こすことが知られている感染症は、結核、麻しん、水痘の3つだそうです。インフルエンザやコロナウイルスなどは飛沫感染を起こしますが空気感染は起こしません。
 日本では、空気感染、飛沫感染、接触感染の用語があります。これらはそれぞれそれらへの対策も設備も異なります。ウイルスの空気感染の場合、N95マスクは予防対策に必須です。一方、飛沫感染はサージカルマスクである程度防げます。対策が異なるということです。だから、ことばを厳密に使わないと、余計な誤解と混乱を招くということです。

 「コロナウイルスは空気感染を起こす」という誤解をしてしまうと、「だから予防対策としてのサージカルマスクには意味が無い」、というある種、誤った結論に至ります。
 世間に広まる誤解はこのようにして生まれるのかなあ、と私は思います。

 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

 

片桐 利真

 

2020.09.22

デマを拡散してはいけない-15 誤解の生まれ方、マスクの着脱に関する話題(片桐教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。


 マスクについては以前にも話題にしました。(http://blog.ac.eng.teu.ac.jp/blog/2020/03/post-7c4f33.html
 このCovid-19は最小発症病原体数の小さなウイルスであると考えられています。したがって、その感染は確率的です。マスクには飛沫をある程度防ぐことにより、感染確率を下げる効果を期待できる一方で、鉄壁ではありません。
 最近、マスクの予防効果について、誤解を生み易い報道を見かけました。少し前の記事ですが「マスクに予防の証拠なし 政策決定には注意を―WHO」という見出しのネットニュースを見かけました。

 この見出しからだけでは、天下のWHOが「マスクには予防効果はない」と表明したように取れます。しかし、その内容を読むと、「感染者が医療用マスクを着用することで、他人に飛沫(ひまつ)感染させるのを防ぐことは各種研究で示されていると説明。一方、健常者が家庭内などでマスクを着用することで一定の予防効果があることを示す「限られた証拠」はあるものの、地域全体での着用で「新型ウイルスを含む呼吸器系の感染症を予防できる証拠はない」と結論付けている。」と書かれています。あれっ?。タイトルと内容が異なるように見えます。
 
 「感染予防に効果があるのかないのか、どっちやねん。」と突っ込みたくなります。この記事によると、WHOの結論は、医療用のN95マスクは一般の予防用ではなく、「医療従事者に優先的に配分されるべきだ。そのように政府関係者は取りはからえ」、ということです。WHOの発表は、社会の構成メンバーひとりひとりに向けたものではなく、政策への提言です。

 世間には「ゼロリスク幻想」がはびこっています。完璧な対策でなければやらないのといっしょと誤解されている方が多くおられます。感染を確率で定量的に考えずに、定性的に「防げる・防げない」と二極化して捉えています。このタイトルの付け方は、そのような定性的な考え方によるものに見えます。(ブログ2016.8.24 http://blog.ac.eng.teu.ac.jp/blog/2020/03/post-7c4f33.html

 マスクはTPOを考えて使いなさい。ということのようです。当たり前と言えば当たり前のことです。しかし、この記事のタイトルは「マスクには予防効果はない」という誤解を招きやすそうです。


 マスクの着脱については、6月に環境庁と厚労省が「マスクをはずしましょう」という熱中症予防キャンペーンをしています。

 

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 これもまた「むやみやたらにマスクをはずしましょう」ではなく、「屋外で他者と2m以上の距離を保てる場合はマスクをはずしましょう。」という、当たり前のことを謳っています。要するに「TPOに応じてマスクを着脱しましょう。」「マスクの使用には頭を使いましょう」ということですね。

 このような記事やポスターを見かけると、誤解無く伝えることの難しさを思い知らされます。


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片桐 利真

 

2020.09.21

新型コロナ感染症対策 アルコールの濃度(片桐教授)

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 新型コロナ対策で手指の消毒用のアルコールが教室や廊下やエレベータの前などに設置されています。今回はこのアルコールの濃度についてです。


 学内で使用している手指消毒用のアルコールを5月に私の研究室で調整しました。高純度アルコール80%とグリセリン5%と極少量の塩化ベンザルコニウム0.05%に水を加えて調製しました。このレシピは大阪大学の安全の専門家のY教授に教えていただきました。
 この成分のうち、グリセリンは肌への優しさのため、塩化ベンザルコニウムは主に殺菌のためであろうかと存じます。では、エタノールをおおよそ80%に薄めるのはなぜかという疑問を持ちましたので、調べてみました。


