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2021年9月

2021.09.30

新型コロナウイルスワクチン職域接種(第2回)が行われました(江頭教授)

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 東京工科大学の八王子キャンパスで新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施する、という話題は以前この記事でふれています。(なお、ワクチンの職域接種は本学の蒲田キャンパスでも実施します。)第1回目は9月1日(こちらの記事)で、昨日(9月29日)は第2回目の接種が行われました。

 自分がワクチン接種の1回目を受けたのは7月の11日。2回目は8月1日(ファイザーなので間は3週間です)でした。本学での職域接種の1回目がちょうど一ヶ月後、モデルナワクチンの間隔は4週間ですから約一ヶ月。夏のはじめから始まったワクチン接種のイベントも秋を迎えてやっと終わった様に感じます。

 もっともこれは私の身の回りでの感じ方。二回目の接種が終わったのは全人口の6割程度ですからワクチン接種はまだ道半ばなのです。

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2021.09.29

体温計と音響カプラ(江頭教授)

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 先日、スマホに情報を送ることができる体重計に買い換えた、という記事を書きました。その体重計用のスマホのアプリでは他の機器とも連携できるとか。その対象製品のリストに「体温計」が入っていました。おや珍しい。ついでにこれも買ってみよう。

 さて、新しく購入した体温計ですが、スマホとの連携に bluetooth を使うのではないのですね。いや、 Wi-Fi も使いません。でも体温計をスマホの上に置くとちゃんと体温が転送されます。実はこの体温計、スマホのマイクに向かって音で情報を伝えるのだそうです(通信時の音が聞こえることもあるそうですが、私には測定終了を伝える「ピッピッ」という音しか聞こえませんでした。年寄りには聞こえない波長なのでしょうか。)

 確かにデータはせいぜい3桁の数字が1個。新たにbluetoothやWi-Fiのチップを載せずに、従来から搭載されていたであろう「ピッピッ」という音をならすための電子ブザーを使えば追加のハード無しでデータを転送できる。それに電力消費も少なそう。これは良いアイデアだ。凄いことを考える人がいるなあ。そう思ったのですが、よく考えてみると音でデータを送る、という技術は昔からあったのでは。

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「音響カプラ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年9月19日 (日) 20:22、URL: https://ja.wikipedia.org

 

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2021.09.28

後期の授業が始まりました(江頭教授)

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 2021年度、後期授業は今週9月27日から始まりました。夏休みも終わり、14回の授業と期末試験の新しい学期が始まるのです。

 高校生の皆さんからするとずいぶんゆっくりした新学期スタートだ、と思われるかも知れませんが、本学の夏休み入りが8月13日だったことを考えると夏休みの長さはそれほど長くない、ということになります。特に4年生諸君は卒業研究の中間発表がありましたからそれほど夏休みをエンジョイできなかったかも知れないですね。

 さて、実は今週には本学での新型コロナウイルスに対するワクチンの職域接種も予定されています。学生諸君も接種できる様に今週の火曜日は臨時休講。その翌日も副反応に備えて休講となりますから、最初から週5日中3日しか授業はありません。ちょっと拍子抜けでしょうか。でも私としてはこのような準備運動の期間があった方がうれしいですね。

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2021.09.27

大学院秋入学式での祝辞(片桐教授)

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 2021年9月24日に大学院秋入学式が行なわれました。毎年、秋入学式では学長の祝辞の後で、各研究科長も祝辞を述べます。

 仕方ないことですが、祝辞の内容は学長、バイオ・メディア・コンピュータ研究科長と私で、何か必ずかぶります。そして,工学研究科長の祝辞は一番最後なので、原稿を作っていても、アドリブで変えます。そうすると、品がなくなります。

