「蚊取り線香」の歴史は130年だとか(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
だんだん暖かく、いや暑くなってきたなあ、とは思っていたのですが夏はまだ先のはず。でもやってきてしまいました、日本の夏が。昼間は暑くても朝には涼しくなっている今日この頃なのですが窓を開けて寝たのが悪かった。思いっきり蚊に刺されてしまいました。
ということで液体式の電子蚊取り器に昨年から買い置きしておいた90日用のボトルを取り付けてスイッチオン。これで夏の準備ができました。
私が子供のころの蚊取り線香は由緒正しい渦巻タイプ。夜に点火して一晩寝ると朝には燃え尽きていたものです。火を使う上に灰を片付けて毎晩新しいものを準備するのですから結構な手間暇だったでしょう。物心ついたころには兄と私の子供部屋の畳に蚊取り線香の曲線とそっくりの焦げ目がついていましたから、火事になりそうなヒヤリハットがあったことが容易に想像できます。
さてこの蚊取り線香、除虫菊(正式名称は「シロバナムシヨケギク」だとか)という植物のもつピレトリンという成分が昆虫類に対して強い毒性を示し、その一方で人間など哺乳類に対しては毒性が無いことを利用した製品だ、ということは知っていたので、
日本の伝統の背後には化学的にも正しい知恵があったんだなあ
などと思っていました。現在ではピレトリンに類似した化合物(ピレスロイド)が化学的に合成されて今私が使っている液体式電子蚊取り器にも使われているのです、などとブログで蘊蓄&化学のアピールをしよう、と思いついて少し調べてびっくり。
除虫菊ってアメリカから輸入されたんだ!ってことは明治以降ってこと?明治なんてついこないだじゃないか!(そんなことはない。)
写真も含めて wikipedia 情報で恐縮なのですが除虫菊は日本古来の植物ではなかったのです。1886年(明治19年)にアメリカから送付された種子から育てられたものが日本の除虫菊の起源なのだとか。「蚊取り線香」は現在の金鳥の創業者が1888年に試作、1890年に販売を開始したものだそうです。ちなみに初期の「蚊取り線香」は棒状で私などが思い浮かべる渦巻型の「蚊取り線香」は1895年に着想され1902に発売されたといいます。(「金鳥のあゆみ 創業~明治時代」)
蚊取り線香がこんなに新しい製品だとは結構な驚きでした。とはいえ、蚊取り線香以前にも「蚊遣り」「かいぶし」などと呼ばれた風習があり、煙によって蚊を追い払うという習慣があったといいます。
除虫菊という新しい天然の殺虫剤が海外から入ってきたとき、当時の伝統的な「蚊遣り」で使えるように「蚊取り線香」という商品にパッケージングした、というのは優れた商品開発だったのでしょう。その証拠にいまでも「蚊取り線香」はいろいろな形で使われ続けていますよね。
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)