「善循環」も「悪循環」も「ポジティブフィードバック」の結果なんですよね(江頭教授)
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この記事は以前のこちらの記事のつづきです。
この記事で説明したのはフィードバック制御のお話。安定なのはネガティブフィードバック系、ポジティブフィードバック系は発散するので安定にはならない。その典型は「悪循環」ですよね、というお話でした。
ある事柄が他の悪い状態を引き起こし、それがまた前の事柄に悪影響を及ぼす関係が繰り返されて、事態がますます悪くなること。
これが悪循環ですが、ポイントは悪いことが悪いことを引き起こす、という点。一つの事象の影響が同じ方向の影響を与えて反転することがない。反転するなら悪いことが抑え込まれて安定することになるでしょう。この反転が起こるのがネガティブフィードバックで、反転が起こらないのがポジティブフィードバックだ、これが制御の分野の用語なのです。だから(言葉の感じとは裏腹に)悪循環こそがポジティブフィードバックだ、となります。
さて、表題に入れた「善循環」という言葉、これはまだ一般的な用語とは言えないかもしれませんが、仮に悪循環の反対、つまり
ある事柄が他の良い状態を引き起こし、それがまた前の事柄に良い影響を及ぼす関係が繰り返されて、事態がますます良くなること。
と定義するなら、実はこれもポジティブフィードバックの結果であるといえます。あまり例が思いつかない?いえいえ、急成長する企業などはどこかでこの善循環を利用しているのではないでしょうか。
さて、ここから先は少し人それぞれの価値観によったお話になるかと思いますが、私には「善循環」であっても「ポジティブフィードバック」は危険なものに思えます。それは「悪循環」がそうであったようにいつかは限界に到達する、つまり持続不能であるという問題点があるからです。
納得できないですか?では、そう、「善循環」と思えたものが限界に達することで一気に負の側面を表す現象、たとえば「バブル崩壊」を思い出してみればどうでしょうか。
ポジティブフィードバックの状態を作ることは社会の変革には有用なことでしょうが、それは持続不能でサステイナブルではありません。あえて「善循環」とおもってその状況にコミットするのなら、出口戦略、成長の終わりにどうするか、は考えておかねばならないのでしょう。
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