Society 5.0 とエネルギー問題(江頭教授)
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前回に続いて Society 5.0 について考えていきましょう。Society 5.0 にもいろいろな社会問題があります。というか社会問題を新たな技術で解決するのがSociety 5.0 の特徴なのです。
では現在の社会に存在するいろいろな問題について Society 5.0 はどのように対応する、と予測されているのでしょうか?前回同様、内閣府の資料に基づいて考えてみましょう。「Society 5.0 新たな価値の事例(エネルギー)」というページには具体的なイメージが下図のように示されています。
中心的な役割が期待されているのはAIですが、この内容ならIoTも利用されているでしょう。これらの技術がエネルギー問題の解決に役立つと考えられる理由として「的確な需要予測」「地域間連携」「家庭での省エネ」などが挙げられています。大きくまとめるとエネルギーの有効利用、つまり省エネによってエネルギー問題を解決するというのです。
うーん、確かに効果は絶大でしょう。例えば今100のエネルギーを消費しているとして、それを80とか、ひょっとしたら50まで減らすことができるかもしれません。とはいえ残りの50のエネルギーはどうやって手に入れればよいのでしょうか?
結局のところエネルギーを作り出すのは工学技術です。内閣府による Society 5.0 の位置づけについての解説では工業は Society 3.0 の特徴だとされています。でも、だからと言って Society 5.0 が工学を必要としていないわけではないのですね。それを言えば Society 2.0 の農業だって必要不可欠でしょう。( Society 1.0 の狩猟は、まあなくても何とかなるかも。)
過去には Society 3.0 の工業の出現によって農業がそれ以前の農業とは全く違う姿に変貌した、という歴史があります。同様にSociety 5.0 における工業も大きな変革を遂げることが予想される。要するに Society 5.0 は工学にもいろいろな課題を突き付けると同時にいろいろなチャンスも切り開くものなのです。とすれば Society 5.0 なら IoTやAIだ、というのは少し短絡的かもしれませんね。
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