 Covid-19、コロナウイルスの最外殻はエンベロープという脂質二重膜からできています。コロナウイルスの感染は、このエンベロープをヒト細胞と融合させることで起こります。だから、このエンベロープを破壊すれば、コロナウイルスは感染能力を失います。この脂質二重膜はヒト細胞由来です、そして、細菌の細胞膜とも共通です。だから、殺菌に使える濃度のエタノールが最適です。
 最外殻をカプシドと呼ばれるタンパク質で覆われたウイルスの場合はそのカプシドタンパクを変成させるために、おおよそ100%エタノールが最適ですが、コロナウイルスの最適濃度は異なります。


 ネットでいる色調べると「日本食品洗浄剤衛生協会」のWeb Pageにその最適濃度についての記載がありました。


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< http://shokusen.jp/ethanol.html>より転載。

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2020.09.18

三色ボールペンの部品を拾った話(江頭教授)

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 先日の話、家に帰る道すがら三色ボールペンの部品と思しき写真のようなものが道に落ちているのを見つけました。少しぬれていたのは雨が降った翌日だったからでしょうか。もしそうならこの部品は昨日より前からその場所に落ちたいたことになります。きれいに片づいた歩道のほぼ真ん中にぽつんとあった部品は誰にも気づかれることなくその場にあったのでしょう。

 私は思わず拾い上げて家に持ち帰ることにしました。

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 えっ、勝手にそんな事して良いのかって?

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2020.09.17

デマを拡散してはいけない-14 新型コロナ感染症の後遺症について(片桐教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。


 新型コロナウイルス感染症に関してネットなどには「20代30代の人は死ぬことは無いから、怖がるのはばかばかしい。新型コロナはただの風邪だ。」という意見が散見されます。私はこの意見に反対します。確かに、厚生労働省8月5日の資料では死亡者はほとんど60歳代以上です。

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 しかし、まだよくわかっていないcovid-19という感染症を甘く見るのは危険です。われわれはまだこのCovid-19というウイルスを十分に理解できていません。そして、まだインフルエンザのタミフルのような特効薬やワクチンを我々は持っていません。そのような現状で新規感染症を軽く考えるのは危険です。


 最近マスコミやネット上にCovid-19感染症の「後遺症」の話しが出てきました。もし報道されている後遺症の話しが本当なら、この新型コロナウイルス感染症はQOL(Quality of Life)を大きく下げる病気です。たとえ死ななくても後遺症を抱えることから、Covid-19感染症は、特に若者にとって危険な病気と言えます。

 報道によると、Covid-19感染症は全身の血管に炎症を起こすそうです。(現代ビジネス「なぜか日本で報じられない「コロナ後遺症」、世界で次々と明 らかに...!」2020年8/23(日))その後遺症は疲労、呼吸困難、関節痛、胸痛といった症状だそうです。特に疲労感は生きる気力を奪います。(週刊朝日「「死ね」コロナ感染の男子高生に批判殺到 患者の苦しみと後遺症のリアル」(2020年9/8(火))

 インフルエンザやこれまでのコロナウイルス感染症では起こらなかったこのような後遺症はどのように起こるのでしょうか?。

 例えばインフルエンザウイルスは喉の細胞に特異的に取り憑きます。これはのど細胞特有の細胞接着分子を足がかりにウイルスが感染するからであると、言われています。高病原性鳥インフルエンザ(H1N5)はまだヒトに感染しません。これは、幸いにヒトの細胞はこの足がかりになる細胞接着分子を持たないからです。もしそのような高病原性鳥インフルエンザウイルスが変異してヒト細胞に接着できる能力を獲得したら、インフルエンザパンデミックになります。

 このCovid-19やSARSウイルスは、ヒト細胞のACE2という酵素を足がかりに細胞へ感染します。(ブログ[2020.04.14]「デマを拡散してはいけない-9 イブプロフェンとコロナウイルス-2 LancetのCorrespondenceの紹介」参照)ところが、このACE2は咽頭つまりのどだけではなく、肺や腎臓や血管内皮細胞にも出現します。つまり、そのようなACE2を足がかりに、このCovid-19は肺や腎臓だけでなく、広く全身の血管に感染できるウイルスだということです。これは、これまでの季節性インフルエンザやコロナ風邪と大きく異なるところです。

