国連とソ連(江頭教授)
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♪戦争をやめろ!
ここしばらくSDGs関係の話題をこのブログに載せてきたのですが、そこで毎回出てくる言い回しが「国連の...」でした。今回は国連について少し触れてみましょう。
国連と略していますが正式には国際連合。第二次大戦直後に組織で平和の維持を目的としています。
というのが日本での一般的な認識ですね。国際連合は英語ではUnited Nations。第二次大戦で枢軸国と戦った軍事同盟と同じ名前がついていることから分かる様に、第二次大戦後に新たにゼロから作り出したというより、軍事同盟の自然な延長だった考えた方が分かりやすいですね。日本は枢軸国側だったので軍事同盟としての United Nations、日本語で言う連合国と国連の連続性というものをあまり意識することがありません。ですが国連の出自が軍事同盟であったことを考えれば、国連の主な役割は平和の維持だ、というより戦争の防止だ、というのは当然のことに見えてきます。
とくに戦後、アメリカとソ連の間で冷戦が始まると、国連は米ソが互いの主張をアピールする場所、というイメージが強くなりました。私が子供の頃の国連のイメージは
ソ連の代表とアメリカの代表が大声で罵り合う場所
という感じ。みんなで仲良くしましょう、というか、喧嘩は止めましょう、と言いたい気分。
とは言え、今から考えてみると当時の国連は冷戦の中で起こったいろいろなトラブルを話し合いで解決するための数少ない場の一つだったわけです。それだけでも国連の意義は非常に大きかったのだと思います。
さて、その後冷戦の終結、ソ連の崩壊があって国連はどうなったのでしょうか。
♪地球の危機がやってくる
今も平和維持のための活動が国連の重要な機能である、ということは間違いないでしょう。でも国連のもう一つの側面、国際的な協力を通じて全ての国で「社会的進歩と生活水準の向上と」を実現するための活動も重要性を増してきたのではないでしょうか。これがどの程度偶然で、どの程度必然であったかは分かりませんが、ソ連の崩壊が国連の変革を促した、という側面はあるでしょう。おそらく冷戦の終結に際して国連内部でも冷戦後の国連のあり方について議論があったのだと思います。
その一つとして1984年にブルントラント委員会が設立され、1987年にその報告書として「 Our Common Future (我々の共通の未来)」で環境破壊という地球レベルの危機に注目した「持続可能な開発」「サステイナブルデベロップメント」の概念が提出された、というわけです。
こう考えると国連は地球の危機に立ち向かっている連合軍であり、SDGsは勝利に向けた五千五百日の大作戦だ、という表現も可能かも知れません。もっともこういう表現は今の日本では受けが悪いでしょうが。
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