SDGsはS+DGsなのか、SD+Gsなのか?(江頭教授)
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SDGsについては「SDGsはSustainable Development Goalsの略で持続可能な開発目標のことです」というの説明がまずあって「ミレニアム開発目標の後継として国連で2015年に決定されたものです」と続くのが普通ではないでしょうか。
だとするとSDGsはまずDGsというのがあって、それにMが付いたりSが付いたりする、ということですね。つまり開発目標というのが主体でそれにミレニアムやサステイナブル(持続可能)が付いている。ミレニアムとならべてみるとサステイナブルにはそんなに重要な意味はない様にも見えます。
つまりこの説明だとSDGsは言うなれば「第2次国連十五ヵ年計画」なのです。
たしかにSDGsにはそのような意味があります。SDGsの17の目標には全部で169の指標が決まっていて、各国政府はその目標を達成するための努力をすることになっています。
では我々個人はこの目標の達成、つまり169の指標の向上のために何をするべきなのでしょうか。169の指標をきちんと理解し、その数値を改善するように努力する、というのは普通の人にはほとんどできないでしょう。結局は政府に任せるしかない。私たちにできることは、せいぜいちゃんと税金を支払いましょう、ということでしょう。
えっと、なんか僕の思っていたSDGsと違うのですが…。
SDGsに含まれる「Sustainable Development」の部分、これは単独に意味をもっています。「Millennium Development」と言われてもピンときませんが、「Sustainable Development」つまり持続可能な開発は1987年の国連の「環境と開発に関する世界委員会」報告書、Our Common Future (我々の共通の未来) で提示された概念を指しています。
持続可能な開発、あるいは持続可能な発展にはいろいろな規模、いろいろなレベル、いろいろなタイムスパンでの持続可能性が考えられます。それなら各自がそれぞれの持続可能な発展を目指してみる、というのはどうでしょうか。各自がそれぞれの Sustainable Development の Goal を設定して、それが集まって SDGs ということで。
そもそも人類の目標がたった17個、その指標がわずか169個なんて少なすぎでしょう。最大公約数、というか最大ですらない公約数の目標ですよね。
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