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海と空はどちらが大きいのか(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 空は果てしなく高く、海はどこまでも青い。

 などと言ってみましたが今回のお題は空と海のどちらが大きいのか、という話。前回は空、というか大気の大きさを計算で求めたのですが、数字が大きすぎて今ひとつ実感が沸かない、ということで海、というか海水と比較してみよう、というのです。

 海のサイズを計算で、と行きたいところなのですが、さすがにこれは簡単ではありませんから調べなくては。前回の大気の体積4.1×1018 m3 と単位を合わせると 1.4×1018 m3という情報がでてきます。

 そうか、海は空より小さいのか。海の体積は大気の体積の三分の一程度です。なお、大気には明確な天井がないので高さは定義次第で変わる、と前回も書いたのですが、この 4.1×1018 m3 という値は「大気が上層まで地表の密度だったら」という比較的小さな値(約8 km)での計算値です。他の定義をとれば海との体積の差はもっと大きなものになるでしょう。

 それはそうだ。深海、というか海溝の底が 10,000 m、つまり 10 km 程度。大気の高さと同じくらいです。でも海は地表の全てを覆っている訳ではありませんよね。

 では質量はどのくらいの比率になるのでしょうか。

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 大気の質量は 5.3×1018 kg でした。海水の質量は、こちらは調べなくても体積から計算できます。海水の比重を1として(塩の重量は無視しています)1.4×1021 kg という数字が出てきます。これはまさに桁違いで海の質量は大気の約300倍にもなるのですね。

 大気の体積は海水の体積の約3倍ですが、海水の質量と比べると約300分の1なのです。大気は大きくて軽い。ようするにスカスカなのですね。

 フロンによるオゾン層破壊や二酸化炭素による温暖化など、人間が引き起こした地球レベルでの環境変化はいずれも大気に関係するものです。もちろん、海の環境問題もありますが、それはあくまでもローカルでの問題に留まっています。世界にあまねく広がっていてスカスカな大気は人間の排出する物質の影響を受けやすい、脆弱な環境だ、と言えるのでしょう。

江頭 靖幸

 

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