 祝辞の実際に喋った内容を以下に掲載します。この秋に入学した早期卒業生の皆様の大学院生活が実り多く充実することを心からお祈りいたします。

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大学院入学式お祝いのことば

 皆さん、ご入学おめでとうございます。

 新型コロナの第5波もほぼ納まってきています。第5波のピークの5534人に比べれば、今の新規陽性者数も十分の一になりました。しかし、この数字で一喜一憂してはいけません。第1波の東京都の新規陽性者数のピークは206人です。まだあの大騒ぎの時のピークよりも2倍以上高い水準です。第5波の減少傾向に甘えることなく、これからも感染予防に努めましょう。マスクを付け、3密を避けましょう。

 東京都の新型コロナの新規陽性者数の、昨年と今年のグラフを重ねると、ほぼ同時期に波が来ています。去年の第1波と今年の第4波はほぼ同時期です。第2波と第5波も同じ時期です。そして、今年の波の高さは去年のおおよそ10倍です。昨年末から今年のはじめに掛けて,第3波が来ました。今年の1月8日のピークには2392人でした。最悪、この10倍の高さの波が今年の11月終わり頃からくるかもしれません。

 だから、今年ご入学の皆さんの大学院生活では、スタートダッシュが大事です。この10月11月は新型コロナに邪魔されずに、思いっきり研究ができる貴重な時間です。今のうちに研究をすすめましょう。

 

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2021.09.24

「ソーシャル・ディスタンス」のソーシャルとは?(江頭教授)

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 コロナ対策、日本では三密回避とか言いますが欧米では「ソーシャル・ディスタンシング」とか言いますよね。「ソーシャル・ディスタンス」なら日本でもときどき使われる言葉です。私も何気なく使ったのですが、片桐先生から「その言い方はおかしいのでは?」とのお言葉が。確かに。なんで「ソーシャル・ディスタンス」なんだろう。

 と言うわけで、以下、このソーシャルがどんな意味なのかを調べてみた、という話です。

 ググれ!ということで、まず「ソーシャルディスタンス」と「語源」で検索します。

 候補のトップに出てくるのは「コロナ危機をきっかけに “social” という単語の意味を考える」という記事(2021/09/22 16:34 時点の検索です)。WIPジャパンという翻訳業(って言うのかな?)の会社のサイトにあるコラムでした。答えはほぼここに書いてあるようなもので、ソーシャル( social )という語には「『人が人と会うこと』への視点があり」、social distancingは「『人が人と会う際の距離(=対人距離)を置くこと』」と理解できるとのこと。なるほど。

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2021.09.23

pHメーターとガラス電極についての補足(江頭教授)

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 以前の記事でpHメーターについて紹介したのですが、その中でガラス膜について

水素イオンだけが透過することができる「半透膜」のような機能をもっている

と説明しました。今回はこの点について少し補足説明をさせてもらいましょう。

 実はガラスの中を動くのは水素イオンではありません。そもそもガラスというのはケイ酸のナトリウム塩です。まずケイ酸は、いわゆる原子の「手」が4本のケイ素に4個のOH基がくっついているものだと思ってください。OH基から水素イオンが抜けてナトリウムイオンと置換する、あるいは二つのOH基が脱水縮合してケイ素とケイ素の間を酸素がジョイントするような構造をつくる。この二つの過程が混ざり合ってナトリウムイオンを含んだ酸素とケイ素からなる大きなネットワークのような構造になったもの。それがいわゆるガラスなのです。

 ナトリウムが多いケイ酸ナトリウムは「水ガラス」と呼ばれる粘稠な液体です。ナトリウムが少なくケイ素ー酸素ーケイ素のネットワークが発達したものはガラスに。そしてナトリウムを全く含まず結晶となったものが石英です。ナトリウムの代わりにカリウムを入れたカリガラスや鉛を入れた鉛ガラスなども知られていますが、一般的なのはやはりナトリウムガラスです。

 ガラスの中にはそもそもたくさんのナトリウムイオンが入っていますから、そのたくさんのナトリウムイオンが一方向に少しずつ動けば「膜の片面から反対の面にナトリウムイオンが通り抜けた」のと同じように見えるでしょう。

