「使い捨てスプーン有料化」と言われましても(江頭教授)
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今回の記事は以前にこのブログに書いた「ニューズウィーク日本版「特集:プラスチック・クライシス 」を読んで」と一部重複するものですが、そこはご勘弁ください。
プラスチックをどのように処理すべきか、というのは以前から問題となっています。日本では徹底的な回収とリサイクルがその基本方針であり、回収したプラスチックのリサイクルの方法としてサーマルリサイクルを認めるかどうか、という点には議論がある。私はそんな認識でした。
ところが最近、プラスチック全面禁止という主張をする人たちがいる。その代表例が先に挙げた 「ニューズウィーク日本版「特集:プラスチック・クライシス 」なのですが、どうも根拠が不明だ、というのが以前の記事の内容でした。
このニューズウィーク日本版の記事には根拠が明示されていないのですが、察するに「どうせ十分な回収などできはしない」から全面禁止するしかない。そういう考え方が背景にあると思います。気になるのは「現在の日本で達成されている回収システムでは不十分なのか?」もしそうなら「どの程度の回収が行えれば充分だと考えるのか?」といった具体的な判断基準の部分なのですが、残念ながら日本版ニューズウィークからはそれは読み取ることができない。
とまあ、ここまでは立場の違いというか、もっとよく説明を聞きましょう、という立場の話です。でも最近はもっと理解しがたい議論がでてきました。「プラスチック製の使い捨てスプーンの有料化」です。
スプーンの有料化の前に、まずレジ袋の有料化について。レジ袋削減のために一部の商店が有料化(というかレジ袋を辞退するとその分のお金がもらえる、という制度が多かったですね)を実施していたので、私はそれには積極的に協力してきました。それは自分の生活を顧みてもレジ袋はそれなりの量をもらっていることを実感していたからで、このような制度を作るのも理解できると考えているからです。とはいえ、政府が強制することには私としては反対なのですが。
さて、今回のスプーンの有料化について。これは一体どの程度の効果が見込めるのでしょうか。レジ袋と使い捨てスプーンとでは全く量が違うのではないでしょうか。それもとも使い捨てスプーンは一例に過ぎないのでしょうか。だとしたら使い捨てのカップとかお弁当の入れ物とかの方が適切でしょうが、その料金を別個に徴収することに何か意味があるのでしょうか。頭の中にはてなマークがたくさん出てくるのですが…。
まさかとは思いたいのですが、レジ袋の有料化がそれなりのインパクトを持っていたので、それに続く「何か」として使い捨てスプーンが選ばれたのだとしたら、という疑念を持ってしまいます。まるで環境を守ることよりも日本人のライフスタイルを変えることの方が目的になってしまっているような。そうでないというなら、ここはきちんとした説明を聞きたいところですね。
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