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「ハイブリッド授業」のメリット・デメリット(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「ハイブリッド授業」という言葉にはいろいろな意味合いがあり得ると思います。ここではこのブログで何遍も述べてきた「対面ただし遠隔受講可」の授業ということにしましょう。そのメリット・デメリットは何でしょうか?

 漠然とメリット・デメリットといっても焦点がぼやけてしまいます。まずは誰にとってのメリットであり、誰にとってのデメリットかをハッキリさせるために学生の立場と教員の立場を分けて考えてみましょう。

 まず、学生の立場から。学生からすれば授業を受ける際の選択肢が増えるわけですから、これは確実にメリットがあると言えるでしょう。対面の授業より遠隔の授業が良いならそちらを選ぶ。やっぱり対面が良い、という人は大学に来れば良いのです。選択肢が増えるということは遠隔と対面の良い方を選ぶことができるのですから、もともと対面が良いという人に新たなメリットはないものの、対面より遠隔が良いという人にはメリットがあるわけです。ですから学生全体に対してはメリットがあると言えると思います。

 では教員についてはどうでしょうか?

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 教員側は学生の場合と全く逆で、デメリットしかない、と言えるのではないでしょうか。対面授業と遠隔授業の二つに対応しないといけない、となれば対面授業だけの時よりも何かしらの負担が増えていることになります。受講する側の学生にとっては選択肢が増えた中から良いものを選べばいい。その一方で選択肢を準備する側の教員は確実に二つの選択肢の準備をしなくてはならない。選択肢が増えたことで逆に選択の余地がなくなっているわけですね。

 学生にはメリット、教員にはデメリット。この不平等を埋めるのは教員への特別ボーナスしかない!という話になるところですが、ここでもう一つの観点に触れておく必要があるでしょう。

 そもそも授業の目的は何なのか、ということです。教員が学生に知識を伝達する、学生が教員の助力のもと自分の能力を開発する、という共同作業として授業を考えた場合「バイブリッド授業」によって知識の伝達や能力開発が効果的に進むようになるのか、という観点です。

 こちらに対しての解答は明確かつ陳腐です。それはどんな「ハイブリッド授業」であるか内容による、ということ。だからこそより良い「ハイブリッド授業」を目指して努力する意義があるのですね。

PS:もっとも私は特別ボーナスにも意義を感じるのですが...。

江頭 靖幸

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