 一方、膜の中に存在していなかった(あるいはOH基の形で酸素に結びつけられている)水素イオンの場合、本当に膜の端から端まで移動しなくてはならない。これが大変なことは容易に想像できます。

 えっ、じゃあガラス膜は水素イオンは通らなくてNaイオンが通るのでは。ということはpHメーターが計っているのはpNaなのでは。

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2021.09.22

「サステイナブル工学」についての動画を撮影しました(江頭教授)

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 本学の工学部が開設されたのは2015年4月。それから6年と約半年がたちました。工学部の設立に際して本学工学部の一つの柱として構想されたのが「サステイナブル工学」です。学部のWEBサイトにも、もちろんこの「サステイナブル工学」についての解説があり、その中には動画も。下の写真の様に、本学工学部機械工学科所属の芝池教授がパーソナリティの動画です。

 さて、学部開設からちょうど6年目の今年の3月、芝池教授が御退職になったのを機に、この動画を作り直すことになりました。今度は私が話をする番、ということで本日(2021/09/21)収録、というところまでトントン拍子に話が進みます。私の話を収録するために撮影スタッフの人たちが来るのか。と、思ったら学長から始まってロボコン(これは機械工学科)やCEATEC(これはコンピュータ学部)関係の撮影もあるとか。収録が必要なものをまとめた一日だったのですね。

 時間が来たので撮影の会場に向かうと途中のエレベーターでレフ板の様なものを持った人に出会います。ああ、スタッフの人に違いない、と思って挨拶するとまさにその通り。でも、撮影場所変わりましたよ、と。結局、今回の動画は応用化学科の学生実験室での撮影となりました。

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2021.09.21

pH試験紙とpHメーター(江頭教授)

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 以前の記事で、リトマス試験紙とpH試験紙の違いを説明しました。リトマス試験紙には色見本が要らない。サンプルに漬けた部分と、まだ乾いている部分との色を比較すれば良いから。つまりリトマス試験紙そのものが色見本の役割果たしているからです。別の見方をすると色見本の見本の数だけ試験紙が必要になるとも言えます。リトマス試験紙はpH=7を挟んで酸性とアルカリ性の二つ状態のどちらに入るかを判別するもの。色見本の数は2種類なので、赤と青二つペアで用いることになっています。

 ではもっと細かくpHを計りたいならどうするか。リトマス試験紙の方法を応用するなら14枚組のリトマス試験紙を用意すれば良いのでは。14枚に一斉にサンプルをつける。変色無しと変色有りの境目になったところがpHだ、ということになるでしょう。おっと、pHを1ずつ計るのなら「1以下」のリトマス試験紙から「14以上」のリトマス試験紙までの色の15枚セットが必要。もっとデラックス版では29色とか43色セットとか。これこそ子供心に訴える設定でよく売れるのでは。

 一方で普通のpH試験紙は色見本との比較が必要となります。昔はカラーの印刷物の校正には「色校正」というものがあったそうで(いや、今でもあるか)、印刷で忠実に色を再現するには手間暇がかかるものでした。特にpH試験紙の色見本はメーカーが測定時の精度を保証して提供するのですからそれなりの出来のものである必要があります。もっとも例えそうだとしても15色セットとかを準備するのに比べたら楽なものですね。

 さて、pHの測定方法は何もこの指示薬や試験紙をもちいた方法だけではありません。

 良く知られているのは pHメーターによる測定です。

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「pHメーター」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年9月20日 (月) 06:03、URL: https://ja.wikipedia.org

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2021.09.20

体重計を買い換えました(江頭教授)

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 私はBMI30越えの肥満体なのでコロナウイルスのワクチン接種を優先して受けられた、という話をこちらに書きました。これはありがたい話だったのですが優先される理由が理由だけにありがたがっているわけにもいかない。基礎疾患ありということは高リスクだということ。これは何とかしなくては。

