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「意外に知られていないですけどマスクの原料って石油なんです」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 いや、別に特定の環境大臣を真似して題をつけたわけじゃありません。ふと、どのくらいの人がマスクがプラスチック製品だと知っているのか、と思いまして。

 まず、ウレタンマスクですが、これがプラスチック製品だ、というのは皆さんご存じ、というか見るからにそうですよね。だってあんな見た目の素材はプラスチック以外にはないでしょうから。ということでウレタンマスクはもとをただせば石油だ、これは皆さんご存じのことでしょう。(いや、海綿で作った天然マスクとか...。)

 その一方で、ガーゼタイプのマスクは名前のとおり、ガーゼを重ねてつくられたもの。これは綿製品なので石油から作ったとはいえないでしょう。これは例外です。

 で、2021年現在、一般にマスクと言われて一番に思いつくのは不織布マスクではないでしょうか。今回指摘したかったのはこの不織布マスクです。見た目からなんとなく紙でできている、と思っているひとも多いのではないでしょうか。実際、昨年前半のマスク不足の際にはトイレットペーパーも品薄になったのですが、その理由の一つが「マスク増産によってトイレットペーパーの素材が不足するのでは」と思う消費者の行動があった、という説明もある様です。(私自身は「オイルショック」の記憶が影響している、と思ったのですが。)

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 不織布とだけ言えばプラスチック以外の素材でできたものも含まれますが、マスクの素材として用いられる不織布はポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックでできています。そしてプラスチックは石油から作られているのですから「マスクの原料は石油」ということになるのですね。

 マスクに使われている不織布は布というよりも紙のような風合いです。普通の布のように縦糸横糸が組み合わされた構造ではなく(まあ「不織」なわけでして)繊維がランダムに並んでいる、という点では布というより紙に近い構造をもっています。とはいえ強度という点では紙よりも布に近く、簡単にちぎったりはできません。空気が透過できるほど隙間を大きくし、それと同時に十分な強度もつ紙をつくるとしたらパルプの繊維を通常に比べてずっと長くすることが必要でしょう。紙のマスクは普通のやり方では作ることができないと考えられます。(和紙をベースに繊維をつくり、それを編んで強度のある布をつくるという技術はあるそうです。)

江頭 靖幸

 

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