デマを拡散しないように- 21 日照時間,湿度と感染拡大・収束の関係の教えてくれること(片桐教授)
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(以下の記事はこちらの記事からの続きです。)
今回は前回の解析結果の考察です。
前回お示しした結果は日照時間7時間以下あるいは平均湿度55~60%以上の場合では新型コロナウイルス感染者は増加する傾向にあり, 日照時間7時間以上あるいは平均湿度55~60%以下の場合では感染者は減少する傾向にあることを示します。
この相関より, 新型コロナウイルス感染者の増加傾向や減少傾向は日照時間や湿度と関係することを示しました。これは化学的な根拠による筆者の作業仮説と矛盾しません。しかし, 日照時間と正の相関を持つ紫外線の効果をこの結果から排除できません。
気象庁のUVインデックス[14]には東京の値は公開されていません。しかし, 筑波の値はまとめられています。これを見ると, 5月の第1波の新規新型コロナウイルス感染者数の減少期と7月の第2波新規感染者の増加期の紫外線量はあまり変わりません。さらに経路の判明している感染は主に屋内(家庭内, 夜の繁華街, 職場, 会食,等)で起こっていると報じられています[15]。 このような屋内での感染への日照紫外線の影響は考えにくいものです。したがって, 紫外線の積極的な影響の可能性は低いと思われます。
一方で,今回の日照時間,あるいは湿度,を係数とするこの(疑似)相関関係において,まだ明らかになっていない潜伏変数の存在を否定できません。
そして、最初に述べた、「まだ未解明のインフルエンザとは異なる感染経路」は、このような湿度や日照時間の影響を受けると考えられます。
参考文献
[14] 気象庁 過去の気象データhttps://www.data.jma.go.jp/gmd /env/uvhp/link_daily_uvindex_monthly_obs.html
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