 とまあ、始まりはここからなのですが巡り巡って表題の様に「体重計を買い換える」ことに。スマホとの連携機能が欲しいなあと思ってのこと。いや、これだけで痩せられると思っている訳ではないですよ。

 さて、あんまり深く考えずに新しい体重計を購入したのですが今まで使ってきたものとメーカーが違っていました。新しい体重計、別メーカーの製品ということもあって、まずは同じ計測値が出るかどうか確認してみます。体重は全く同じ値が出て一安心。でもBMI値がちがう。おっと、これは身長データの設定間違いでした。これを直すと一致。(当たり前ですね。)

 次は体脂肪率。いままでの体重計では 25.8%、新しい体重計は 24.2%。多少値が違いますが、まあ良いでしょう。(いずれにしても太りすぎだし。)基礎代謝は1969 kcal が 1979 kcal となりました。体脂肪率が下がると基礎代謝が増えるのですね。まあ脂肪は筋肉のようには代謝をしないということなのでしょう。

 とまあ、ここまではなるほどと思っていたのですが…。「旧 体内年齢 50才、新 体年齢 62才。」ちょ、ちょっとまって!

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2021.09.17

アボガドロ定数とファラデー定数と電気素量を全部覚えておく必要はない、という話(江頭教授)

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「クイズです。アボガドロ定数は?」

「6.02×1023 です!」

「では、ファラデー定数は?」

「96500 C だね。」

「じゃあ電気素量は?」

「えっ、えーっといくつだっけ?」

答えは1.60×10-19 C です。

 ファラデー定数が電子1molの電荷だ、ということを理解していれば電気素量が 96500÷6.02×1023 で求められることは容易に理解できますよね。

 もっともクイズの答えがこんな感じになるのは私が化学の分野の人間だからかも知れません。電気を専門にするひとにとっては「電気素量」が常識「ファラデー定数」が基礎知識で

 ファラデー定数が電子1molの電荷だ、ということを理解していればアボガドロ定数が 96500÷1.60×10-19 で求められることは容易に理解できますよね。

となっていたかも知れません。

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2021.09.16

pHとpKa(片桐教授)

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 このブログの9月13日の江頭先生の記事で、pHの話題が出ました。今回はこのpHに類するpKaの説明で、このpHやpKaがエネルギーに比例する尺度であることを説明します。

 pHに類する概念として、かなり前のこのブログの「有機化学Ⅰ」の講義解説でpKaという酸性度を表す指数についてお話ししました。(http://blog.ac.eng.teu.ac.jp/blog/2015/11/-1pka-035c.html)。

 さて、pKaの定義を以下に示します。このようにしてみると、このpKaは[A ]という化学種のエネルギー的安定性(ポテンシャルエネルギー)を表現しています。このpKaはいろいろな操作で、そのH-Aという化学種のプロトン放出能を[A ]という化学種のエネルギー的安定性として表現しているわけです。

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つまり、平衡定数をエネルギーに換算するためにlogを使い、ポテンシャルエネルギーは値の小さい方が安定、大きい方が不安定だから、マイナスの符合を付けるわけですね。つまり、pKaもpHもそのポテンシャルエネルギーと比例する尺度です。

 これだけでは何だか良く分かりません。もう少し説明しますね。

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2021.09.15

あなたが「サステイナブル工学」を学ぶと何が変わるのか?(江頭教授)

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 さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ここに取り出したるは東京工科大学の工学部。この工学部、工学部といってもそんじょそこらの工学部とはわけが違う。なんたって「サステイナブル工学」をやる工学部だ、てーんだからさあお立ち会い。

