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デマを拡散しないように- 24 追補:経皮接触感染の可能性についての論文紹介

| 投稿者: tut_staff

 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献を読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

(以下の記事はこちらの記事からの続きです。)

 この年末年始のお休み期間、片桐は論文をあさりまくり勉強していました。そして見つけました!。「汗腺からの感染」を示唆する論文がありました。

Liu et al. Cell Discovery (2020) 6, 84 “Infection of human sweat glands by SARS-CoV-2”

Nature系の論文です。この論文はopen accessなので,誰でも入手できます。

https://www.nature.com/articles/s41421-020-00229-y
のサイトから入手できます。

 論文の形式はCorrespondanceという「仮説」です。しかし、この論文では感染者の汗腺細胞からコロナウイルスや、SARS-CoV-2の感染に必要なACE2酵素、そして、感染成立に必要なTMPRSSというプロテアーゼも見つけています。

 汗腺からの「経皮接触感染」という感染経路は、インフルエンザでは知られていません。そのため、これまでのインフルエンザ対策に準拠した新型コロナ来策には、この経路に対する対策は含まれていません。

 一連のブログ記事で先に述べたように、この経皮接触感染は、私らの天候と感染者数の増減トレンドの関係から推測した経路です。

 そして,7割を占める「感染経路不明」を説明できます。現在、感染者との濃厚接触の無い方の感染が、東京都では新規感染者の7割を占めています。この経皮接触感染の場合、数時間から数日間の時間軸を越えて感染が伝播するため、その感染経路が不明になります。

 また、無症状感染もこのような経皮接触感染で説明できるかもしれません。気道感染の場合、喉の痛みや風邪のような症状、さらに肺炎に進むために、「症状」を自覚し易いでしょう。しかし、経皮接触感染の場合、血管に感染し血管の炎症を起こすと思われます。その場合、呼吸器系の症状はよっぽど悪化するまでは出にくいと思います。血管の炎症は「糖尿病」をイメージすると良いでしょう。糖尿病では血液中の過剰の糖で酸素が還元され活性酸素ができて血管に炎症を起こします。それにより酸化老化が起こるので、糖尿病は血管病とも言われます。しかし、糖尿病もその初期において自覚症状が出にくい病気です。COVID-19ではウイルスに対する細胞性免疫の作用=活性酸素による感染細胞への攻撃により、血管が酸化老化します。無症状感染者の「後遺症」として、疲労倦怠感がありますが、これも糖尿病の症状と同じです。

 いずれにせよ、新型コロナ感染症=COVID-19はただの風邪ではありません。風邪様の症状はその一面でしかないと思われます。この病気を見くびること無く、最大限に防御し、逃げ延び、生き残りましょう。

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片桐 利真

 

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