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時計皿とガラス管(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 これを読んでいるあなたが高校生だとしても、いえ中学生だとしても化学に興味があるなら「時計皿」という実験器具(ってほどでもない)があることを知っていると思います。ちょっとした物入れとして、あるいはビーカーの蓋として実験室では重宝するガラス器具ですが、なんでこれが「時計皿」なのでしょうか?これでどうやって時間を計るというのでしょうか?

 時計皿の名前の由来については以前の記事でも少し紹介しましたが、じつはこの時計皿、昔の時計の部品だったのです。時計と言っても懐中時計という今では珍しいタイプで、時計皿はその文字盤の蓋として用いられた部品です。

 おそらく、昔の化学者達はガラス職人から、あるいは時計店から時計の部品だった「時計皿」を分けてもらって実験に利用していたのでしょう。今のように懐中時計が作られなくなると、時計皿を入手するのが大変で時計店を何軒もハシゴして...何てことは幸いありません。時計皿は現在では化学の実験用の部品としてそれ専用に製造されています。

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 とは言え、化学の実験に使うものは常に実験器具として製造さているものとは限らない、というのは現在でも同じです。私もいろいろな部品や素材を実験に利用しています。

 例えばガラス管。直径3ミリの細いガラス管は何かと重宝していました。学生実験で利用する温度センサーの母材としてガラス製で直径が細いことを活かした、伝熱による温度勾配の発生を極力抑えられるタイプの温度計を作り、反応熱の測定蒸留の学生実験に利用したものです。

 ところが何と、最近この直径3ミリのガラス管は生産中止になってしまったのです。メーカーが作らなくなったので「時計店を何軒もハシゴして」もどうにもなりません。幸い学生実験の温度測定は別の器具を利用する様になっていますが、なじみのある素材が使えなくなるのは困ったものです。だれか実験専用に製造してくれないかなあ。

 

江頭 靖幸

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