デマを拡散しないように- 20 日照時間,湿度と感染拡大・収束の関係 (片桐教授)
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(以下の記事はこちらの記事からの続きです。)
以下のような検討を行ないました。
データ処理・分析方法
東京都の日々の新規感染者数(an : nは3月1日からの日付)はその前14日間の移動平均値(An = average(an−14〜an))の形で使用しました14日間移動平均(2週間)に設定した理由は, (1) 東京都の新規感染者数は曜日ごとに異なるため週間単位(7日間単位)にする必要があること.(2) 発症から検査結果が記録されるまでの数日間の遅延と, (3) まだ明らかになっていないウイルスの潜伏期間(2日〜7日程度と考えられている)の影響を抑えるためです。この設定により, (4)日照時間(cn)の14日移動平均値(Cn = average(cn-14〜cn))および一日の平均湿度(dn)の14日移動平均値(Dn = average(dn-14〜dn))との重なりを7〜10日程度確保できます。
感染者数の増減傾向指標(Bn)は,上記の14日移動平均値の2日間インターバルの差分を感染者数の14日移動平均値で割ったもの(Bn = (An−2 – An) / An)としました。これにより, 感染者の母集団の大きさの影響を排除し, 感染の増減傾向を抽出しました。
図1に3月1日(n = 1)から11月30日(n = 285)までの東京都の14日移動平均(An), 2日インターバルの感染者増減の差分値(Bn), 東京の日照時間の14日移動平均(Cn), 東京の平均湿度の14日移動平均(Dn), をそれぞれ示します。
図1 From March 1 (n = 1) to November 11 (n = 285:
(A) 14 days moving average of newly infected persons announced by the Tokyo Metropolitan Government (An)
(B)A COVID-19 spread index (Bn) : Bn = (An-2 – An) / An
(C) 14 days moving average of sunshine hours (Cn).
(D) 14 days moving average of daily average humidity (Dn).
第2波における感染者数の増減と日照時間の相関
緊急事態宣言(4月7日)の後の感染防止のための自粛の行なわれていた第2波期間(6月17日(n = 119)〜9月10日(n = 204)の日照時間(横軸: 図1 Cn)と感染者増減(縦軸: 図1Bn)の散布図を図2に示します。
図2 Correlation of index Bn and 14 days moving average sunshine hours Cn.
この散布図は強い負の相関(R = −0.74)を示しました。新規感染者の増減均衡点は1日の平均日照時間おおよそ7時間でした。このような日照時間と感染者数の増減の関係は, 非常事態宣言による都民の自粛行動によりヒューマン・ファクターが抑えられ,それにより顕著になったと思われます。
4.3 第2波における感染者数の増減と平均湿度の相関
図3は第2波時(6月17日(n = 119)〜9月10日(n = 204)の気象庁の発表した一日の平均湿度(横軸: Dn)と感染者増減(縦軸: Bn)の間の相関です。
図3 Correlation of index Bn and 14 days moving average humidity Dn.
この散布図は正の相関(R = 0.75)を示しました。ただし, 湿度は一日の中で大きく変化し, その変化の巾も大きな値です。また屋外と屋内では大きく異なる値ですので,そのためその数値としての信頼性は日照時間よりも低いと思われます。
この湿度や日照時間と感染の拡大・収束傾向の強い相関はいろいろなことを我々に教えてくれます。
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