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シンプソン法って使うことありますか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学工学部の応用化学科には「プログラミング」という授業があります。化学の研究に際してもプログラミングの知識は必須だろう、ということで学生の皆さんにプログラミングについて学んでもらうのですが、そこは理系の学科なのでテキスト処理などよりは数値計算が中心となります。

 先日、今年の教科書として指定されている「Excel環境におけるVisual Basicプログラミング 第3版」という本に目を通していてふと気になったのが「シンプソン法」(この教科書では「シンプソンの公式」となっていました)について。大雑把に言うと数値積分でデータ点の間を直線で結ぶのが台形公式、二次関数で結ぶのがシンプソン法、ということでデータ点の数が同じで、被積分関数がなめらかならシンプソン法の方が精度が高い、ということです。

 とはいえ、これって現在でも教える必要があるのだろうか、などと思ってしまいます。

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 何事によらず、教えてはいけない禁断の知識、というのはないはずなので、べつにシンプソン法を教えるな、というつもりはありません。

 でも、シンプソン法と台形公式を比較して精度が高い低い、というのは同じ計算量に対して、という前提を置いての議論でしょう。つまり、コンピューターの計算能力が限られていた、あるいはタイムシェアリングシステムで計算時間に対して課金されている(そういう時代があったのです)状況に対応した議論だと思えるのです。この状況設定は現在の一般的なコンピューターの利用状況にそぐわないのではないでしょうか。

 実のところ、プログラムの見通しの良さや、融通がきく点(刻み幅を個別に設定できる、データ点の個数が奇数でも可など)を考えると台形公式の方が優れているのではないかと思うのですが、如何でしょうか。

江頭 靖幸

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