昔は「壁掛けテレビ」と言ったものですが(江頭教授)
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今では「薄型テレビ」というのが普通なのでしょうか。いっそ「液晶テレビ」の方が通りが良いかも。「プラズマテレビ」というのもありましたが、いまではとんと聞きませんし「有機ELテレビ」もまだ一般的ではないようです。で、表題に挙げた「壁掛けテレビ」ですが、この呼び方はまだブラウン管のテレビが主流だった頃の「薄型テレビ」の呼び方です。もちろん、最初から本物があった訳ではなくてこんなテレビがあったら良いな、という概念というかコンセプトが多くの人々の間で共有されていたのです。
昔から動画を鑑賞する、という経験については映画の方が先行していました。テレビは画面も小さいし解像度も低い、ある意味テレビは家で見られる映画の粗悪な代用品、という認識だったのだと思います。でも、多くの人が動画を見ることの楽しさを知っていて、映画と比較しながらクオリティへの憧れも持っていたのでしょう。当然、多くの技術者が「壁掛けテレビ」の実現をめざしていたと思います。私自身も子供の頃に液晶の技術について解説するテレビ番組のなかで「液晶をつかえば将来壁掛けテレビがつくれるかも」という話を聞いてすごく興奮したことを覚えています。
「壁掛けテレビ」はニーズが明白で後はそれを如何に実現するかの技術だけが問題となるという、ある意味とてもシンプルな商品だったのかも知れません。現在では多くの消費者は自分が何を求めているか分からない、というか思いつくような欲望は大体満たされている。そんな状況での商品開発では技術的な問題を解決するまえに、消費者の隠れた欲求を具体化する、あるいは価値を創造するという仕事が必要になっているのですから。
PS:いまの「液晶テレビ」が本当に「壁掛けテレビ」を現実化したものかというと少し疑問も。私には「壁掛け」という言葉には「軽い」という意味が込められていた様に思えるのですが…。
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