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プラスチックとリサイクル(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 最近プラスチックに関する話題が多くなってきましたが、プラスチックの処理についてはずっと以前から、私が高校生の頃から問題になっていました。当時、40年くらい前ですが、私はプラスチックの処理について関心のある高校生だったわけです。今日はその私が大学に入って聞いたプラスチックのリサイクルについての話を紹介したいと思います。

 私が大学に入って化学系に進学して聞いたのは「プラスチックのリサイクルは可能だ」ということ。ただし、プラスチックを融かして再利用とかモノマーに分解して再重合とか、方法はいろいろですがどの方法でも追加のエネルギーは必要になります。

 では、プラスチックのリサイクルができると何が良いのでしょうか。普通の人は誰でも知っているようにプラスチックは石油からできています。ですからプラスチックをリサイクルすると石油が節約できるわけですね。私が学生のころはオイルショックの影響がまだ鮮明に思い出される時代だったので、これはこれで凄いことだと思ったものです。Fig1_20210330181801

 「とはいえ」と、話は続きます。石油の用途はプラスチックの製造だけではない。というかプラスチックの製造に使われる石油は実はそんなに多くはない。ほとんどの石油は燃やされてエネルギー源として利用されるのです。

Fig2_20210330181801

 プラスチックを一生懸命リサイクルしても節約できる石油はたかが知れている。だったら燃やすはずだった石油を少し分けてもらってプラスチックをつくり、プラスチックのごみを回収してごみ発電でエネルギーを作れば良いだろう。

 つまり、「本来石油は燃やしてエネルギーを得るもの」なのですが、そのうちほんの少しを分けてもらって一旦プラスチックにする。プラスチックを便利に使ったらちゃんと回収して発電でエネルギーにすれば石油を有効利用できますね。

Fig3_20210330181801

 さて、これは40年前のお話しで、40年前の理想論です。当時はプラスチックの回収率も低かったし、そもそも他のごみと分別されていませんでした。ごみ発電もまだまだ概念上のものでした。

 あれから40年、当時の理想論は今では普通に実現されています。昔の人たち、今の大人たちは決して環境に無関心だったわけでも怠惰だったわけでもありません。環境問題に熱心に取り組んで現実的な解決法をきちんと実現するために努力し、そして輝かしい成果を挙げたのです。

 プラスチックの処理について何かを語るひとは、まずはこのことを理解しておいて欲しい、そう私は思っています。

 

江頭 靖幸

 

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