って、このテンションで続けるのもしんどいのでいつものスタイルに戻しましょう。

 「サステイナブル工学」は本学工学部が設立された際、工学部での教育の柱の一つとされたコンセプトです。従って、このブログでも「サステイナブル工学」については何度も取り上げていたのですが、よく考えると「高校生の皆さんの視点に立って『サステイナブル工学』を学ぶと何が変わるのか、どんなメリットがあるのか」を直接説明したことはなかったなあ、などと、ふと思ってしまったのです。

サステイナブル応用化学で扱う物質は分子から違うよ。なんたってサステイナブル炭素がサステイナブル骨格をつくってそこにサステイナブル水素が結合…

いや、そんなバカな。人がどんな教育を受けたとしても扱う物質に違いはありません。これは化学の、いや、科学の常識です。では、他の工学部では教えてくれない化学反応を教えてくれるのでしょうか。

今は昔、サステイナブル工学を志した学者達が八王子奥地のサステイナブル山の霊峰に閉じこもってはや100年。下界の喧噪を離れてひたすら研究に邁進して独自に作り上げたのが、このサステイナブル工学。専門家曰く約50年は進んだその威力をばご覧じろ…

とまあ、これもあり得ないですよね。

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2021.09.14

リトマス試験紙とpH試験紙(江頭教授)

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 酸と塩基、いやアルカリについて勉強したのは小学生の頃だったと思います。「リトマス試験紙」をつかって酸性は赤、アルカリ性は青、などなど。このリトマス試験紙というのが「色が変わる」のはもちろん、「赤と青でワンセット」とか、いかにも子供の好奇心をそそるような設定ですよね。(設定言うな!)「青いリトマス試験紙を酸に漬けて赤くすれば赤いリトマス試験紙の代わりになるのか?」などと考えたことを覚えています。

 酸性とアルカリ性と中性、小学生のころは単純で良かった。でも中学、高校と進むと酸性にもアルカリ性、いや塩基性にも程度があるよ、という話がでてきた。それが pH です。酸性とアルカリ性は「酸の素を含む」と「アルカリの素を含む」というよりも、「酸の素が多い」酸性と「酸の素が少ない」塩基性、と理解するべきだ。そして「酸の素」の正体は…酸素じゃないんですよね。

 結局「酸性」の指標は水素イオン濃度であり、その程度を表す数値としてpH、水素イオン指数が導入されているわけです。では、この水素イオン濃度は具体的にどのように測定するのか。その一つがリトマス試験紙の発展型であるpH試験紙です。

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2021.09.13

指数とpH(江頭教授)

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 指数って何だろう?そう思って調べると「不快指数」や「知能指数」といった何かの性質の程度を数字で表したものだ、という説明が見つかります。でも指数の用例はこれだけではありません。例えば「指数関数」で使われている指数という用語は何かの程度を表すものではありませんよね。

 指数にはもう一つ、102(10の二乗)の2、103(10の三乗)の3といったべき乗を表す数字、という意味があり、これを冪指数といって区別することもあるそうです。先ほどの指数関数は10やeなど、きまった数に対して与えられた数字を冪指数としたときの値を対応させる関数ですからこちらの意味での指数なわけです。

 などと考えていてふと気がついたのですがpH、つまり水素イオン指数の「指数」はどちらの意味の指数でも通じるのでは。いや、ちょっとまって。水素イオン指数の定義には「マイナス」がついているな。中性は水素イオン指数では7だけど水素イオン冪指数だと-7とすべきなのでしょうか。

 pHについてもう一つ疑問が。pHのpって何の略なのでしょうか?

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2021.09.10

「People」「Prosperity」「Planet」あなたのどこに属していますか?(江頭教授)

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 サステイナブル工学や、その目標であるサステイナブル社会を説明するために下図のような三つPのバランスを表現した図が用いられることがあります。三つのPとは「People」「Prosperity」「Planet」のことです。( SDGs にまで視点を広げると「Peace」「Partnership」をいれた五つのPになりますね。)すべての人々は「People」「Prosperity」「Planet」という三つの価値のために働いていることを意識せよ、ということなのですが、今回は少し変わった質問をしてみましょう。あなた自身は三つのPのどこに属しているでしょうか?

