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Society 5.0 と食品

| 投稿者: tut_staff

 Society 5.0 のお話しを続けましょう。今まで(1回目2回目3回目4回目 )の内、前回の「農業」と同様に内閣府が示している Society 5.0 の生み出す新たな価値の具体例から、今度は食品について考えてみたいと思います。

 食品と農業、食に関する話なのでわざわざ分ける必要があるのか、という気もします。実際、食品と農業で示されている価値にはかなり共通したものがあるように思えます。例えば下図に示されてる「食品ロス削減」という項目。冷蔵庫自体に装備されたセンサーで冷蔵庫が自分の中にどれだけの食材があるかを「知っている」様になる。その情報に基づいて賞味期限の近づいた食品は早く食べるように促す、あるいはその冷蔵庫の持ち主の消費速度を勘案して購入時に適当な量に制限する、といった仕組みが考えられているのでしょう。このようなインテリジェントな冷蔵庫の先にはインテリジェントな八百屋や米屋がつながっていて、さらにその先には超スマートな農場があるのでしょう。

 これは農業で作られた食品が人々の目の前まで届けられる過程についての改善です。前回指摘したとおり、実際に人の口に入る食品そのものは現在のものと違いはないと想定されているようです。(もちろん、違っても良いのでしょうが。)もしかしたら食品についてこのような Society 5.0 の技術が実用化されたとしても多くのひとはそのことに気がつかない、というのはオーバーとしてもほとんど意識しない、という状態になるのかも知れません。

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 その一方で食の安全の向上、という項目には農業とは違った側面があると思います。例としてあげられているアレルギーの問題などは、現在も行われている食品の成分表示をもっと進化させてよりきめ細かな、そして大量の情報を元にアレルゲンを管理しよう、という話で個別の農作物を出発点として調理までの一連の過程が対象になるのでしょう。この場合、アレルギーを持った人は何かの食品を食べようとしたときに、あるいは買おうとしたときに「それにはアレルゲンが入っていますよ」という注意を受けることになるのでしょう。この点で Society 5.0 の技術を意識しない、という訳には行きませんね。

江頭 靖幸

 

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