 血管の病気といえば「動脈硬化」をすぐに想像しますが、このような血管の炎症はむしろ「糖尿病」に似ています。ざっくりと言えば、糖尿病では血中の過剰の糖分が活性酸素を作り血管を痛めつけます。Covid-19の場合、ウイルスに感染した血管を白血球は活性酸素を使って攻撃し、そのために同じような症状になると予想されます。

 だから、これからの長い人生を快適に過ごすために、特に若い人はCovid-19感染のリスクを可能な限り避けるべきだと私は思います。


 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

 

片桐 利真

 

2020.09.16

デマを拡散してはいけない-13 第3波に備えましょう-2(片桐教授)

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 今回のこのブログは片桐の新しい仮説を記載しています。検証されていません。単なる思いつきの仮説です。また、これまでの常識にも反するものです。
 したがって、このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。


 インフルエンザウイルスや旧来のコロナウイルスは季節性の冬に流行する風邪です。なぜ、これらのウイルスは冬に流行するかを考えれば、この新型コロナウイルス感染症の感染拡大する条件を見つけることができるかもしれません。それは、感染拡大を防ぐ手段になるかもしれません。
 そこで、思い込みを排し、化学の視点から考えてみました。

 添付した図は、東京都の今年の降水量と新型コロナウイルス感染症の新規患者の関係をおおよそまとめたものです。横軸をできるだけそろえていますが多少のずれがあるかもしれません。

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この図を見ると、降水量の多くなった後に1〜2週間のタイムラグで、新規感染者数は増えています。そして、この8月後半になり、晴天の猛暑の時期に第2波は収束していったように見えます。さらに、9月の台風の影響による雨天の後で、新規感染者数は横ばいあるいは微増しているように見えます。
 要するに、洗濯物が乾き易い時に新規感染者数は減少し、洗濯物が乾きにくい時に新規感染者数は増加するように見えます。この関係に化学的な意味を見いだせるでしょうか。

 コロナウイルスもインフルエンザウイルスもエンベロープウイルスと呼ばれるウイルスです。その最外殻は脂質二重膜からなるエンベロープに覆われています。このエンベロープをヒト細胞膜と融合させることで、ウイルスはそのRNAを細胞中に送り込み、感染します。
 だから、このエンベロープを破壊することで、ウイルスの感染能力を奪えます。アルコール消毒やセッケンによる手洗は、このエンベロープを破壊する意味を持ちます。

 このエンベロープ=脂質二重膜はその表面に親水性基を配しています。だから水中では安定です。しかし、親水性基は空気相を向いているとエネルギー的に不安定になるため、膜構造は壊れます。この脂質二重膜は乾燥に弱く、水に覆われていないと安定に存在できません。そのため、このウイルスは飛沫中安定で、飛沫感染をおこします。しかし、乾燥した飛沫核感染を起こしません。つまり、洗濯物の乾き易い気象環境では飛沫感染を起こしにくいと推測されます。これは先のグラフからの仮説に一致します。

 しかし、常識的にはインフルエンザは湿度に弱いとされています。冬場に加湿器で加湿すると風邪の予防になるといわれています。実際、暖房などで湿度の低くなった部屋で喉は荒れます。しかし、これはヒトの喉の粘膜の細胞もまたエンベロープと同じような脂質二重膜でできているからだと説明できます。つまり、ヒトの喉に優しい環境は、ウイルスにも優しいということです。
 そして、冬場の湿度は低くても、洗濯物は乾きにくくなります。つまり、屋外で飛沫は乾燥しにくく、夏場に比べて遠くまで壊れずに漂えます。飛沫感染の起こり易い条件になります。

 常識では、低温低湿だから冬にウイルス風邪ははやり易く、高温高湿度の夏場にははやらないといわれています。一方、今回の仮説は湿度と温度の総合的な指標として洗濯物の乾き易さで理解しようとしました。今回の新規感染者数と天候の関係はこの仮説に矛盾しません。
 夏場のデータを使っているために、もうひとつの冬場にインフルエンザのはやる理由である、冬場の免疫力低下の影響については、議論できません。

 ならば、例年インフルエンザや旧型のコロナウイルスによる風邪のはやる冬に新型コロナウイルス感染症も拡大する可能性を否めません。
 この冬から年度末に向けて、新型コロナウイルス感染症の第3波に備えましょう。インフルエンザの予防接種も受けましょう。


 今回のこのブログは片桐の新しい仮説を述べています。検証されていません。単なる思いつきの仮説です。また、これまでの常識にも反するものです。
 したがって、このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

 

片桐 利真

 

