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Society 5.0 と農業(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回も Society 5.0 のお話し。今まで(1回目2回目3回目)の続きとして、内閣府が示している Society 5.0 の生み出す新たな価値の具体例から農業について考えてみたいと思います。

 「農業」について、内閣府による説明では下図の様なイラストで新たな価値が説明されています。消費者にニーズを的確に把握し、最小限のロスでそれに答えるために高度に情報化された農業、とでも言えば良いのでしょうか。思い切って単純化すれば農業の徹底的な合理化ですね。

 Society 2.0 の主役であった農業ですが工業化の影響で生産の方法は大きく変化しました。では Society 5.0 ではどう変化するのでしょうか。具体的に考えてみると、外見上農業のやり方にはほとんど変化は見られないのではないかと思います。こんな感じでしょうか。

 Society 5.0 でも畑は今まで通りに畑ですし、水田は水田のままなんですね。作物は太陽の光で生長するし、畑を耕す耕運機も外見は現在のものと大差はない...、あれ、あのトラクター人が乗っていないんですけど。というかそもそも人の乗るところが無いですね。それにブンブンと虫の羽音が...、と思ったらこれはドローンか。そう言えば全く働いている人の姿を見ないんですけど。

 いや、人が働いていなければ充分な変化でしょう。

Society5_010

 

 確かに無人農場というのは充分に未来的ですね。とはいえ農業で生産される米や野菜、農産物自体に注目すると「種が蒔かれて水と太陽の光で成長してやがて実りの時を迎えて収穫される」この流れ自体に変化はありません。変化しているのは、「種が蒔かれて水と太陽の光で成長、している途中に干ばつで枯れる」とか「種が蒔かれて...実りの時を迎えて収穫されたけど、売れ残って廃棄」といったパターンが減るということなのですね。

 もっと極端な発想をすれば「全ての食品を遺伝子改良された高生産性小麦から人工的に合成し、生産は全てモノカルチャーの無人農場で行う」といった農業のあり方も考えられない訳ではありません。(「PSYCHO-PASS サイコパス」でしたっけ。)

 Society 5.0 は未来技術といってもそこまで不自然なものではありません。現在の私達の感性に寄り添った自然な未来像だと言えるでしょう。あるいは私達人類(いや、日本社会か)がそこまで追い詰められていない、ということなのかも知れませんが。

江頭 靖幸

 

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