大気の量はどのくらい?(江頭教授)
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「天高く馬肥ゆる秋」などと申しますが、はて天はどのくらい高いのでしょうか?というか、大気はどのくらい高いのでしょうか、という話は実はこのブログで書いたことがあります(こちら)。大気は上層に向かって薄くなっているので天井、というかハッキリした境界がないので大気の厚さを厳密に決めることはできません。定義によって15kmとか8kmとか、その程度の高さです。やっぱり高いなあ。富士山の倍以上か。
地球の周囲長は約40000 km なので半径はこれを2πで割って6366km。ということで、今度は地球の半径とくらべると大気の厚さは0.何とか%というレベル。非常に薄いとも言えますね。
では大気の量はどのくらいなのか、というのが今日のお題です。
先の地球の半径の値から表面積を計算すると5.09×108 km2となります。高さを 8 kmとすると4.07×109 km3 という値を求めることができました。
では質量はどのくらいなのでしょうか。
大気の密度をかけて、という考え方もできますが、ここは少し見方を変えましょう。
大気圧、つまり大気圧が 1013 hPa だ、というのは皆さんご存じだと思います。では地球が大気から受けている力はどのくらいか。地球の表面積をかけ算して 5.16×1019 N という数値を得ます。(これは地球平面説!に基づく計算です。本当は力をベクトルとして考えて地球は丸いことを考慮すれば合力は0になりますね。まあ、地球は大気におされて動いたりしないのでこれが当然なのですが。)
さて、重力によってこれだけの力がかかる、と考えるとその重力を受けているもの、つまり大気の質量はこの力を重力加速度 9.8 ms-2 で割れば求める事ができます。
結果は 5.27×1018 kg となりました。
4.1×1018 m3 とか 5.3×1018 kg とか。あまり見たことのない数字だと思いますが、覚えている数値から意外と簡単に計算できる、という点に注目して欲しいところです。私達は意外といろんな数字を、直接ではないにしろ、知っているのですね。
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