2020.09.15

オンデマンド授業の準備には時間がかかる、ということ(江頭教授)

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 本学の後期開始は9月26日から。授業開始は9月28日なので最近はこのことばかり考える様になっています。コロナウイルスの感染拡大が問題となって大学キャンパスでの授業が難しくなり、オンラインで授業を行うこととなった2020年度、本学科は設立されて6年目が終わり7年目に入るところでした。創設以来一年ずつ準備を重ねてきた授業のスタイルが一気に変化してしまったのですから先学期は大騒ぎでした。

 もっともこれは他の学部、他の大学でも条件は同じですね。「授業をつくる」というプロセスを比較的最近、しかも全員が経験していた、という点では本学科は逆に恵まれていたのかも知れません。

 さて、怒濤の前期授業開始から約半年経った後期、こんどは前期の経験を活かしてもっと効果的な授業のスタイルを確立したいと考えています。

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2020.09.14

With コロナの教室に向けて(江頭教授)

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 本学の後期開始は9月26日から。実際の授業開始は9月28日なので後2週間となりました。本学科では今期から対面授業(ただし遠隔受講可です)を大幅に増やす予定にしていますから新型コロナウイルスが問題になり始めてからはじめて対面の授業(実験はやっていましたので、教室ので講義という意味です)となるわけです。

 さて、With コロナの時代の講義はどんな形になるのでしょうか。実は本学の教室ではすでに対策がとられています。教室の机に一つおきに「座ってはならない」場所を指定し、それを赤いテープでマークしているのです。(こちらの記事で紹介したラウンジとおなじ状況です。)このため教室に入れる学生の人数はほぼ半分となっています。まあ、通常の授業でも教室に学生さんが満員になる、という状況は少ないのでそんなに問題にはならないのかも知れません。

 もちろん、学生さんが授業を受ける時は席を離す他にマスクの着用なども必要でしょう。

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2020.09.11

オンライン授業に関する講習会が開かれました。(江頭教授)

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 東京工科大学では月に一度、八王子キャンパス、蒲田キャンパスでそれぞれに「全学教職員会」と称した講習会を開いています。学長が大学の運営方針を説明する回もありますし、各学部がそれぞれの教育目標を発表する回もあります。時には外部講師をお願いして大学の教育にかかわる最新の話題を解説していただくこともあります。

 今回のテーマは「オンライン授業」。非常にタイムリーな内容です。メインは早稲田大学人間科学学術院教授 向後 千春先生のご講演「オンライン授業の作り方」で、Zoomによる遠隔配信。「オンライン授業」の作り方を「オンライン授業」で教える、というスタイルですね。

 少し早めに Zoom 会議室に入ったのですが、その場で向後先生と本学の学長が歓談している内容が聞こえてきました。そうか、開会前の時間で控え室で話をしているのがそのままマイクで流れているのか。場所はメディアホールかな、などとぼんやり考えていたのですが、そんなことはありません。オンラインの講演会なのですからこの雑談もオンラインなんですよね。

 さて、ご講演の内容。本学からリクエストがあったそうで以下の項目を掲げて講演をスタートされました。

  1. 遠隔授業の良い実施例、また逆に欠点・問題点
  2. 遠隔授業の工夫、学生が盛り上がる手法
  3. とくに評価や課題について
  4.  国内外における遠隔授業の現状と今後の動向

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2020.09.10

対面授業、ただし遠隔受講可(江頭教授)

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 本学の後期の授業は9月28日(月)からスタートします。あと2週間と少し。後期の授業をどのように実施するかについては我々もいろいろ考えながら準備を進めています。

 今でこそ「大学は安易にオンライン授業を行うのではなく、対面の授業を再開するべきだ」という声が目立つようになってきましたが、我々が後期の時間割を作っていた6~7月ごろには「感染拡大の第二波をまえに対面授業なんてとんでもない」という雰囲気もあった様に思います。冗談交じりに「いろいろ考えても実際後期が始まったらどうなっているかは分からないよね」と言っていたのですが、実際には後期が始まる前から状況が激変しているという始末です。

 さあ、困った。一体どうしよう。私なりにこんな風に考えを整理してみました。

大学に来て対面授業をうけるべきかどうか。要はコスト、というかリスクとベネフィットとの比較の問題だ。

授業のベネフィットについては我々教員が判断できる。オンラインでもできる授業、オンラインではできない授業(実験とか)を区別して、オンラインではできない授業をどうやって安全に行うか等々。