 まずは「People」。このブログを読んでいる以上、読者のあなたは確実に「People」の一員です。そのうち「いえ、私はAIです」なんて読者が現れる可能性はありますが、2021年9月の時点では大丈夫かと。

 では「Planet」はどうでしょうか。人間だって自然の一部なんだ、生きているんだ、友達なんだ、という視点にたてば人間も「Planet」の一部かも。でもわざわざ「People」と対峙させられている項目なのですから人間は属さない、と解釈するべきではないでしょうか。

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2021.09.09

バスの発着所がやってきた!(江頭教授)

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 我々東京工科大学工学部応用化学科の研究室は本学八王子キャンパスの正門近くにある片柳研究棟という建物の中に入っています。下の写真の左側に移っているのがその片柳研究棟の西側の側面です。最近、その辺りの広場に本学のスクールバスが集まっています。夜になるとここがバスの駐車場となってはいるのですが朝の時間帯にこれは一体…。

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バスが止まっているところに何か標識が…。

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2021.09.08

鍋の「効率」はどのくらい(江頭教授)

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 エアコンの効率とかならわかるけど「鍋」の効率って何?と思った方もいるかも。これは私が以前授業で行っていたデモ実験のお話しです。

 教室に鍋とカセットコンロを持ち込んで、実際にお湯を沸かしてみせる訳ですが、それだけでは意味が無いですよね。お湯を沸かす前後でカセットコンロのカセットの重さを量ってガスの消費量を計る、というのがこのデモのポイントです。カセットに入っているのはブタンガス。その完全燃焼を仮定すればその燃焼熱を求める事ができる。それに対して鍋のお湯を沸かすために必要な熱量はどのくらいか。沸騰させなければ水の比熱と室温と水の沸点(100℃)との差、そして水の量から計算することができます。

 授業の本来の目的は、このような方法で「お湯」を製造(?)するとき、どのくらいのコストがかかるか、を計算することです。実際計算すると水道水のコストやカセットコンロ、鍋の減価償却などを抑えてカセットの値段がダントツ。使った分だけの比率で計算しても、この燃料の費用が圧倒的なのです。これを受けてコストダウンをするにはどこに注目するべきかを明らかにすることが肝心ですよね、というお話しをします。

 さて、実際に普通サイズの鍋で1Lのお湯を沸かしたとき、この効率は40%程度になりました。

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2021.09.07

日本の人口は世界で11位ですが(江頭教授)

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 昨日の記事で日本の人口が世界で11位だ、ということを紹介しました。では他の指標ではどうなのでしょう?

 まず国土面積。1位がロシア、2位はカナダ、3位アメリカ、4位中国、5位ブラジル、6位オーストラリア、7位インド、ということで中国、インド、アメリカ、ブラジル、ロシアといった人口の多い国が数多くでてきます。そんな中で日本はずっと下位で60位くらいだとか。小さな国にたくさんの国民が住んでいる国なのですね。

 では二酸化炭素の排出量はどうでしょうか。中国が1位、アメリカ、インド、ロシアと続いて日本は第5位です。日本より排出量の多い4カ国はすべて人口10位以上の人口大国なのですが、逆に日本より人口が多くても二酸化炭素排出量が少ない国が6カ国はあるわけで、人口11位の国にしては日本の排出量は大きいのですね。

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出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

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2021.09.06

日本の人口が世界で11位になっていた(江頭教授)

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 日本や世界の統計について、細かい数字を覚えていることは難しいのですが大体の値を頭に入れているといろいろと便利です。東京の人口は約一千万人。日本の人口は約一億人、もうちょっと正確には一億二千万人、世界の人口は77億人。日本のGDPは約500兆円などなど。

