People VS Planet (江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
今回は前回のお話しの続きです。SDGsとともによく紹介される"people, planet and prosperity"ですが、それぞれ具体的にはどんな意味なのだろう、というお話しで、タイトルは「People VS Planet」としてみました。
この「 People VS ...」という表現、アメリカの裁判用語だそうです。普通の裁判は普通「(原告の名前)VS(被告の名前)」とタイトルをつけられるのですが、原告が特定の個人や法人で無い場合は「ピープルVS(被告の名前)」となるといいます。
さて、"people, planet and prosperity"はよく分からない、という人でも "People VS Planet" は分かり易いのではないでしょうか。日本語なら「人間 対 自然」ですから、「人間の活動は環境破壊につながる」とか「自然環境を保全しないと人類も生き残れない」とか。People と Planet のバランスをとることが重要だという考えは非常に分かりやすいと思います。(人間は自然を軽視しすぎている、というなら自然が原告、人間が被告ですから、このタイトルも Planet VS People とすべきかも知れません。)
"people, planet and prosperity"という三つを並べたとき、PeopleもProsperityも、結局は人間サイドの事項でしかありません。そもそも、People というものは Prosperity を志向するものではないのでしょうか(少なくとも私はそうです)。だったら People と Prosperity とを区別して表記する必要性が分からない。
Peopleを重視しすぎると Planet に問題が生じる。でも Planet を重視しすぎても People に問題が生じる。
これは分かる。でも、
Peopleを重視しすぎると Prosperity に問題が生じる。でも Prosperity を重視しすぎても People に問題が生じる。
と言われても、具体的に何のことを言っているのか分からない。食べ過ぎは体に悪いよ、とかそんな事なんでしょうか。それが国連の理念だなんて言われても...。
要するに"people, planet and prosperity"の分からなさの原因はPeopleとProsperityの違いの分からなさなのでしょう。もっと言ってしまうとProsperityが何を意味しているのか分からない、という点に尽きると思います。
実はこのProsperityという単語、昔は別の単語が使われていたとか。それについてはまた稿を改めてご紹介したいと思います。
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