サステイナブル社会のエネルギー源(江頭教授)
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我々応用化学科が所属する工学部の大学院は「工学研究科」ではなく、「サステイナブル工学研究科」という名称です。サステイナブル工学の確立を目指す、という方針を明白に示した訳です。
さて、その大学院の授業のなかで私は「サステイナブル工学概論」という授業を受けもっています。
と、ここまでは実は先日の記事の焼き直しです。そのときは SDGs とサステイナブル工学の関係について学生諸君の考えを紹介したのですが、今回のお題は「サステイナブル社会」ではどんなエネルギーが使われているか、という問いかけです。
まず、一番多かったのは太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーです。こちらの記事で触れたように現在の普及率がまだまだ低くて「全一次エネルギーに対して再生可能エネルギーの占める割合はまだ3.6%に過ぎ」ないことは授業でも触れているのですが、将来の、という前提で考えれば強い期待が持たれていることが分かりました。
とは言え、小規模なエネルギー源で地産地消的な供給体制をイメージする人もいる一方で、大規模な太陽発電プラントを作って超伝導ケーブルや化学物質の可逆な反応を利用してエネルギーを世界中に送る、というグローバルなイメージを持つ人もいます。具体的な一つの決まったイメージはないようです。太陽発電衛星など、壮大なイメージを挙げた人も一定の割合でいましたね。
再生可能エネルギーが利用可能なら日本は世界から石油を買う必要がなくなる。そうなれば地球の裏側の国際紛争によって我々の暮らしが脅かされることもないはずだ。
再生可能エネルギーへのエネルギー転換の意味は(温暖化以前は)その様な論点で語られていたと思います。でも、エネルギーでグローバルな競争が起こったら広い土地と強い日射量に恵まれた一部の国がやはりエネルギー供給国となり、日本はそこからの供給に依存するようになるのでしょうか。
温暖化問題を中心に再生可能エネルギーを捉えている学生諸君の世代と私の世代とでは少し見方が異なるのかも知れませんね。
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