結局、この問題はリスクの評価の方がポイントだ。

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2020.09.09

今年は9月にオーストラリアに行けないなあ、という話(江頭教授)

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 昨年の今頃は何をしていたのかなあ、などと思ってこのブログの2019年9月9日の記事を開いてみました。「オーストラリアへの渡航にはETAが必要です(江頭教授)」というタイトルで書きだしは

 私は今(2019年9月9日現在)オーストラリアに出張中です。今回はこの出張で経験したことについて少し紹介しましょう。

となっていて、昨年の今頃はオーストラリアに出張中だったことを思い出しました。あの頃はコロナウイルスのコの字も世の中になかった(いや、SARSやMARSは有ったのか)ので、普通に出張に行くことができたのですね。

 二酸化炭素の固定を目的とした植林、というのが私の研究テーマの一つです。その関連でオーストラリアの農場を借りて植林実験をさせてもらっていて、年に2回ほど現地調査に入るのがここ数年の習慣になっていました。前回、今年の3月の調査旅行の準備を始めたころから雲行きが怪しくなり始めて、渡航じは問題なかったものの日程の中頃にはオーストラリア版トイレットペーパー騒動にも遭遇することに。帰国時の空港は閑散としていてラウンジのテレビのニュースはコロナウイルスの話題で持ち切り、という状態でぎりぎりの帰国だったのを思い出します。

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2020.09.08

八王子キャンパス、今日から活動再開です。(江頭教授)

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 先の記事に書きましたが8月31日~7日の夏期休業期間の間、八王子キャンパスは原則閉鎖となっていましたが、本日(9月8日)から再度オープンです。これは例年より2週間ほど後ろ倒しの日程となっていますが、もちろんコロナウイルスの感染拡大のための対応でキャンパス閉鎖が行われたためです。

 さて、本学での前期の授業日程をみると昨年は、4月の初めからガイダンスがあり、4月8日から授業スタートしたのですが、今年は5月20日からのスタートとなりました。昨年のは7月26日に授業終了でその後の試験期間を含めると8月8日までが前期の授業期間でした。今年は8月11日に授業が終了し、期末試験無しでそのまま夏休みとなっています。授業はおよそ5週間遅れて開始されたのですが、5月の連休がなかったことで1週間、期末試験をなくしたことでさらに1週間のキャッチアップが行われました。それでも昨年に比べて3週間の時間不足です。ただし、今年度から授業時間を伸ばすことで授業回数を15回から14回に減らしていたため、実質的には2週間の不足となりました。この不足分を補うためにそれぞれの授業で個別の課題を出すことで対応することとなりました。

 今年度の後期の授業の開始は9月26日からですが、実質的な後期の授業開始は9月28日からとなります。

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2020.09.07

トラックポイントお婆ちゃん(江頭教授)

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 私自身が確認したわけではないのですが「PCを使う際にマウスをなるべく使わない様にしましょう」という内容の本があるのだとか。面白いことを考える人がいるなあ。なんでそんな必要があるのだろう。キーボードのホームポジッション(FとJに左右の人差し指を置いた状態のことです)から外れるのが嫌なのだろうか。それならトラックポイントを使えば良いのに。

 と、ここまで考えてはたと気がついたのですが、世の中でトラックポイントを使っているのはマイノリティでしたね。

 さて、トラックポイントの説明から。下の写真にある様にキーボードのG,H,Bのキーの真ん中にある赤い突起のことです。全てのパソコンについている、というのではなく、ThinkPadというブランドのノートPCに主に採用されている特別な「突起」です。これの役割はマウスの代わり。両人差し指をつかってこの突起に力をかけることでカーソルを移動させることができるのです。ThinkPadはIBMによってビジネス用に
開発されていたノートPC(現在はLenovoというメーカーに引き継がれています)でトラックポイントも効率的な入力を可能にするように工夫されています。マウスと違ってホームポジションから手を動かさずに指先の移動だけでマウスと同じような操作ができること。また、トラックポイントは突起が受ける力に反応するのでタッチバッドのように実際に指を動かす必要が無いことが特徴です。

 私はこのトラックポイントが凄く気に入っているのでノートPCはいつも ThinkPad を利用していますし、デスクトップのPCにもトラックポイントのついたものを接続して使っています。

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2020.09.04

シンプソン法って使うことありますか?(江頭教授)

