なぜ「金銀銅」の順番なのだろう?(江頭教授)
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現在開催中のオリンピック、TOKYO2020。毎日金メダル、銀メダル、銅メダルのニュースが伝わってきます。そこで気になるのが「金銀銅」というこの順番。順番というか、どうしてこの三つが選ばれているのか、も気になるところです。
さて、本ブログは応用化学科のブログなのでここは化学の視点から。化学で金銀銅と言われれば周期律表の11族元素に区分されていて、しかも順番も周期律表のとおりに並んでいます。なるほど、金を超える得点を挙げた人には「レントゲニウムメダル」が授与されるのか。いや、そんなことはありませんが、もし本当にレントゲニウムメダルが作られたらその価格は計り知れないものになるでしょう。
近代オリンピックが始まったのは1896年だとか。メンデレーエフの周期律表は1870年には発表されていたので周期律表起源説にも可能性はあるかも。周期律表で予言されていたガリウム(1875年)、スカンジウム(1879年)、ゲルマニウム(1886年)の発見などもあり、周期律表は当時の知識人の間ではそれなりに知られた存在だった、などと想像すると夢がふくらむなあ。
とまあ、想像するのは楽しいのですが、少し真面目に調べてみましょう。
オリンピックの公式サイトのこちらの記事によると最初のオリンピックでは1位が銀メダル、2位が銅メダルだったとか。3位はメダルなしだったそうです。でもこれは「金が高価だったから」というのが理由だそうで、やはり「金銀銅」という意識はあったのですね。というか、近代オリンピック以前から「金銀銅」という順位付けは有ったと、ということでしょう。では、その理由は。同記事の中では
その理由にはさまざまな説がある。金属の価値を考慮して、1位に金、2位に銀、3位に銅が与えられるようになったという説が一般的なようだ。一方で、ギリシャ神話における人類の歴史区分である黄金時代、白銀時代、青銅時代、鉄の時代に由来するという言い伝えもある。
とされていて、周期律表起源説は旗色が悪いですね。
メダルとして「周期律表の11族元素が周期の順に用いられる」のは周期律表が直接の起源、ということはないのでしょう。でもこれらの元素と人間の生活との関わり合いは、それぞれの元素の化学的性質に影響されているのです。そして周期律表での並び方は化学的性質に呼応しているのですから、間接的には関係があると言えるのではないでしょうか。
いや、でもよく考えたら「銅メダル」って "copper medal" じゃなくて "bronze medal" なんですよね。そういえば「ブロンズ聖闘士」だもんなあ。
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