SDGsはサステイナブルではないというお話(江頭教授)
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SDGsは Sustainable Development Goals の略だ、というのは皆さんご存知でしょう。その日本語訳は持続可能開発目標ということになります。でもSDGs自体はサステイナブルではない、つまり持続しませんよね。
それはそうです。SDGsは先行するMDGs(Millennium Development Goals)ミレニアム開発目標の後継として2015年に始まりました。で、MDGsはその名にミレニアムとあるように2000年からスタートした「開発目標」です。この「開発目標」には達成の期限が切られているのが特徴で、MDGsの達成期限は2015年と定めれられていました。
ミレニアム、つまり千年紀と名付けられているのだから目標達成は西暦3000年で良いのでは
いや、いくら何でもそんな先のことは分からないですよね。というかせっかく良い目標を掲げてもそれを「いつまでに達成する」と決めなければなあなあになってしまうのは世の常。皆さんだって身に覚えがあるのでは。(私はあります。)
さて、MDGsと同様にSDGsにも終了年が定められています。SDGsの目標達成年度は2030年。つまり今から10年後(いや9年後か)が期限となっているのです。そういう意味ではSDGsは10年しか持続しない、つまりサステイナブルではありません。まあ、達成目標がいつまでも持続していたらゴールにずっと到達できていないまま、ということになってしまいます。目標はそもそもサステイナブルでは困るわけです。
このブログを読んでいるあなたがもし高校2年生(来月から3年生ですね)なら、高校1年、大学4年で社会に出るのは5年後。SDGsのゴール達成まで後5年というタイミングになります。社会人になってだんだん仕事に慣れてきたところでSDGs終了、という感じでしょうか。あるいは来月から中学校に進学する子供たちにとっては社会にでるころにはSDGsは終わっている、となるのです。
でも、おそらく2030年には次の15年に向けた新しい開発目標、xDGs のようなものが立ち上がっているでのではないでしょうか。そういう継続した改善の努力、という仕組みそのものはサステイナブルであって欲しいですね。
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