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 本学工学部の応用化学科には「プログラミング」という授業があります。化学の研究に際してもプログラミングの知識は必須だろう、ということで学生の皆さんにプログラミングについて学んでもらうのですが、そこは理系の学科なのでテキスト処理などよりは数値計算が中心となります。

 先日、今年の教科書として指定されている「Excel環境におけるVisual Basicプログラミング 第3版」という本に目を通していてふと気になったのが「シンプソン法」(この教科書では「シンプソンの公式」となっていました)について。大雑把に言うと数値積分でデータ点の間を直線で結ぶのが台形公式、二次関数で結ぶのがシンプソン法、ということでデータ点の数が同じで、被積分関数がなめらかならシンプソン法の方が精度が高い、ということです。

 とはいえ、これって現在でも教える必要があるのだろうか、などと思ってしまいます。

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2020.09.03

時計皿とガラス管(江頭教授)

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 これを読んでいるあなたが高校生だとしても、いえ中学生だとしても化学に興味があるなら「時計皿」という実験器具(ってほどでもない)があることを知っていると思います。ちょっとした物入れとして、あるいはビーカーの蓋として実験室では重宝するガラス器具ですが、なんでこれが「時計皿」なのでしょうか?これでどうやって時間を計るというのでしょうか?

 時計皿の名前の由来については以前の記事でも少し紹介しましたが、じつはこの時計皿、昔の時計の部品だったのです。時計と言っても懐中時計という今では珍しいタイプで、時計皿はその文字盤の蓋として用いられた部品です。

 おそらく、昔の化学者達はガラス職人から、あるいは時計店から時計の部品だった「時計皿」を分けてもらって実験に利用していたのでしょう。今のように懐中時計が作られなくなると、時計皿を入手するのが大変で時計店を何軒もハシゴして...何てことは幸いありません。時計皿は現在では化学の実験用の部品としてそれ専用に製造されています。

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2020.09.02

「オンラインツール活用講習会」が開催されました(江頭教授)

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 これを読んでいる皆さんは「FD」あるいは「FD活動」というものをご存じでしょうか? 私がはじめて聞いたときには「フロッピーディスク?」「フロッピーディスク活動ってなに?」などと思ったものですが、ここでの意味は「ファカルティ・ディベロップメント( Faculty Development )」です。ファカルティは学部のこと、ディベロップメントは「発展」や「開発」の意味ですから、学部を発展させることです。端的に言うと、教員の能力開発を促進するための活動、ということになります。

 本学ではときどき紹介している「全学教職員会」(こちらの記事や、こちらの記事)がそれに当たるのですが、今回紹介する「オンラインツール活用講習会」もその一つ。ただし、こちらは授業の実践に沿った内容だったので教員を対象に任意参加で行われました。開催は8月28日の金曜日。八王子キャンパスが夏の休業に入る直前の開催となりました。

 内容はタイトル通り授業で活用するオンラインツールについての講習会ですが、メインとなったのは「Moodle」と「Zoom」の二つです。実施形態もタイトル通りで、Zoomを利用したオンラインでも実施となりました。

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2020.09.01

安全なスプレー缶は作れるが(江頭教授)

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 なんとなくラジオを聞いていると「自動車を運転していた人が冷却スプレーを使って、その後にタバコに火をつけようとした途端に爆発が起こった」という事故について解説していました。興味をもって検索すると下の様なニュースがすぐに見つかりました。爆発したのはトラックで信号待ちで停車していたときの出来事だとか。幸い、爆発した車を運転していた人は命に別状はかなったそうです。

 さて、爆発の原因になったという冷却スプレーというのは体を冷やすためのものスプレーです。以前、スポーツ競技でけがの応急処置で使われているのを見たと思います。最近は、熱中症対策などで最近一般的にも使われる様で、この運転手の人も暑さ対策として利用していたのでしょう。

 冷却スプレーにはLPガスやジメチルエーテルが加圧されて液体となった状態で入っています。常温では気体の成分を加圧して容器に入れることで液化している訳ですから、容器が解放されると逆に気化しながら放出されます。ノズルから噴出される際には蒸発してガスになって気化熱を奪うことで冷却にも寄与する。これらの成分はガスやミストを噴出させるための原動力であると同時に冷却剤としても働くわけですね。

 そもそも、普通のスプレー缶にもLPガスやジメチルエーテルが「原動力」として利用されています。というか、スプレー缶が噴出されるときに冷えることが冷却スプレーの着想のもとなのではないでしょうか。

 注意するべきなのは、LPガスやジメチルエーテルは可燃性である、という事です。

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