「人間、地球及び繁栄」とは?(江頭教授)
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最近広く知られるようになってきた SDGs ですが、この目標は国連の決議に基づいています。SDGsの大本の文書は2019年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」。その文書の序文、一番最初の文章が
「このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。」
です。このブログ記事のタイトル「人間、地球及び繁栄」はここからとっているのです。英文だと
"This Agenda is a plan of action for people, planet and prosperity."
ですから、英語訳は"people, planet and prosperity."。頭文字Pでそろえてあるのですね。
そういう訳で「人間、地球及び繁栄」は SDGs の重要なキャッチフレーズな訳ですが、さて、これは具体的に何を示しているのでしょうか。
実はこれが何を意味するのか、というのは本学の「サステイナブル工学」教育の立ち上げ時にもよく議論をしました。(本学のWEBサイトにもこの三つのPについての図を入れています。)
で、ここで「人間、地球及び繁栄」とは○○です。と説明できれば良いのですが正直スッキリと説明できる気がしません。
まず最初に指摘しておきたいのは三つのPはそんなにしっかりと決まっているものではない、ということです。例えば三つじゃなくて五つのPというのもある。この場合、追加のPは Peace と Partnership です。(四つのPというのは無いようです。なんでだろう。)
じゃあ、九つのPとか、いっそ十七のPとかどうでしょう。いや、それはさすがにやりすぎ。と、いうかそもそもの三つのPについても、これを十七のSDGsを分類するためのキーワードとみなす、という考え方もあります。本来、SDGsの目標はいろいろなニーズとそれに対応するターゲット(少なくとも169個あります)を大まかにまとめて整理したもの。それでも十七個はやっぱり多いですから、これも一つの考え方でしょう。
とはいえ、この説明もなんだか後付けのように見えます。SDGsのアジェンダに最初に出てくる三つのワードならそれなりの背景があるのでは。ということでこの三つのPについてはじっくりと考えてみたいと思っています。
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