 そんな豆知識の中に「日本の人口は世界の10位」というのがありました。ありました、と過去形なのは表題のとおり最近順位が変わったことに気がついた、ということなのです。

 wikipediaには「国の人口順リスト」という項目があり、現在(2021/09/06)確認すると日本の順位は確かに11位。日本を抜いて10位になったのはメキシコでした。総務省統計局の「世界の統計」2021を見てみましょう。「主要国の人口の推移(2011~2020年)」という表では2020年の人口は日本が1.253億人、メキシコが1.289億人で、確かにメキシコに追い抜かれています。じつは2019年の段階で日本1.262億人、メキシコが1.276億人で、すでに追い抜かれていたのですね。どうやら私は情報のアップデートができていなかったようです。

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2021.09.03

寒い!(江頭教授)

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 9月に入って夏も終わり、ということなのでしょうか。ここ八王子は、今までの暑さが嘘のように急に涼しく、いや寒くなりました。9月1日の最高気温が22℃、2日は20℃を割って19.7℃という有様。いくら何でもこの変化はおかしい、やはり地球温暖化による異常気象なのか、などと考える前にここはアメダスの過去のデータを確認してみましょう。

 まず9月の気温はどの程度なのでしょうか。アメダスでは観測地点ごとに1977年からのいろいろな気象データの月ごとの最大値、最小値が示されています。9月の平均気温の最大値は1999年の24.6℃、最小値は1981年の20.4℃となっています。最高気温は39.2℃(1984年)から14.2℃(1980年)なので9月は夏から秋への季節の変わり目で温度の変化幅の大きな月なのが分かります。

 なるほど、さほど驚くことではないのかな、というわけではありません。9月は前半が暑くてだんだん涼しくなるはず。やはり9月1日、2日で20℃くらい、というのはどうなんだろう。

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2021.09.02

新型コロナウイルスワクチン職域接種(第1回)が行われました(江頭教授)

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 東京工科大学の八王子キャンパスで新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施する、という話題は実は以前このブログでもふれています。(なお、ワクチンの職域接種は本学の蒲田キャンパスでも実施します。)昨日9月1日はその第1回目の実施日でした。

 八王子キャンパスの正門の真っ正面にある「本部棟」の前に人が並んでいる(と言っても密を避けてまばらに、でしたが)のを見て、なるほど今日が職域接種の日か、と納得しました。本学の本部棟とそれに連なる職員食堂は、じつは今までも毎週日曜日に八王子市が実施するワクチン接種の会場として提供されていました。今回の職域接種も同じ場所を会場として使う、というのは合理的ですよね。

 聞けば「職域接種を実施」というニュースが入ったとき、すぐに本学も手を挙げたのだそうですが、本日やっと実施できることに。大学としては学生さん優先で予約を取っていましたが開始前に教職員にも枠が開放されたので、希望する学生さんには行き渡ったのだと思います。研究室の学生さんに聞くと、すでの地元で日程が決まっている人もいましたが、何人かはこの機会に大学で接種を受けるとのことです。

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2021.09.01

「教育用ITシステム活用セミナー」が開催されました(江頭教授)

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 授業といえば教科書があって黒板があって…それはそれで今でも有効な教育方法だと思います。とはいえストイックに従来の方法にこだわる必要もありません。ITを活用して省ける手間は省いて、より効果の高い授業を目指さなくては。

 ということで本学では「先進教育支援センター」が中心となって教育用ITシステムの維持管理、新規機能の導入や学生向けのサポート、そして教員向けの情報提供を行っています。今回、8月30日、31日に開催された「教育用ITシステム活用セミナー」はまさに教員向けの情報提供の場、という位置づけです。

 初日は基礎編として本学のITシステムの説明、Moodleの基礎、そしてMicrosoft365についての紹介。「Moodleのコースは教員なら誰でも作れるのか!」「Microsoft365にもFormsがあるのか!」など、基礎編とは言っても新発見はあるものです。

 そして二日目は上級編、ではなくて「学生目線編」です。

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